(2021年版)相続登記:相続した不動産の名義変更のやり方

相続登記の相談

相続した遺産の中に不動産があって、どうやって名義変更すればいいかわからなくて困っていませんか?

実は相続財産の名義変更の中で、いちばん手続きがややこしくて、めんどくさいのが不動産です。

相続した不動産の名義変更のことを「相続登記」といいます。

相続登記は司法書士に依頼するのが一般的ですが、自分でやってみようという方もいらっしゃると思います。

この記事では、相続登記の専門家である司法書士が、相続登記の具体的な手続きのやり方を解説します。

手順どおりに手続きを行えば、不動産の名義変更をすることができます。


自分でやるのは面倒なので専門家にお願いしたいという方は、当事務所で相続登記サービスを承ってますので、ぜひこちらをご覧ください。

  1. ・関連記事 田渕司法書士事務所の相続登記(相続した不動産の名義変更)サービス

 

相続登記 相続した不動産の名義変更のやり方

相続登記のおおまかな流れは、次の通りです。

  1. 不動産を取得する人を決める
  2.    ↓
  3. 必要な書類を集める
  4.    ↓
  5. 申請書を作成する
  6.    ↓
  7. 法務局に申請する
  8.    ↓
  9. 権利証を受け取る

 

それでは、くわしく解説します。

 

不動産を取得する人を決める

まずは、だれが不動産を取得するのかを決めないといけません。相続人がお一人の場合は、もちろんその人が不動産を取得します。

相続人が複数いる場合は、だれが取得するのかが問題になります。

相続するパターンは5つあります。

 

①遺言で相続人が相続する場合
②遺贈
③遺産分割協議
④遺産分割調停
⑤相続人全員の共有(法定相続)

遺言で相続人が相続する場合

遺言書の内容は、亡くなられた方の最後の意思なので、基本的には、遺言書に書かれた内容に従うことになります。

たとえば、遺言書に「わたしの所有財産の全部を長女○○に相続させます」などと記載されていたら、長女が不動産も取得することになります。


遺贈

遺言書がある場合でも、遺言書に「遺贈する」と記載されていたり、相続人以外(たとえば子どもの配偶者など)に「相続させる」と記載されている場合は、相続ではなく、遺贈になります。

遺贈とは、遺言で贈与することです。

相続と遺贈の違いについては、くわしくはこちらをご覧ください。

  1. ・関連記事 相続と遺贈の違いは?


相続と遺贈では、必要書類や、税金、申請書の書き方が違ってくるので注意が必要です。

基本的には、遺言書に「相続させる」と書いてあれば相続で、「遺贈する」と書いてあれば遺贈になります。

ただし、「遺贈する」と書いてあっても、相続人全員に相続財産の全部を包括遺贈した場合は相続になります(昭38.11.20民事甲3119号)。

また、「相続させる」と書いてあっても、相続人以外の人に相続させる場合は、遺贈になります(登記研究480号P131)。

  

遺産分割協議

遺言書がない場合や、遺言書にだれが不動産を取得するか書いてない場合は、相続人全員で話し合って、だれが不動産を取得するか決めます。

この相続人全員の話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。

ひとりでも話し合いに参加しなかったり、同意しない人がいれば遺産分割協議は成立しません。

遺産分割についてくわしく知りたい方は、こちらの記事にくわしくまとめましたので、ご覧ください。

  1. ・関連記事 遺産分割協議とは何か?【遺産の分け方についての話し合い】

  

遺産分割調停

遺産分割協議での話し合いがまとまらない場合、遺産分割調停という裁判所での手続きが必要になります。

遺産分割調停とは、調停委員という裁判所の職員が間に入って、当事者が話し合う手続きです。

調停委員が当事者それぞれの意見を調整して、話し合いを解決していきます。

遺産分割調停については、くわしくはこちらの記事にくわしくまとめましたので、ご覧ください。

  1. ・関連記事  遺産分割調停の流れ【相続争いを解決する方法を解説します】


相続人全員の共有(法定相続)

遺言書がなくて、遺産分割協議もしない場合、相続人全員で不動産を共有することになります。

これを法定相続といいます。

法律で定められた相続のパターンなので、法定相続といいます。

自宅の相続

ただし、不動産の共有はおすすめできません。

共有名義だと、さらに名義人が亡くなった場合、権利関係が複雑になります。

名義人の数が増えると、トラブルが発生しやすくなりますし、名義人全員が同意しないと不動産を売却できないので、処分がしにくくなります。

処分できずに、放置していると、空き家になってしまいます。

空き家の原因は、「相続」が半数以上といわれています。

なので、できれば遺産分割協議で、だれか一人の所有にしておいた方がいいのです。


また法定相続分の登記をした後に、やっぱり相続人の一人に取得させようと遺産分割協議をした場合、さらに移転登記が必要になり、余計に登録免許税がかかってしまいます。

そうならないように、最初から遺産分割協議をして、だれか一人の所有にしておくことをおすすめします。

法定相続の場合、相続人全員で登記を申請する必要があります。

登記に協力しない相続人がいる場合、登記することができません。

 

必要な書類を集める

戸籍

誰が不動産を取得するか決めたら、必要書類を集めます。

必要な書類の一覧は、次の通りです。

①遺言書による相続の場合、②遺贈の場合、③遺産分割協議の場合、④遺産分割調停、⑤法定相続の場合で必要書類が違います。

 

遺言書による場合

①遺言書(自筆証書遺言の場合は検認を受けたもの)

②被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票、または戸籍の附票

③被相続人が亡くなったことがわかる戸籍謄本

④不動産を取得する相続人の、現在の戸籍謄本

⑤不動産を取得する相続人の、住民票または戸籍の附票

⑥不動産の固定資産評価証明書(または評価額の記載がある納税通知書)

自筆証書遺言(手書きの遺言)で、法務局に保管されていないものについては、検認が必要です。

検認とは、遺言書の偽造を防ぐための証拠保全の手続きです。家庭裁判所に請求する必要があります。

検認手続きについては、こちらの記事をご覧ください。  

 

  1. ・関連記事 遺言書の検認手続きの流れを解説します

 

遺贈の場合

①登記原因証明情報(遺言書と遺言を書いた人が亡くなったことの記載がある戸籍謄本)

②被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票、または戸籍の附票

③登記識別情報または登記済証(権利証)

④登記義務者の印鑑証明書

⑤不動産を取得する人の住民票または戸籍の附票

⑥不動産の固定資産評価証明書(または評価額の記載がある納税通知書)

遺贈の場合、「登記原因証明情報」という登記の原因(この場合は遺贈)があったことを証明する書類が必要です。

遺贈の場合は、遺言書と遺言を書いた人が亡くなったことの記載がある戸籍謄本が必要になります。

遺贈の場合は、登記識別情報または登記済証(権利証)が必要になります。

権利証が見当たらない場合でも、登記することは可能です。

くわしくはこちらをご覧ください。

  1. ・関連記事 権利証を紛失した場合、どうすればいい?【事前通知か本人確認情報】


遺贈の場合は、登記義務者の印鑑証明書が必要になります。

登記義務者とは、登記がされることで不利益がある人のことで、遺贈の場合は、相続人全員になります。

ただし、遺言で遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者が登記義務者になります。

なので、相続人全員または遺言執行者の印鑑証明書(作成後3カ月以内)が必要になります。

 

遺産分割協議の場合

①遺産分割協議書(相続人全員の実印で押印)

②相続人全員の印鑑証明書

③被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票(または戸籍の附票)

④被相続人の出生から死亡までがわかる戸籍謄本

⑤相続人全員の、現在の戸籍謄本(または法定相続情報一覧図)

⑥相続関係説明図(または法定相続情報一覧図)

⑦不動産を取得する相続人の住民票または戸籍の附票

⑧不動産の固定資産評価証明書(または評価額の記載がある納税通知書)

遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印する必要があります。

遺産分割協議書のひな形です。ご利用ください。

  1. 遺産分割協議書

 

家系図

戸籍謄本などはコピーを添付すると原本を還付してもらうことが可能ですが、全部コピーするのは大変ですので、「相続関係説明図」という家系図のようなものを添付すると、コピーせずとも戸籍謄本などを還付してもらうことができます。

相続関係説明図のひな形はこちらです。

  1. 相続関係説明図


相続関係説明図には、被相続人については、氏名、出生日、死亡日、最後の本籍地、最後の住所、登記上の住所を記載します。

相続人については、氏名、出生日、現在の住所を記載します。

相続人 or 遺産分割のところは、不動産を取得する人は「相続人」、不動産を取得しない人は「遺産分割」と記載します。

 

遺産分割調停の場合

① 遺産分割の調停調書の正本または謄本

②不動産を取得する相続人の、住民票または戸籍の附票

③不動産の固定資産評価証明書(または評価額の記載がある納税通知書)

 

遺産分割調停で話し合いがまとまると、調停調書という裁判所発行の書類が郵送されます。

調停調書があれば、相続関係を証明できるため、戸籍謄本を添付する必要はありません。

ただし、調停を申立てるときに戸籍謄本を裁判所に提出する必要があります。

調停調書は謄本でも構いません。

 

法定相続の場合

①被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票(または戸籍の附票)

②被相続人の出生から死亡までがわかる戸籍謄本

③相続人全員の、現在の戸籍謄本(または法定相続情報一覧図)

④相続関係説明図(または法定相続情報一覧図)

⑤不動産を取得する相続人の住民票または戸籍の附票

⑥不動産の固定資産評価証明書(または評価額の記載がある納税通知書)

 

必要書類の取得方法

以下の添付書類は、次の役所で取得できます。

  

  1. 1.戸籍謄本:本籍地の市区町村役場
  2. 2.住民票:住所地の市区町村役場
  3. 3.固定資産評価証明書:不動産所在地の市区町村役場

 

(b)遺産分割協議と(d)法定相続の場合、被相続人の出生から死亡までがわかる戸籍謄本が必要になります。

戸籍謄本を役所に請求するときに、「出生から死亡までがわかる戸籍謄本をお願いします」というメモを渡しておくと、その役所にある出生から死亡までがわかる戸籍謄本を出してくれます。

戸籍が移転している場合は、移転する前の戸籍謄本が必要になります。

法定相続情報一覧図がある場合、それを添付すれば、戸籍を添付する必要はありません。

法定相続情報一覧図とは、相続関係を証明する書類で、法務局が発行するものです。

法定相続情報一覧図については、こちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 法定相続情報証明制度とは何か?【相続手続きがラクになります】


相続人が固定資産評価証明書を請求する場合、相続人であることがわかる書類(不動産名義人の出生から死亡までの戸籍謄本)が必要です。

なので、先に戸籍をそろえてから、固定資産評価証明書を取得します。

納税通知書に「評価額」の記載がある場合は、固定資産評価証明書の代わりに納税通知書を添付することができます。

 


必要書類の有効期限

必要書類は、下記の例外を除いて、基本的には有効期限はありません。

法務局によっては、戸籍については1年以内に取得した戸籍の提出を求められる場合があります。

また印鑑証明書については、遺産分割協議の場合に必要な印鑑証明書には有効期限はありませんが、遺贈の場合に必要な登記義務者の印鑑証明書は作成後3カ月以内のものでないといけません。


固定資産評価証明書については、最新の年度のものが必要になります。

固定資産税評価証明書は、毎年4月1日に最新のものに切り替わりますので、4月1日以降に登記を申請する場合には、4月1日以降に取得した最新年度の固定資産評価証明書が必要となります。

たとえば、令和3年4月1日に登記を申請する場合は、令和3年度の固定資産評価証明書が必要になります。

令和3年3月31日に登記を申請する場合は、令和2年度の固定資産評価証明書が必要になります。

 

申請書を作成する

必要書類を集めたら、申請書を作成します。

申請する人は、遺言書による相続、遺産分割協議、遺産分割調停、法定相続の場合は、不動産を取得する相続人です。

遺贈の場合は、不動産を取得する人と相続人全員が共同で申請します。

ただし、遺言執行者がいる場合は、不動産を取得する人と遺言執行者が共同で申請します。

不動産を取得する人が登記権利者、相続人全員または遺言執行者が登記義務者になります。

登記権利者とは、登記によって利益を受ける人のことです。

登記義務者とは、登記によって不利益を受ける人のことです。


オンラインで申請する場合、申請書は使わないで、下記の「申請用総合ソフト」を使って申請します。


申請書のひな形がありますので、下記からダウンロードしてください。

  1. 遺言の場合、遺産分割協議の場合、遺産分割調停の場合、法定相続の場合
  2. 相続登記申請書
  3.  
  4. 遺贈の場合
  5. 遺贈登記申請書

 

記載例も載せておきます。

  1. 相続登記申請書 記載例

 

なお、登記を申請する際には、登録免許税という税金がかかります。

登録免許税は、不動産の固定資産評価額×0.4%です。

ただし遺贈の場合は、不動産の固定資産評価額×2%です。

登録免許税は、収入印紙で支払います。

紙に、印紙を貼り付けて、申請書と一緒に提出します。

申請書とのつづり目には、契印(割印)が必要です。

 

法務局に申請する

書類を集めて、申請書を作ったら、いよいよ申請です。

法務局という役所に申請します。

法務局

どこの法務局に申請してもいいわけではありません。

法務局には、不動産の所在地によって管轄が決まっています。

管轄は、法務局のホームページで確認できます。

  1. 外部リンク 管轄のご案内

 

申請する方法は3つあります。

  1. 1 窓口で申請する
  2. 2 郵送で申請する
  3. 3 オンラインで申請する

 

窓口で申請する

集めた書類一式を、法務局の窓口に持っていく方法です。

法務局の窓口は、平日の午前8時30分から午後5時15分までしか開いていないことが多いのが難点です。

地域によって差がありますが、申請してから5日~10日後に、権利証が出来上がることが多いです。

 

郵送で申請する

書類一式を、郵送する方法です。

平日に時間が取れない方でも、申請できます。

普通郵便ではなく、書留郵便もしくはレターパックで郵送します。

 

オンラインで申請する

オンラインで申請する方法です。

専用のソフト「申請用総合ソフト」 を使って申請します。

  1. 外部リンク:申請用総合ソフトとは

  

オンラインで申請する場合でも、戸籍などは紙なので、郵送するか、窓口に持っていく必要があります。

 

権利証を受け取る

最後に権利証を受け取ったら、無事に終了です。

なお、権利証は、正式には「登記識別情報」といいます。

登記識別情報は、こんな感じです。

昔の権利証と違って、こんな紙一枚が権利証になります。

下の方が袋とじになっていて、開封すると12桁の英数字が書いてあります。

売却したり、担保に入れるときに、権利証が必要になります。

権利証は、大事なものなので大切に保管なさってください。

失くしても売却できなくなることはありませんが、失くした場合は余分に費用がかかってしまいます。

また、権利証が他人の手にわたってしまったら、勝手に他人名義にされてしまうのではと思われるかもしれませんが、名義を書き換えるには、ほかにも、所有者の実印と印鑑証明書などが必要です。

権利証だけで名義の書き換えはできません。

 

相続登記の費用

自分で申請する場合、登録免許税と戸籍や住民票の取得費用がかかります。

郵送する場合は、送料もかかります。


司法書士に手続きを依頼する場合は、司法書士の報酬がかかります。

司法書士の報酬は、それぞれの事務所によって違いますので、依頼する場合は問い合わせて確認しましょう。


相続登記の期限

現在のところ、期限はありません。

なので、不動産の名義変更はいつ申請しても構いません。

ただし、現在、相続登記を義務化する法案が審議されており、2023年には相続登記について、期限が設けられる見通しとなっています。

くわしくは、こちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 【2021年】相続登記義務化について いつから? 罰則はある?


現在のところ期限はありませんが、できるだけ早く申請することをおすすめします。

放置している間にさらに相続が発生して、子供の子供、更にその子供と際限なく広がる可能性があります。

そうなると処分することが難しくなります。 そうならないように早めに相続登記を済ませましょう。


まとめ

以上、相続登記の方法を解説しましたが、自分でもできそうでしたか?

慣れてないとかなり手間と時間がかかりますが、一度自分でやってみるのもいいと思います。

そんな面倒くさい事はやってられないという方は、司法書士に依頼することができます。

当事務所でも、相続登記を行っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
 

それでは今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。