遺産分割協議とは何か?【遺産の分け方についての話し合い】

「父が突然亡くなったけど、父の残した財産についてどうしたらいいかわからない」

「兄が、自分は長男だから、親父の財産すべてもらう権利がある、なんて言ってるけど本当かしら…」

こういった疑問にお答えします。

遺産を相続した場合は、相続人同士で遺産の分け方を話し合う必要があります。

この話し合いのことを遺産分割協議といいます。

この記事では、遺産分割協議について相続専門の司法書士がわかりやすく解説します。

 

遺産分割協議とは何か?【遺産の分け方についての話し合い】

遺産分割協議とは、遺産を相続したときに相続人全員で遺産の分け方を話し合うことです。

一人でもこの話し合いに参加しない人がいたり、合意しない人がいると遺産分割協議は成立しません。

遺産分割協議の手順は次の通りになります。

  1. 手順1 まずは遺言書を確認
  2. 手順2 相続人が誰か確認する
  3. 手順3 相続それぞれの取り分を確認
  4. 手順4 遺産を確認する
  5. 手順5 遺産の分け方を決める

 

それではくわしく解説します。


手順1 まずは遺言書を確認

遺産を相続した場合は、まずは遺言書があるかどうか確認します。

相続人の方が遺言書を残している場合は、遺留分を侵害しない限りは、遺言書に書いてある通りに分けることになります。

遺留分についてはこちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 遺留分とは何かわかりやすく解説します


遺言書がある場合、遺言の通りに遺産を分けることになるので遺産分割協議をする必要はありません。

遺言書がない場合に、相続人全員で遺産分割協議をして、遺産の分け方を決めます。

なので、まずは遺言書があるかどうか確認します。

遺言書

 

なお、遺言書の中でも、「公正証書遺言」という公証人役場に保管されている遺言書については、遺言があるかどうか調べてくれます。

平成元年(1989年)以降に作られたものについては、氏名、生年月日、作成した日といった情報がデータベース化されていますので、全国どこの公証人役場でも、問い合わせできます。


 

手順2 相続人が誰か確認する

相続人が誰か確認します。

相続する権利がある人は法律で決められています。

相続する権利があるのは、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹です。


配偶者

配偶者とは、夫からすると妻、妻からすると夫のことです。

配偶者はつねに相続人になります。

ただし内縁関係では相続人になりません。


 

子ども

子どもは第一順位の相続人です。

被相続人(亡くなった方)より子どもが先に亡くなっていて、孫がいる場合は、孫が子どもの代わりに相続人になります。  


直系尊属

直系尊属とは被相続人、つまり亡くなった方の父母や祖父母のことです。

ただし、父母が健在の場合、祖父母が相続人になることはありません。

直系尊属は、子どもや孫がいない場合に相続人になります。  


兄弟姉妹

兄弟姉妹は、子や孫、父母や祖父母がいない場合に相続人になります。

被相続人、つまり亡くなった方より先に、兄弟姉妹が亡くなっていた場合は、甥や姪が兄弟姉妹の代わりに相続人になります。

 
相続人の範囲について、もっとくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 相続人の範囲【どこまでが相続人なのか】


手順3 相続それぞれの取り分を確認

相続人がひとりの場合、たとえば、相続人が、妻だけ、子どもだけの場合は、もちろんその人がすべて相続します。

相続人が複数いる場合、それぞれの取り分は次の通りです。  

 

  

配偶者と子どもが相続人の場合  

配偶者が1/2、子どもが1/2ずつ相続します。

子どもが複数いる場合は、1/2を均等に分けます。

たとえば相続人が配偶者と、子ども二人(長男と長女)の場合、次の割合で相続します。

  1. ・配偶者  1/2
  2. ・長男   1/4
  3. ・長女         1/4
配偶者と子どもが相続人の場合

被相続人より先に子どもが亡くなっていて、孫がいる場合は、孫が子どもの代わりに相続人になります(民法887条2項)。

また、子どもが相続欠格や廃除で相続する権利を失った場合も、孫が子どもの代わりに相続人になります。

相続欠格とは、サギや強迫で被相続人に遺言を書かせるなどの行為をした場合に相続する権利を失うことです(民法891条)。

廃除とは、被相続人に対して虐待や重大な侮辱を加えるなどの行為をした相続人について、被相続人が家庭裁判所に請求して相続人する権利を失わせることです(民法892条)。

相続欠格や廃除についてくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 相続人の範囲【どこまでが相続人なのか】


配偶者と父母・祖父母が相続人の場合

配偶者が2/3、残りの1/3を父母・祖父母で分けます。

たとえば相続人が配偶者と、父母2人の場合は、次の割合で相続します。

  1. ・配偶者  2/3
  2. ・母          1/3
  3. ・父          1/3
配偶者と父母・祖父母が相続人の場合


配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

配偶者が3/4、残りの1/4を兄弟姉妹で分け合います。

たとえば相続人が配偶者と、兄と姉の場合、次の割合で相続します。

  1. ・配偶者    3/4
  2. ・兄          1/8
  3. ・姉          1/8
配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

被相続人(亡くなった人)より先に、兄弟姉妹が亡くなっていたり、相続欠格や廃除で相続する権利を失っている場合は、甥や姪が兄弟姉妹の代わりに相続人になります(民法889条2項)。

ただし甥や姪が先に亡くなった場合でも、甥や姪の子どもが相続人になることはありません。


手順4 遺産を確認する

次に遺産を確認します。

相続人は、亡くなった方が、亡くなった時に所有していた、すべての財産を相続します(民法896条)。

不動産、預金、自動車、貴金属類など、すべての財産が、相続財産になります。

ただし、お墓や、位牌、仏壇などは相続財産になりません。 なので、お墓などは相続財産とは別に、引き継ぐ人を決めることができます。

   

一つだけ注意した方がいいのが、借金も相続財産になるということです。

なので、 亡くなった方が借金をしておられる場合は注意が必要です。

借金のほうが多い場合は、「相続放棄」という手続きを検討することになります。

相続放棄は、相続人が財産を相続することを放棄する手続きです。

相続放棄すると、借金を相続せずに済みます。

相続放棄については、別記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 相続放棄の手続きを解説します【必要書類や注意点】

 

借金は、各相続人に法定相続分に応じて承継されるので、遺産分割の対象になりません。

相続人間で債務を承継する人を決めることはできますが、債権者の承諾がない限り、それを債権者に主張することはできません。

 

手順5 遺産の分け方を決める

遺産分割協議

相続人と遺産が確定できたら、最後に遺産の分け方を決めます。

遺産分割協議は、相続人全員で話し合って決めます。

 

遺産分割協議はいつでも行うことができます。

ただし、被相続人は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産分割を禁止することができます(民法908条)。


ひとりでも話し合いに参加しない相続人がいれば、遺産分割協議は成立しませんので注意が必要です。

遺産分割協議は、全員が納得できる内容でないといけません。

多数決で決める、というわけにはいかないのです。

 

話し合いがまとまらない場合、裁判所での調停という手続きを利用することができます。

調停とは、裁判所が間に入って、それぞれの言い分を聴いて、和解案を提案したり、必要なアドバイスをして、合意をめざして、話し合いを進めていく制度です。

調停については、こちらにくわしくまとめましたので、ご覧ください。

  1. ・関連記事 遺産分割調停の流れ【相続争いを解決する方法を解説します】

 

この話し合いでは、「手順3 相続人それぞれの取り分を確認」で説明した取り分の通りに分けてもいいですし、まったく違う割合でもいいです。

全員が納得できる内容なら、分け方は自由です。


不動産はお一人の名義にしましょう

どういう分け方をしても自由なのですが、不動産に関しては、複数人共有の名義にしておくのは、おすすめできません。

共有名義だと、さらに名義人が亡くなって、相続が発生すると、権利関係が複雑になるからです。

名義人の数が増えると、トラブルが発生しやすくなり、不動産の管理もままならなくなってしまいます。

また、名義人全員が同意しないと不動産を売却できないので、処分しやすくするためにも、不動産は誰か一人の名義にしておいた方がいいでしょう。


代わりにお金を支払う、というやり方【代償分割】

相続財産の中に、預金や株式などの資産があまりなく、めぼしい財産が不動産だけという場合に、不動産を誰か一人が相続するとなったら、ほかの相続人にとっては不公平に感じてしまいますよね。

その場合は、だれか一人が不動産を相続する代わりに、ほかの相続人にお金を支払うという方法もあります。

これを「代償分割」といいます。


不動産を売却して、代金を分ける方法 【換価分割】

不動産を売却して、代金を分け合うという分け方もあります。

これを「換価分割」といいます。

不動産は分けづらいですが、お金に換えてしまえば分けやすくなります。

誰も、その不動産が欲しくないときなどに使える分け方です。


まとめ 

以上のように、遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合って決めます。

相続人同士でもめてしまわないように、じっくり話し合ってみてください。

以上、ながながと遺産の分け方について説明してきました。

相続したときに必要な手続きの流れについて別記事にまとめましたので、こちらもご覧ください。

  1. ・関連記事 相続手続きの流れ【相続したときにやらなければいけないこと】

 
それでは今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。