相続に必要な戸籍謄本の集め方と見方【生まれてからの戸籍】

相続手続きに悩んでいる人

「先日父が亡くなりました。不動産や銀行預金の相続手続きに、父の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本が必要と言われましたが、生まれてからの戸籍謄本の取り方がわかりません」


こういった疑問にお答えします。

亡くなった方が不動産や預金を遺していた場合、相続人はその財産を相続することができます。

しかし、財産を相続するためには、相続人が名義変更手続きをする必要があり、そのためには亡くなった方の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本が必要になります。

特に、戸籍謄本が必要になるのが不動産の名義変更(相続登記といいます)です。

  1. ・関連記事 相続登記:相続した不動産の名義変更のやり方

 

戸籍謄本を集めないといけないのが、相続手続きが大変な一因となっています。

この記事では、相続手続きに必要な、生まれてからの戸籍謄本の取り方について司法書士が解説します。

これを読めば、戸籍の取り方や戸籍の見方がわかります。

 

相続に必要な戸籍謄本の集め方と見方【生まれてからの戸籍】

戸籍謄本

相続した不動産や銀行預金などの遺産の名義変更するときに、被相続人(亡くなった方)の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本と、相続人の現在の戸籍謄本が必要になります。

生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本が必要な理由は、だれが相続人なのかを確認するためです。

次の人が相続人になります。

  1. ・配偶者
  2. ・子
  3. ・直系尊属
  4. ・兄弟姉妹

 

生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本のすべてがあれば、これらの人物を特定できます。

別の市町村への転籍(本籍地が移動すること)があった場合は、転籍する前に離婚した配偶者や、転籍する前に結婚したことにより戸籍から除籍された子どもは、最終の戸籍には記載されていません。

離婚した配偶者や、結婚したことにより戸籍から除籍された子どもは、転籍する前の戸籍にしか記載されていないので、相続人を確認するためには転籍する前の戸籍も必要になります。

というわけで、被相続人の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本がないと相続人を確認することができないのです。

 

戸籍謄本の取り方

市役所

戸籍謄本は、被相続人の本籍地の市区町村の役所で取れます。

戸籍謄本を、本籍地の役所に請求するときに、「○○(被相続人)の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本すべてをお願いします」というメモ書きを添えて請求すると、その役所にある戸籍謄本をすべて出してもらえます。

ただし、別の市区町村に転籍している場合は、その役所では転籍する前の戸籍は取得できないので、転籍する前の市区町村の役所に戸籍謄本を請求する必要があります。

下記の画像は戸籍謄本の見本ですが、大阪太郎さんの身分事項の婚姻のところに、従前戸籍として「大阪府大阪市城東区野江三丁目11番」と記載されています。

戸籍謄本

これは、「大阪府東大阪市荒本北一丁目1番」から、現在の「大阪府大阪市都島区東野田町一丁目21番14号」に本籍地が移動したということです。

これが転籍です。

現在の本籍地である大阪市都島区では、転籍前の戸籍は取れないので、東大阪市役所で、転籍前の戸籍謄本を請求する必要があります。

このように本籍地をたどっていって、生まれたときの戸籍謄本まで取ります。


戸籍の種類

戸籍には次のような種類があります。

  1. ・戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
  2. ・戸籍抄本(戸籍一部事項証明書)
  3. ・除籍謄本・抄本
  4. ・改製原戸籍謄本・抄本


戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)とは、戸籍の内容がすべて記載されている証明書です。


戸籍抄本(戸籍一部事項証明書)

戸籍抄本(戸籍一部事項証明書)とは、記載事項の一部を抜粋して記載している証明書です。

戸籍に記載されている一部の人だけの身分関係を記載しています。


除籍謄本・抄本

除籍とは、その戸籍に記載されている全員が、死亡や婚姻などで戸籍から外れた状態になった戸籍のことです。

除籍には、冒頭に「除籍」という記載があります。


改製原戸籍謄本・抄本

改製原戸籍(かいせいはらこせき)とは、戸籍法の改正などによって戸籍の記載内容や様式が変更になったことで閉鎖された戸籍のことです。

たとえば、直近でいうと平成6年の戸籍法改正で戸籍が順次コンピューター化さてました。

それまでは、紙に書かれていたものが、コンピューターで管理されるようになりました。

コンピューターで管理されるようになり、閉鎖された戸籍が改製原戸籍です。

このように、法律などの改正で戸籍の記載内容や様式が変更になる前の戸籍のことを改製原戸籍といいます。


古い戸籍

これまで何度か戸籍法が改正され、戸籍の様式が変わっていきました。

様式が変更になった年ごとに、次の種類の戸籍があります。

  1. ・明治5年式戸籍(壬申戸籍)
  2. ・明治19年式戸籍
  3. ・明治31年式戸籍
  4. ・大正4年式戸籍
  5. ・昭和23年式戸籍
  6. コンピューター化された現行戸籍


明治5年式戸籍(壬申戸籍)

日本1番最初の、全国統一の戸籍です。

ただし、身分差別的な記載があったため、現在では廃棄されてしまい取得できません。


明治19年式戸籍

明治19年式戸籍

現在取得できる最も古い様式の戸籍です。

戸主と、その直系・傍系の親族を記載しています。

住所を本籍として記載されており、戸籍は住所証明の機能も持っていました。

戸主の事項欄に「明治拾九年九月九日相続」とありますので、前戸主の鈴木太郎が亡くなり、鈴木一郎が家督相続し、この戸籍が作られたということです。

また、「明治四拾弐年五月拾五日午前八時死亡同日届」とあり、長男の勉の事項欄に家督相続の記載がありますので、鈴木一郎が亡くなり、勉が家督相続し、新しい戸籍が作られたということです。

ということで、この戸籍は明治19年9月9日から明治42年5月15日までの戸籍ということになります。


明治31年式戸籍

明治31年式戸籍
明治31年式戸籍

明治31年式戸籍は、「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄が追加されました。

戸主となった年月日とその理由が記載されます。


大正4年式戸籍

大正4年式戸籍
大正4年式戸籍

大正4年式戸籍では、「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」欄が廃止され、戸主の事項欄に記載されるようになりました。それ以外には、明治31年式戸籍と大きな変化はありません。


昭和23年式戸籍

昭和23年式戸籍

戦後に民法が改正され、それにより戸籍も大きく変わりました。

それまでは家単位で戸籍が編成されていましたが、戸籍に記載されるのは、夫婦とその子だけになりました。

また「戸主」はなくなり、「筆頭者」になりました。

それまでは戸主が亡くなると新たな戸籍が編成されていましたが、筆頭者が亡くなっても新たに戸籍が編成されることもなくなりました。

筆頭者が亡くなっても、その戸籍の筆頭者は、その亡くなった筆頭者のままです。

昭和23年式戸籍から戸籍事項欄というものが設けられました。

戸籍事項欄には、次のような全員に共通する事項が記載されるようになります。

  1. ・新戸籍の編製
  2. ・氏の変更
  3. ・転籍
  4.   など


たとえば、婚姻によって戸籍が編製された場合、「昭和○○年〇〇月○○日夫婦につき本戸籍編成」などと記載されます。


コンピューター化された現行戸籍

平成6年に戸籍法が改正され、現在のコンピュータ化された戸籍になりました。

コンピュータ化によって、現に効力を有する事項は移記されましたが、それ以外の事項は移記されません。

なので、コンピュータ化される前に、戸籍に記載されていた人が婚姻や死亡によって除籍されたという事実は移記されません。

この場合は、コンピュータ化される前の改製原戸籍を取得しないといけません。


戸籍の読み方のポイント

相続に必要な戸籍を取得するためには、転籍する前の本籍地に戸籍を請求していって、出生までさかのぼる必要があります。

そのためには、戸籍謄本を読んで、転籍前の本籍地を読み取る必要があります。

最近の戸籍は整理されていて読みやすいですが、昔の戸籍は少し複雑で、また手書きであるため読みにくい場合があります。

そこで古い戸籍の読み取り方のポイントを解説します。

戸籍を読むポイントは、戸籍がいつからいつまでの記載なのか把握することです。

まずは戸主欄を確認します。

戸籍を読むポイント
戸籍を読むポイント
戸籍を読むポイント

上記の戸籍の戸主は吉田義孝です。

戸主欄を見ると、大正4年5月2日に前戸主の吉田一也が亡くなり、義孝が家督相続したことにより、大正4年6月2日にこの戸籍が作成されたことがわかります。

さらに戸主の事項欄の最後の行を見ると、法改正によって戸籍が改製されたことにより、昭和35年5月14日に削除されたことがわかります。

よって、この戸籍は大正4年6月2日から昭和35年5月14日まで記載されているということです。

吉田義孝の本戸籍の在籍期間も同様です。


各人の戸籍の在籍期間

戸主の母、玉枝の事項欄に昭和26年6月19日に亡くなったと記載されています。

なので、玉枝の在籍期間は、大正4年6月2日から昭和26年6月19日までです。


戸主の弟、亨の事項欄に大正13年6月6日に婚姻したとの記載がありますが、この当時の戸籍法では、戸主を中心に「家」を単位に戸籍を編製していたので、この婚姻によっては新たな戸籍が作られることはありませんでした。

また、「改製により新戸籍編製につき昭和32年3月4日除籍」とありますが、これは戸籍法改正によって、戸籍が、一つの夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに編製するとされたため、亨について新たな戸籍が作られたということです。

なので、亨の在籍期間は、大正4年6月2日から昭和32年3月4日です。


戸主の叔父、貴の事項欄に大正8年1月21日に分家との記載があります。

なので、貴の在籍期間は、大正4年6月2日から大正8年1月21日です。


戸主の叔母、裕子の事項欄に昭和28年2月27日に死亡との記載があります。

なので、裕子の在籍期間は、大正4年6月2日から昭和28年2月27日です。


戸主の妻、明美の事項欄に「大正9年8月8日に婚姻」と記載があり、婚姻によって、この戸籍に入籍したことがわかります。

また除籍についての記載がないので、昭和35年5月14日の改製まで在籍していたということです。

なので、明美の在籍期間は、大正9年8月8日から昭和35年5月14日です。


戸主の長男、一郎の事項欄の記載から出生によって、この戸籍に入籍したことがわかります。

また出生欄に、大正10年11月30日とあります。

なので、一郎の在籍期間は、大正10年11月30日から昭和35年5月14日です。


戸籍が読めない場合は役所に聞く

古い戸籍は手書きされており、流れるように記載されているため読めない場合があります。

この場合は、その戸籍がある市区町村の役所に問い合わせましょう。

本籍と筆頭者(戸主)を伝えれば、役所の人がそれを見つけてくれ、教えてもらえます。


戸籍が廃棄されている場合

戸籍には保存期間があります。

除籍となった年度の翌年から150年で廃棄されます。

改製原戸籍も同様です。

ただ平成22年6月1日に取り扱いが変更されるまでは、除籍・改製原戸籍については80年、コンピューター化による改製原戸籍は100年が保存期間でしたので、それ以前の戸籍は廃棄されている可能性があります。

もし戸籍謄本などが廃棄された場合、市区町村長が廃棄した旨の証明書を発行してくれます。

相続登記の場合、廃棄された部分に関する戸籍謄本などを添付できないときは、市区町村長が作成した廃棄された旨の証明書を添付して、相続登記をすることができます(平成28年03月11日民二219)。


本籍地がわからない場合は住民票を取る

住民票

被相続人の本籍地がわからない場合、被相続人の最後の住所地の役所に住民票の除票の写しを請求します。

その際に、住民票の除票の写しに本籍地を記載するよう請求できます。

たとえば、以下のリンクは、大阪市の住民票の写し等請求書の書式ですが、日本人証明事項として、本籍地の表示にチェック欄があるので、ここにチェックをして住民票を請求すると、本籍地の記載のある住民票を取得できるため、被相続人の本籍地がわかります。

  1. 住民票の写し・印鑑登録証明書・戸籍の附票の写し等請求書


戸籍謄本は郵送でも請求できる

戸籍謄本は郵送でも請求できます。

郵送で請求する場合、次の書類を郵送します。

  1. ・戸籍謄本の請求書
  2. ・身分証明書のコピー
  3. ・手数料分の定額小為替
  4. ・返信用封筒


市区町村によっては、ほかにも添付書類が必要になる場合もあるかもしれませんので、それぞれの役所にお問い合わせください。

生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を請求する場合、何通になるかわからないため、手数料分の定額小為替は多めに入れておきましょう。

あまった分は返送してもらえます。


戸籍を集めるのが難しい場合

司法書士

戸籍の収集は慣れていないと難しいものです。

自分で戸籍を集めるのが難しくて相続手続きができない場合、司法書士に相続手続きを依頼することができます(戸籍の収集のみを依頼することはできません)。

司法書士に依頼すると、面倒な手続きを自分でする必要がなく、また自分でやるより早く仕上げてくれるかと思います。

大阪の方であれば、当事務所でも承っています。

当事務所の相続手続きサポートサービスの詳細はこちら

  1. ・関連記事 田渕司法書士・行政書士事務所の相続手続き総合サポートサービス


ご相談の方は、電話 (06-6356-7288) か、メールフォームからお問い合わせください。

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以上、相続手続きに必要な、生まれてからの戸籍謄本の取り方について解説しました。

ここまでお読みいただきありがとうございました。