遺産分割協議に期限はある?【基本的にはありませんが…】

「先日、父が亡くなりました。相続人は私と兄の二人ですが、兄が何かと理由を付けて遺産分割協議に応じてくれません。遺産分割協議には期限はありますか?」

相続の相談者

 

大阪の司法書士・行政書士の田渕です。

こういった疑問にお答えします。

基本的には遺産分割協議には期限はありません。

しかし、できれば早めに遺産分割協議をすることをおすすめします。

この記事では、遺産分割協議の期限についてわかりやすく解説します。

 

遺産分割協議に期限はある?【基本的にはありませんが

遺産分割協議には期限はありません。

何年も遺産分割協議しない場合でも、罰則があるわけではありません。

ただ、被相続人(亡くなった方)は遺言で、相続開始の時から五年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁止ことができ、その期間内は遺産分割をすることができません。

 

遺言で遺産分割禁止期間が定められていない場合は、いつでも遺産分割協議をすることができます。

 

できれば遺産分割はお早めに

「それじゃあ、遺産分割はいつしてもいいんですね。めんどくさいので、もっと後にしておきますね」

相続の相談者

 

確かに遺産分割には、期限はありませんが、できれば早めにすることをおすすめします。

理由は次の通りです。

  1. ・認知症など判断能力が低下すると、遺産分割協議できない
  2. ・相続発生から1年以内は、相続人が集まる機会が多い
  3. ・遺産分割協議しないまま、さらに相続が発生すると複雑になる
  4. ・相続登記が義務化される


くわしくみてみましょう。

 

遺産分割協議を早めにした方がいい理由1 認知症など判断能力が低下すると、遺産分割協議できない

遺産分割協議は、相続人同士で遺産の分け方を話し合って決定します。

しかし、相続人の中に、認知症などで判断能力が低下した人がいると、遺産分割協議することができません。

そうなると判断能力が低下した相続人に、成年後見人をたてて、相続人の代わりに成年後見人が遺産分割協議に参加しないといけません。

成年後見人を選任するには、時間も費用も掛かってしまいます。

成年後見人は、いったん選任されると、本人が亡くなるか、判断能力が回復するまで続きます。

遺産分割が終わったからといって、辞任することはありません。

 

また成年後見人は、本人の財産を守るために職務を行うため、極力、法定相続分を確保しようとするため、柔軟な遺産分割協議がしにくくなってしまいます。

そうなることを避けるためにも、早めに遺産分割協議を行った方がいいのです。

成年後見人についてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

・関連記事 成年後見人とは?司法書士がわかりやすく解説【毎月の費用は?】

 

遺産分割協議を早めにした方がいい理由2 相続発生から1年以内は、相続人が集まる機会が多い

相続が発生した直後は、法事などで相続人が集まる機会も多く、遺産の分け方について話し合いやすいといえます。

相続人が集まる機会が多いうちに、遺産分割協議をして、相続登記をしておきましょう。

時間が経ってしまうと、相続人同士が疎遠になって、遺産分割協議がしにくくなってしまいます。

 

遺産分割協議を早めにした方がいい理由3 遺産分割協議しないまま、さらに相続が発生すると複雑になる

相続で困っている人

遺産分割協議しないまま、相続が発生すると、孫世代が相続人になります。

そうなると、相続人の同士の関係が希薄になりがちで、より遺産分割協議がやりにくくなります。

遺産分割協議を放置して、さらに相続が発生するなどして、権利関係が複雑になると、処分したり、活用するのが難しくなり、空き家や所有者不明土地の原因になります。

 

遺産分割協議を早めにした方がいい理由4 相続登記が義務化される

令和6年4月1日から、相続登記が義務化されます。

相続登記とは、相続した不動産の名義変更のことです。

相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

相続登記の前提として遺産分割協議をすることがほとんどですので、遺産分割協議は早めにするべきです。

・関連記事 相続登記義務化を司法書士が解説 いつから?

 

遺産分割協議がまとまらない場合は調停

もし、遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停手続きを申し立てることになります。

遺産分割調停とは、遺産分割協議が当事者だけでの話し合いでは解決しない場合に、調停員という家庭裁判所の職員を間に挟んで話し合いをする制度です。

遺産分割調停の手続きについては、別の記事にくわしくまとめましたので、ご覧ください。

・関連記事 遺産分割調停の流れ【必要書類は?合意できなかったら?】

 

相続税の期限との関係

相続税の申告期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

相続税を支払わないといけない方は、上記の期間内に納付しないといけません。

上記の申告期限内に遺産分割協議がまとまらない場合は、相続人が法定相続分に従って取得したものとして相続税の計算をして、いったん期限内に申告・納付することになります。

 

遺産分割協議が成立したあとに、改めて各相続人が実際に取得した財産に基づいて相続税の計算をして、足りない場合は差額を納付し、多めに相続税を支払っている場合は、差額の還付を請求します。

 

まとめ

以上、遺産分割協議の期限について解説しました。

先ほども書きましたが、遺産分割協議の先送りは、さまざまな問題を引き起こしますので、お早めにすることをおすすめします。

遺産分割協議の進め方については、別記事にくわしくまとめましたので、ご覧ください。

・関連記事 遺産分割協議とは何か?【遺産の分け方についての話し合い】

 

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というわけで、今回は以上です。

お読みいただきありがとうございました。

 

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