遺産分割協議と相続放棄どちらがいい?【ひとりに相続させたい場合】

「先日、父が亡くなりました。相続人は、母と私と弟です。父の財産はすべて母にさせるということで、母も弟も納得しています。その場合、私と弟が相続放棄すればいいでしょうか?」

相続について相談する人

 

こういった疑問にお答えします。

相続人のうち誰かひとりに相続させたい場合、ほかの相続人が相続放棄すればいいと思っている方がいらっしゃいます。

しかし、こういう場合に相続放棄することには問題点があります。

こういう場合には、遺産分割協議をする方がいいです。

遺産分割協議とは、亡くなった方が遺言書を遺さなかった場合に、遺産の分け方を相続人全員で決める話し合いのことです。

 

この記事では、相続人のうち誰かひとりに相続させたい場合の相続放棄の問題点や、遺産分割協議の手続きなどについて解説します。


遺産分割協議と相続放棄どちらがいい?【ひとりに相続させたい場合】

相続人のうち誰かひとりに相続させたい場合、相続放棄ではなく、遺産分割協議をするべきです。

相続人のうち誰かひとりに相続させたい場合に、相続放棄することには次のような問題点があります。

  1. ・相続放棄は手続きが面倒
  2. ・相続放棄すると、別の人が相続人になる場合がある


それでは、くわしくみてみましょう。


相続放棄は手続きが面倒

相続放棄は、ただ放棄の意思表示をするだけではできません。

戸籍などの必要書類を集めて、家庭裁判所に申述しないといけません。

家庭裁判所

相続放棄の手続きについては、くわしくはこちらの記事をご覧ください。

  1. 関連記事 相続放棄の手続きを解説します【必要書類や注意点】


頑張れば、自分でも戸籍を集めて相続放棄の手続きをすることはできますが、面倒くさいです。

それに対して、遺産分割協議は、当事者が遺産の分け方を話し合って、遺産分割協議書という書面に話し合いの結果を書き記すだけでいいです。

遺産分割協議書に相続人全員が実印で押印して、印鑑証明書を付けたものがあれば、不動産や銀行預金などの被相続人(亡くなった方)の財産の名義変更をすることができます。

そのため、相続放棄より遺産分割協議の方が簡単な手続きで済みます。


相続放棄すると、別の人が相続人になる場合がある

相続放棄した結果、別の人が相続人になり、ややこしくなる場合があります。

具体例で説明しましょう。

 

たとえば被相続人が亡くなり、被相続人の親族が、妻と子ども2人と、兄弟姉妹の4人がいて、妻が財産のすべてを相続するようにしたい場合、子ども2人が相続放棄すると、相続する権利は次順位の相続人である兄弟姉妹4人に移ってしまいます。

ここで、相続する順位について説明します。

配偶者は常に相続人になりますが、配偶者以外の人は相続する順位が決められています。

  1. 第1順位 子
  2. 第2順位 直系尊属
  3. 第3順位 兄弟姉妹


先順位の人が一人でもいる場合、後の順位の人は相続人になれません。

しかし、先順位の相続人の全員が相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったと扱われるため、次順位の相続人に相続する権利が移ります。

そのため、事例のケースでは、当初の相続人は、妻と子ども2人です。

しかし、子ども2人が相続放棄すると、第3順位である兄弟姉妹に相続する権利が移ってしまいます。

その結果、兄弟姉妹4人が相続放棄するか、配偶者と夫の兄弟姉妹4人で遺産分割協議をしないと、配偶者一人に財産を承継させることはできません。

配偶者と夫の兄弟姉妹4人の仲が良い場合はいいのですが、仲が悪かったり、疎遠で連絡が取れないようだと非常にややこしい事態になってしまいます。

以上のように、相続人のうち誰かひとりに相続させたい場合に、相続放棄することには問題点があるので、その場合は遺産分割協議をすることをおすすめします。


遺産分割協議の手続きについて

遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分け方を話し合って、全員が合意すれば、成立します。

遺産分割協議の内容を遺産分割協議書に記載し、相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付すれば、遺産分割協議を証明する書類になります。

遺産分割協議書

遺産分割協議の手続きについは、くわしくはこちらの記事をご覧ください。

  1. 関連記事 遺産分割協議とは何か?【遺産の分け方についての話し合い】


今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。