司法書士に頼めること【相続・遺言、登記、後見、裁判など】
「司法書士って、どんなことを頼めるの?」
大阪の司法書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
弁護士は裁判をするときにお願いする人、税理士は税金について相談できる人というイメージがあるかと思いますが、司法書士は何を頼める人なのかわからないという方もいらっしゃるかと思います。
私自身、「司法書士って何をしている人なのかわからない」「司法書士って行政書士とどう違うの?」といったことを言われることがあります。
司法書士は、身近なお困りごと、迷っていることについて相談できる専門家です。
たとえば、相続手続き、遺言書の作成、不動産登記(不動産の名義変更)、会社設立、成年後見、裁判などといったことを依頼できます。
司法書士がどんなことができるかについて多くの人に知ってもらいたいので、司法書士に頼めることについて、くわしく解説します。
司法書士に頼めること【相続・遺言、登記、後見、裁判など】
司法書士は、身近なお困りごと、迷っていることについて相談できる専門家です。
具体的にいうと、法務局や裁判所に提出する書類の作成や、手続きの代理などです。
たとえば、不動産を売買したり、相続したときの名義変更手続き(登記手続き)や、会社・法人の設立手続き、遺言書作成のお手伝いなどがあります。
また140万円以内であれば、民事のトラブルについて、本人に代わって交渉したり、裁判をしたりすることもできます。
税理士や弁護士など他の専門家と連携している司法書士事務所も多いので、たとえ司法書士の業務の範囲外であっても、適切な専門家につないでくれるはずです。
なので、どこに相談していいかわからないというときは、司法書士に相談してみるというのもいいでしょう。
司法書士に頼めることとして、主に次のような事項があげられます。
・不動産登記(不動産の名義変更など)
・相続手続き
・遺言書の作成
・会社・法人の設立、商業登記
・成年後見、任意後見
・債務整理
・裁判など民事トラブル
司法書士に頼めること1 不動産登記(不動産の名義変更など)
不動産登記とは、不動産の名義変更など、不動産の権利に変動があった場合に、その権利変動を公に明らかにすることです。
たとえば、不動産を売買した場合、不動産の所有権は、売主から買主に移転するので、売主名義から買主名義に所有権移転の登記をすることが必要になります。
この不動産登記手続きは自分でもすることができますが、書類を集めるのが大変だったり、慣れていないと何度も役所に足を運ばないといけなくなることがあります。
また不動産登記手続きに不備があると、最悪の場合、不動産の権利を失う場合があります。
司法書士に不動産登記手続きを頼むとそのような心配はありません。
不動産登記手続きは、たとえば次のような場合に必要になります。
・家を新築したとき、建て替えたとき
・不動産を売買するとき
・不動産を贈与するとき
・不動産を持っている人が亡くなったとき
・住宅ローンを返済したとき
こんなときに、まず何からすればいいかわからないという場合は、司法書士に相談してみましょう。
司法書士に頼めること2 相続手続き
こんなときは、司法書士に依頼するといいでしょう。
・戸籍の集め方がわからない
・遺産を相続したけど、何をすればいいかわからない
・遺産分割協議についてアドバイスしてほしい
・父が多額の借金を遺して亡くなったので、相続放棄したい
不動産、銀行預金、株などの有価証券、自動車など、相続した財産は相続人へ名義を変更する必要があります。
・関連記事 相続登記の手続を司法書士が解説【不動産の名義変更】
・関連記事 預金の相続手続きをわかりやすく解説します【必要書類など】
こういった手続きは自分でもすることができますが、面倒ですし、慣れていないと書類が足りないなどの不備で、何度も役所に出向いたりして時間がかかることもあります。
被相続人が亡くなった直後というのは、大事な人が亡くなった悲しみがあり、また法事などで時間も取られるので、そういった手続は後回しになりがちです。
また、相続放棄については、被相続人が亡くなったことを知った時から3カ月以内にしないといけないことから、迅速に手続きを行わないといけません。
・関連記事 相続放棄の手続きをわかりやすく解説【必要書類や注意点など】
そこで、そういった手続きを司法書士に頼めば、面倒な手続きを代わりにやってくれます。
相続税については税理士、相続争いになっている場合は弁護士の領域になりますが、多くの司法書士事務所は税理士、弁護士と連携しているので、適切な専門家につないでもらうことができます。
なので、相続について困ったことがあるという場合は、まず司法書士に相談してみてください。
司法書士に頼めること3 遺言書の作成など生前対策
生前対策とは、遺された相続人が相続争いで揉めたり、自分が認知症になって財産の管理ができなくなり家族が困ってしまわないように事前に準備しておくことです。
代表的な生前対策が遺言書作成です。
遺言書は、自分が亡くなった後に、自分の財産をどの相続人に相続させるか、ということを指定するものです。
たとえば、次のようなことを記載します。
「長男○○には下記の不動産を相続させる。次男○○には下記の預貯金及び現金を相続させる」
相続人ではない人に、自分の財産を贈与することを遺言に記載することもできます。これを遺贈といいます。
また遺言書は、ただ財産の分け方を指定するだけでなく、残された家族へのメッセージを自由に書くことができます。
これを付言事項といいます。
たとえば、遺言を書いた人の「想い」や「願い」、このような趣旨の遺言を書いた理由などを記載します。
遺言書は家族への最後のメッセージです。
どうせ遺言を書くなら、最低限の必要事項だけを記載した遺言ではなく、家族への想いを伝える遺言書を書いてみましょう。
司法書士は、そうした心のこもった遺言書の作成のお手伝いをいたします。
司法書士に頼めること4 会社・法人の設立、商業登記
株式会社などの会社や、一般社団法人などの法人は登記することで設立することができます。
会社・法人の設立は自分でもすることができます。
・関連記事 株式会社の設立の流れをわかりやすく解説【必要書類】
・関連記事 合同会社(LLC)の設立の手順【必要書類や手続きの流れなど】
・関連記事 一般社団法人の設立手続の流れを司法書士がわかりやすく解説
しかし、会社・法人を起ち上げるときは、ほかにもたくさんあります。
そこで面倒な登記手続きは司法書士にアウトソーシングすることで、自分は経営に専念することができます。
会社や法人は設立するとき以外にも、次のような場合には登記することが必要です。
・役員変更
・本店移転
・商号(社名)の変更
・株式の発行、分割、併合
・合併や分割などのМ&A
・事業承継
このような場合は、まず司法書士に相談してしましょう。
司法書士に頼めること5 成年後見、任意後見
成年後見とは、認知症や知的障害などで、意思表示や財産管理がうまくできない人に代わって、成年後見人が契約や財産管理を行う制度です。
・関連記事 成年後見人とは?司法書士がわかりやすく解説【毎月の費用は?】
たとえば次のような場合に成年後見制度は利用されています。
・財産を相続したけど、判断能力がないので遺産分割協議ができない
・本人に財産管理能力がなく、預貯金の管理や日々の生活の支払いもできない
・施設に入所したいが、判断能力がないので契約できない
・所有する不動産が空き家になっているけど、判断能力がないので処分できない
成年後見人をたてるためには、家庭裁判所に申立てることが必要です。
家庭裁判所へ申し立てるには、申立書などの書類を作成し、戸籍などの書類を集める必要があります。
・関連記事 成年後見人の申立手続きを司法書士が解説【必要書類や費用など】
こういった書類の作成や収集は、自分でもできますが、慣れていないととても大変です。
こういった書類作成などを司法書士に頼むことができます。
また親族の中に成年後見人の候補者がいない場合、司法書士が専門職として後見人に就任することもできます。
家庭裁判所に成年後見人の専門職として認められているのは、司法書士、弁護士、社会福祉士です。
親族の中に適任な成年後見人の候補がいない場合、基本的にこれらの専門職が選ばれます。
このうち一番、成年後見人に就任しているのは司法書士です。
任意後見は、判断能力が低下してしまう前に後見人になる人を指名しておく契約です。
・関連記事 任意後見とは 司法書士がわかりやすく解説【成年後見との違い】
任意後見を利用するためは、契約書を公正証書で作成することが必要になります。
司法書士はこの任意後見契約書の作成をすることができます。
また成年後見と同様、任意後見人になることもできます。
司法書士に頼めること6 債務整理
司法書士は、借金についての相談にも対応します。
借金について、返済するのが大変になってきた、このままでは返済できない、そんなときは司法書士に相談してみてください。
借金問題を解決するためには、いろんな法的手続きがあります。
司法書士があなたに合った債務整理の方法を提案します。
またヤミ金業者への対応も行います。
債務整理には、次のような方法があります。
・任意整理
・自己破産
・個人再生
・特定調停
・過払い金返還請求
・時効援用
・相続放棄
債務整理1 任意整理
司法書士が債権者と依頼者の間に入って、返済方法の交渉を行う方法です。
交渉によって、利息や遅延損害金のカットや返済期間の引き延ばしを引き出します。
利息制限法の上限金利を超えていれば、過払い金が発生することがあります。
ただし、1社あたり140万円を超える任意整理や過払い請求は司法書士に頼むことはできません。
もっとも、その場合は弁護士につないでもらえますので、まずは司法書士に相談してみましょう。
債務整理2 自己破産
債務者の財産を債権者に分配して、残りの借金を免除してもらう手続きです。
財産を分配するといっても、日常生活に必要な家財道具や最低限の生活に必要な現金、預金などは分配されません。
自己破産するためには、たくさんの書類を裁判所に提出しないといけませんが、司法書士は裁判所に提出する書類を作成することができます。
債務整理3 過払い金返還請求
過払い金返還請求とは、貸金業者に対して過去に支払った利息のうち、払い過ぎた利息(過払い金)を返還してもらう手続きのことを指します。
かつて一部の貸金業者が法律で定められた上限を超える利息を受け取っていたことから、これを取り戻すことができます。
債務整理4 個人再生
個人再生とは、継続的な収入の見込みがあり、借金の総額が5000万円以下の場合に、借金を一部免除して、残った借金を原則3年間で分割返済する手続きです。
個人再生には、給与所得者等再生と小規模個人再生があります。
給与所得者等再生とは、給与所得者が対象で、可処分所得の2年分以上を原則3年で返済すれば残りの借金を免除するという手続きです。
小規模個人再生は、給与所得者だけでなく個人事業主なども対象で、借金の5分の1(基準債権が1500万円を超え3000万円以下の場合には300万円、3000万円を超える場合は10分の1)か、100万円以上を返済すれば残った借金は免除するという手続きです。
個人再生は破産以上に、多くの書類を裁判所に提出しないといけませんが、司法書士は裁判所に提出する書類を作成することができます。
債務整理5 特定調停
特定調停とは、調停委員という裁判所の職員が、債権者と債務者の間に入って話し合いをする手続きです。
調停を求める額が140万円以内であれば司法書士が代理することができます。
司法書士に頼めること7 裁判など民事トラブル
人とトラブルになって、誰かを訴えたいとき、または訴えられたとき、訴状や答弁書といった書類を裁判所へ提出しないといけません。
司法書士はそういった裁判関係の書類を作成することができます。
また140万円以内であれば、相手方と交渉したり、代理人として裁判手続きを行うことができます。
たとえば、次のようなトラブルがあった場合に、対応可能です。
・交通事故
・悪質商法、クーリングオフ
・建物明渡しの請求
・滞納家賃、管理費の請求
司法書士に頼めること8 その他の業務
司法書士はこれ以外にも、以下のような幅広い業務を行っています。
具体例
・契約書の作成
・離婚協議書の作成
・裁判所への提出書類の作成
司法書士に依頼するメリット
司法書士に依頼するメリットとして次のことがあげられます。
・専門知識を活用できる
・時間と労力の節約
・安心感
司法書士に依頼するメリット1 専門知識を活用できる
法律に関する知識が豊富な司法書士に依頼することで、手続きがスムーズに進みます。
司法書士に依頼するメリット2 時間と労力の節約
煩雑な手続きや書類作成を代行してくれるため、自分の時間を有効活用できます。
司法書士に依頼するメリット3 安心感
手続きに不備があると後々問題が生じる可能性がありますが、プロに任せることでリスクを減らせます。
司法書士に依頼する場合の注意点
司法書士に依頼する際にはいくつかの注意点があります。以下に、ポイントをまとめました。
司法書士に依頼する場合の注意点1. 業務範囲の確認
司法書士が対応できる業務には限界があります。たとえば、訴訟に関する代理業務や、弁護士の独占業務に該当するような法的助言は行えません。自分の依頼内容が司法書士の業務範囲内であるか確認しましょう。
司法書士に依頼する場合の注意点2. 費用の確認
司法書士に依頼する際には、費用がどの程度かかるかを事前に確認しましょう。費用には、報酬だけでなく、実費(印紙代や交通費など)も含まれる場合があります。見積書を依頼すると安心です。
司法書士に依頼する場合の注意点3. 経験や実績の確認
特に相続や不動産登記などの専門性が必要な業務では、依頼する司法書士の経験や実績を確認することをお勧めします。過去の事例や得意分野を聞いてみるとよいでしょう。
司法書士に依頼する場合の注意点4 コミュニケーションの重要性
依頼者と司法書士の間でスムーズなコミュニケーションが取れることは非常に大切です。説明が分かりやすく、質問に丁寧に答えてくれるかどうかを確認してください。
まとめ
以上、司法書士に頼めることについて解説しました。
当事務所は大阪の司法書士事務所です。
当事務所では、上記の様々な業務を承っています。
初回相談無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは電話(06-6356-7288)かメールフォームからお願いいたします。
というわけで今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。