(2021年版)株式会社設立手続きの流れ【必要書類などくわしく解説します】

「株式会社を設立したいのですが、自分でも手続きは可能なんでしょうか?」

会社設立の相談

 

こういった疑問にお答えします。

手間や時間がかかってしまいますが、自分で株式会社の設立手続きを行うことは可能です。

この記事では、自分で設立手続きをしてみようという方のために、株式会社の設立手続きの流れについて、商業登記の専門家の司法書士がくわしく解説します。

合同会社や一般社団法人を設立したい方は、こちらをご覧ください。

  1. ・関連リンク 合同会社(LLC)の設立の手順【必要書類や手続きの流れなど】
  2. ・関連リンク 一般社団法人の設立を自分でする方法【手続きの流れを解説】


株式会社と合同会社の違いなどについては、こちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 株式会社と合同会社の違いとは?【どちらの会社がいい?】

 

目次

株式会社設立手続きの流れ【必要書類などくわしく解説します】

株式会社設立の大まかな流れは次の通りです。

  1. 株式会社の重要事項を決める
  2. 会社の実印を作る
  3. 定款を作成
  4. 実質的支配者となるべき者の申告書を作成
  5. 定款と実質的支配者となるべき者の申告書を公証人に認証してもらう。 
  6. 出資金を発起人の個人口座に振り込むか、入金する
  7. 預金通帳のコピーを取る
  8. その他の必要書類を作成
  9. 法務局へ登記申請  
  10. 登記完了後、登記事項証明書・会社の印鑑カード・印鑑証明書の交付を受ける
  11. 銀行で新会社預金口座を開設して、資本金を入金
  12. 会社設立後の手続き


それでは、くわしく見ていきましょう。


株式会社の重要事項を決める

定款

はじめに、設立にあたって株式会社の重要事項を決めましょう。

たとえば、次のような事項です。

  1. ・発起人
  2. ・発起設立か募集設立か
  3. ・商号 
  4. ・本店所在地
  5. ・出資者と出資額
  6. ・資本金
  7. ・1株あたりの金額
  8. ・発行可能株式総数
  9. ・株式の譲渡制限の定め
  10. ・公告方法
  11. ・機関
  12. ・役員           
  13. ・役員の任期
  14. ・会社の目的
  15. ・決算期(事業年度)
  16. ・設立予定日
  17. ・その他


それではくわしく解説します。


発起人

発起人は、株式会社の設立を企画する人です。

発起人の氏名・住所は定款の記載事項です。

 

発起設立か募集設立か

株式会社の設立方法には、発起設立と募集設立があります。

発起設立とは、発起人だけが出資する設立方法です。

募集設立とは、発起人以外にも広く出資する人を募集する設立方法です。

募集設立は知名度がある会社が新たに関連会社を設立する場合などに用いられます。

ほとんどの株式会社は発起設立で設立されますので、この記事では発起設立について解説します。

 

商号

商号とは、会社の名前、屋号です。

名前の前か後に「株式会社」を入れないといけません。

例えば、「株式会社ABC」「ABC株式会社」などです。

ひらがなの「かぶしきがいしゃ」や、カタカナの「カブシキガイシャ」にすることはできません。

そのほか商号については、使用可能な文字など、こまかいルールがあります。

くわしくは、こちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 【商業登記】会社・法人の名前を決めるときのルールや注意点を解説します

 

商号は定款の記載事項で、登記事項です。

定款には、次のように記載します。

  1. ・第〇条 当会社は、エイビーシービジネスサービス株式会社と称する。英文では、ABC Business Service Co., Ltdと表示する。


本店所在地

株式会社の本店の所在地です。

株式会社

本店所在地は定款の記載事項ですが、定款には市町村(特別区では区)まで決めておけば足り、町名以降は記載する必要はありません。

同じ市町村内で本店移転した場合でも定款を変更しなくてもいいので、定款には市町村(特別区では区)のみ記載しておくことをおすすめします。

なお、登記については、番地まで記載する必要があります。

定款に市町村のみ記載している場合は、具体的な所在場所を発起人の過半数の一致で決定しないといけません。

定款には、次のように記載します。

  1. ・第〇条 当会社は、本店を大阪市に置く。


出資者と出資額

株式会社に出資する人と出資する額を決めます。

発起人は、設立時の株式を一株以上引き受けないといけません(会社法25条2項)。

発起人が複数いる場合は、次の事項を発起人全員の同意で決定するか、定款で定めることが必要です(会社法32条1項)

  1. ・発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
  2. ・設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
  3. ・資本金及び資本準備金の額に関する事項
会社設立の相談


設立に際して出資される財産の額またはその最低額は、定款の記載事項です(会社法27条4号)。

 

資本金

原則として、出資した額は全額が資本金になります(会社法445条1項)。

ただし出資した額の2分の1まで資本金として計上しないことができます。

資本金として計上しないことにした額は資本準備金として計上することになります。

出資

 

資本金の額が1000万円以上になると、1年目から消費税の納税義務が発生するので注意が必要です。

設立から間もない会社は、資本金が1000万円未満の場合、1年間は消費税の納付が免除されます。

また設立から6か月間の課税売上高が1000万円を超えない場合には、2年目も消費税が免除されます。

 

資本金の額は定款に記載するか、発起人全員の同意で決定します(会社法32条1項)。

資本金を定款に記載しない場合は、発起人全員の同意書が登記の添付書類になります。

資本金の額は、定款に記載しなくてもいいですが、登記事項です。


1株あたりの金額

1株あたりの金額は自由に決めることができます。

出資額が100万円で1株当たりの金額を5万円にした場合、発行する株式は20株になります。

 

発行可能株式総数

発行できる株式の上限です。

発行可能株式総数は定款の記載事項で、登記事項です。

定款には、次のように記載します。

  1. ・第〇条 当会社の発行可能株式総数、1万株とする。

 

株式の譲渡制限の定め

株式を取得するのに会社の承諾を必要とする旨の規定を置くことができます(会社法107条2項1号)。

上場企業などは、自由に株式を取引できますよね。

しかし、中小企業や同族会社には、会社の株主は親族や仲間だけにしたいというニーズがあります。

そこで、株式の取得について、会社の承諾を必要とすることにして、知らない人が株主になることを防ぐことができます。

新しく設立する会社のほとんどが、この規定を置いています。

株式の譲渡制限の定めは、定款の記載事項で、登記事項です。

定款には、次のように記載します。

  1. ・第〇条 当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を要する。

 

「当会社」の部分を、「株主総会」「取締役会」などにすることもできます。

 


公告方法

公告とは、会社の情報公開のことです。

株式会社は公告しないといけない事項が決められていますが、代表的なのは決算公告です。

株式会社は、定時株主総会の後、貸借対照表を公告しなければいけません(会社法440条)。

公告方法は定款の記載事項で、登記事項です。

官報

公告方法として、次の中から選択することになります。

  1. ・官報
  2. ・新聞
  3. ・ホームページ(電子公告)

 

官報とは、国が発行する新聞のようなものです。

掲載するには掲載料がかかります。

新聞は、発行される場所を特定します。

たとえば、次のように定款に記載します。

  1. ・第〇条 当会社の公告方法は、大阪府において発行する○○新聞に掲載する方法とする。

 

ホームページを公告方法にする場合は、定款にその旨を定めるだけでよく、具体的なURLは、発起人が適宜決定することになります。URLは登記事項です。

ホームページを公告方法にした場合、決算公告のためのURLを別に決めることもできます。

 

機関設計と役員

CEO

機関とは、株主総会、取締役、取締役会、監査役、監査役会、会計監査人など会社のために、会社の意思決定、業務執行、管理・運営などを行う立場の人たちです。

どの機関を置くのか決める必要があります。


株主総会

株主総会は、株主が参加する株式会社の意思決定するための機関です。

株主総会は絶対に置かないといけません。


取締役

取締役は、株主総会で選任される株式会社の業務を執行する機関です。

取締役は絶対に置かないといけません。

取締役会を置かない場合は、取締役は1名いれば大丈夫です。

取締役会を置く場合は、取締役は3名以上にする必要があります。

また、取締役の人数を定款で定めることもできます。


代表取締役

代表取締役は、会社を代表する権限がある取締役です。

取締役会を置かない会社では、基本的には取締役全員が代表権を持っていますが、取締役の中から代表取締役を選任することもできます。

取締役会を置く会社は、取締役会が取締役の中から代表取締役を選任しないといけません。


取締役会

取締役会はすべての取締役で構成される機関です。

株式会社の業務執行を決定し、各取締役の職務執行を監督します。

取締役会は、法令や定款で株主総会の決議事項とされていること以外の事項について決定する権限があります。


監査役

監査役は、取締役の職務執行を監査する機関です。

監査役には、取締役の不正を発見したときは、取締役や取締役会へ報告する義務があります(会社法382条)。


監査役会

監査役会は、すべての監査役で構成される機関です。

監査報告を作成したり、常勤の監査役の選定・解職を行います。

監査役会には3人以上の監査役が必要で、その半数以上は社外監査役である必要があります。


会計参与

会計参与は、取締役と共同して計算書類(損益計算書、貸借対照表など)を作成する機関です。

会計参与は、税理士・税理士法人または公認会計士・監査法人でないといけません。


会計監査人

会計監査人は、会社の計算書類を監査する機関です。

会計監査人は、公認会計士や監査法人でないといけません。


指名委員会、監査委員会、報酬委員会

指名委員会とは、株主総会に提出する取締役や会計参与の選任、解任に関する議案の内容を決定する機関です。

監査委員会とは、執行役等の監査や監査報告の作成、会計監査人の選任・解任を行う機関です。

報酬委員会とは、執行役等の個人別の報酬等の内容を決定する機関です。

これらの委員会を設置する会社のことを指名委員会等設置会社といいます。

株式会社の統治機構を強化するための制度ですが、この制度を採用している株主総会は多くありません。


執行役

執行役は、指名委員会等設置会社において業務執行を行う機関です。


監査等委員会

監査等委員会は、指名委員会等設置会社の監査委員会と同様の機能を持つ機関です。

指名委員会等設置会社とは異なり、指名委員会と報酬委員会は置かず、監査等委員会のみを置く会社を監査等委員会といいます。


機関の設置パターン

機関の設置パターンは、公開会社かどうか、大会社かどうかによって大きく分かれます。

公開会社とは、株式の取得に会社の承認が必要ない会社のことです。

大会社とは、最終事業年度の資本金が五億円以上である、または最終事業年度の負債の額の合計額が200億円以上である会社のことです。


公開会社ではない大会社以外の会社
  • 取締役
  • 取締役+監査役
  • 取締役+監査役+会計監査人
  • 取締役会+会計参与
  • 取締役会+監査役
  • 取締役会+監査役+監査役会
  • 取締役会+監査役+会計監査人
  • 取締役会+監査役+監査役会+会計監査人
  • 取締役会+監査当委員会+会計監査人
  • 取締役会+指名委員会等+会計監査人


公開会社である大会社以外の会社
  • 取締役会+監査役
  • 取締役会+監査役+監査役会
  • 取締役会+監査役+会計監査人
  • 取締役会+監査役+監査役会+会計監査人
  • 取締役会+監査当委員会+会計監査人
  • 取締役会+指名委員会等+会計監査人


公開会社ではない大会社
  • 取締役+監査役+会計監査人
  • 取締役会+監査役+会計監査人
  • 取締役会+監査役+監査役会+会計監査人
  • 取締役会+監査当委員会+会計監査人
  • 取締役会+指名委員会等+会計監査人


公開会社である大会社
  • 取締役会+監査役+監査役会+会計監査人
  • 取締役会+監査当委員会+会計監査人
  • 取締役会+指名委員会等+会計監査人


ただし多くの新設の会社の機関の設置パターンは、次のいずれかです。

公開会社ではない大会社以外の会社

  1. ・取締役
  2. ・取締役会+監査役


機関を取締役のみとすると、取締役の判断をすぐに実行でき、機動的な経営をすることができます。

個人事業の延長で、第三者から出資を受けることなく自分ひとりで起業する場合は、取締役のみ置く構成の方がいいでしょう。

起業当初に投資家から出資を受ける予定がある場合は、「取締役会+監査役」の構成にすることも考えられます。

自分ひとりで事業するのではなく投資家から出資を受ける場合、取締役の業務執行の監督機能を強化しないといけません。

「取締役会+監査役」の構成だと、取締役会と監査役の2つの機関が取締役の業務執行を監督することができます。


なお株主総会と取締役以外の機関の設置状況は登記事項です。


定款への記載

定款には、次のように記載します。

  • (機関)
  • 当会社は、株主総会と取締役のほか、次の機関を置く。
  • 一 取締役会
  • 二 監査役

 

役員の任期

役員の任期を決めます。

取締役の任期は、原則として2年です。

ただし、定款や株主総会の決議で短縮することができます(会社法332条1項)。

また非公開会社(株式を取得するのに会社の承認が必要な会社)の場合、定款で10年まで伸長することができます。

 

監査役の任期は、原則として4年です。

非公開会社の場合、定款で10年まで伸長することができます。

監査役の任期は、原則として短縮できません。

 

「役員の任期は何年にするのがいいですか?」

会社の相談

 

任期を短くすると、改選や登記の間隔が短くコストがかかってしまいます。

役員が全員重任し、変更がない場合でも変更登記は必要になります。

 

一方、任期が長いと、取締役に辞めてもらいたいのになかなか辞めてくれない場合、取締役への違約金が発生したり、解任の手続きが必要になる可能性があります。

取締役を解任してしまうと会社に内紛が起こっていると思われ、取引先や金融機関に警戒される可能性があるので、できれば解任は避けないといけません。

 

そこで取締役の任期は2~4年程度にするのが良いのではないかと思います。

取締役が自分ひとりの会社の場合は、10年でも問題ありません。

 

会社の目的

「目的」とは、会社が行う予定の事業のことです。

会社の目的はわかりやすく明確でないといけません。

明確とは、意味が明瞭で一般の人からみて理解可能なことです。

ローマ字による用語や専門用語などを使用する場合、それが社会一般に認知されていないときは、明確でないとして登記できない可能性があります。

ローマ字による用語や専門用語などを使う場合は、括弧書きでその用語を説明するようにするといいでしょう。

また法律に反する、または公序良俗に反する事業を目的とすることはできません。

 

事業年度(決算期)

事業年度(決算期)は、会社が自由に定款で決めることができます。

ただし、事業年度は1年を超えることはできません(会社計算規則59条2項)。

定款には次のように記載します。

  1. ・第〇条 当会社の事業年度は、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年とする。

 

事業年度は、登記事項ではありません。


設立予定日

会社の設立日は、設立登記を申請した日です。

法務局が閉まっている土日祝日や年末年始などを設立日にすることはできません。

また会社の設立には準備期間(ケースによって異なりますが、2、3週間くらい)が必要なので、設立日にこだわる場合は、余裕をもって予定日を決めておきましょう。


その他

そのほか、あまり重要ではないですか、次の事項について決定します。

  1. ・株券発行会社の定め
  2. ・基準日
  3. ・株主総会の決議の方法

 

株券発行会社の定め

現在は、株券は発行しないのが原則です。

しかし、定款で定めることで株券を発行することができます(会社法214条)。

株券発行会社の定めは、定款の記載事項で、登記事項です。

 

基準日

基準日とは、株主総会の議決権の行使や配当を受ける権利など、株主としての権利を行使できる人を定めるための一定の日のことです(会社法124条1項)。

基準日に株主名簿に記載されている株主が、株主としての権利を行使することができます。

基準日を定めたときは、基準日の2週間前までに当該基準日と、基準日株主が行使できる権利の内容を公告しないといけませんが、定款に定めがあるときは公告は必要ありません。

なので基準日を定める場合は、これらの定めを定款に置くのが一般的です。

定款には、たとえば次のように記載します。

  1. (基準日)
  2. 第○条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を行使することができる株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。
  3. 2 前項のほか必要があるときは、取締役会の決議によりあらかじめ公告して臨時に基準日を定めることができる。

 

株主総会の決議の方法

株主総会の普通決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行うとされています(会社法309条1項)。

しかし、定款で別段の定めを置くこともできます。

定足数(株主総会を開催するための最小限の議決権の数)を排除したり、軽減したり加重したりできます。

決議用件については、過半数より軽減することはできませんが、加重して決議を成立しにくくすることはできます。

 

会社の実印を作る

重要な事項を決めたら、次に会社の実印を作ります。

制度上は、会社の印鑑届について任意になりましたが、まだまだ金融機関などから印鑑証明書の提出を求められることが多いですので、実印を作る必要があります。

  1. ・関連記事 会社の印鑑届は必要?【制度上は任意になりましたが、実際は届出必須】


定款を作成

定款を作成する。

定款は、会社の根本的な規則であり、書面または電子データで作成します(会社法26条)。
 

一般的な会社の定款のひな形を用意しましたので、 会社の状況に合わせて作成してください。

取締役一人だけの最小限の会社の定款と、株式は非公開で取締役会を設置する会社の定款の2つあります。

  1. 定款 取締役一人
  2. 定款 取締役会設置


定款に、はじめに決定した設立事項などを記載していきます。

ちなみに定款には、次の記載事項があります。

  1. ・絶対的記載事項
  2. ・相対的記載事項
  3. ・任意的記載事項

 

絶対的記載事項

定款に必ず記載しないといけない事項です。

絶対的記載事項は次の通りです。

  1. ・目的
  2. ・商号
  3. ・本店の所在地
  4. ・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  5. ・発起人の氏名、名称及び住所

 

相対的記載事項

定款に規定しなくてもいいが、定款に規定しないと効力が発生しない事項です。

相対的記載事項は次の通りです。

  1. ・現物出資
  2. ・財産引き受け
  3. ・発起人の報酬、特別利益
  4. ・設立費用
  5. ・会社の株式を譲渡により取得する場合に会社の承認を必要とする規定
  6. ・株券を発行する旨  など数多くあります

 

任意的記載事項

定款に記載しなくても効力が生じるが、明確にするなどのために定款に記載できる事項です。

任意的記載事項は次の通りです。

  1. ・定時株主総会の招集時期
  2. ・事業年度
  3. ・株主総会の議長 など

 

実質的支配者となるべき者の申告書を作成

定款と同時に実質的支配者となるべき者の申告書を作成します。

実質的支配者となるべき者の申告書は、暴力団や国際テロリストなどの反社会的勢力による法人の不正使用などを防ぐために提出する書類です。

法人設立の時に実質的支配者となるべき者について、その氏名、住居及び生年月日等と、その者が暴力団員及び国際テロリストに該当するか否かを公証人に申告します。

申告書の書式を用意しましたので、ダウンロードしてください。

  1. ・実質的支配者となるべき者の申告書


定款と実質的支配者となるべき者の申告書を公証人に認証してもらう

定款と実質的支配者となるべき者の申告書を公証人に認証してもらいます。

定款は、公証人に認証してもらわないと効力を生じません(会社法30条1項)。

以前は、公証役場まで出向いて、公証人の面前で本人確認する必要がありましたが、現在はテレビ電話を使って定款認証することができます。

次の場合に、テレビ電話認証を利用できます。

  1. ・発起人が電子定款に電子署名して、自らオンライン申請する場合
  2. ・発起人が委任状に電子署名して、定款作成代理人(司法書士など)がオンライン申請する場合

 

上記の通り、テレビ電話認証を利用するには、電子証明できる環境が必要になります。

テレビ電話認証手続きの手順は次の通りです。

  1. 事前に、定款の案を公証役場にメールして事前調査を受ける
  2.   ↓
  3. テレビ電話による認証の希望日時を予約する
  4.   ↓
  5. 公証人から日時とテレビ電話用のURLがメールで届く
  6.   ↓
  7. 予約当日までに、認証を受ける電子定款をオンライン申請

 

予約日時に、公証人からのメールに記載されたURLをクリックすると、公証人とつながりますので、本人確認のため、免許証などの顔写真付きの公的機関発行の身分証明書を画面に提示します。

公証人が本人確認を行って、認証を行っても問題ないと判断すると、電子定款に認証して、認証済み電子定款を送信してくれます。

公証人の手数料はネットバンキング等で支払います。

公証人の手数料は、5万円(電子定款ではない場合は9万円)です。

また、定款の謄本の発行手数料は、謄本1枚につき250円かかります。

謄本は3枚ほど請求しておきましょう。

 

出資金を発起人の個人口座に振り込むか、入金する

定款認証の後に、出資金を発起人の個人口座に振り込むか、入金します。

必ず定款認証の後に行ってください

そうしないと登記することができません。

発起人の個人口座から、出資金の額を引き出して、すぐに入金するのでも構いません。

 

預金通帳のコピーを取る

通帳

出資金が入金された口座の預金通帳のコピーを取ります。

通帳の、以下のページのコピーが必要です。

  1. ・表面(金融機関名が表示しているページ)
  2. ・裏面(金融機関支店名が表示しているページ)
  3. ・入金した金額が記載されているページ

 

通帳のコピーは、「払込証明書」という書類と合綴して、契印(割印)してください。

払込証明書のひな形はこちらです。 会社の状況に合わせて作成してください。

 ・払込証明書

 

払込証明書は、会社の実印による押印が必要です。

 

その他の必要書類を作成

そのほかの登記に必要な書類を作成します。

発起設立の場合の、一般的な必要書類は次の通りです。

  1. 1 定款
  2. 2 発起人の同意書
  3. 3 払込証明書
  4. 4 設立時の役員を選任したことを証する書面
  5. 5 役員の就任承諾書
  6. 6 印鑑証明書
  7. 7 取締役、監査役の本人確認証明書 
  8. 8 資本金の額が会社法及び計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面
  9. 9 印鑑届出書

 

1 定款

定款は、すでに説明した通りです。


2 発起人の同意書

定款に定めがない限り、次の事項は発起人全員で決定することになります。

なので次の場合は、発起人全員の同意があったことを証明する書面が必要になります。

  1. ・発起人が割当てを受ける設立時株式の数
  2. ・株式と引換えに払い込む金銭の額
  3. ・出資された財産の一部を資本金としない場合には、資本金及び資本準備金に関する事項
  4. ・種類株式発行会社において、定款で株式の内容の要綱を定めた場合には、その具体的内容
  5. ・発行可能株式総数


書類

 

定款に定めがない限り、次の事項は過半数の一致で決定することになります。

なので次の場合は、発起人の過半数の一致があったことを証明する書面が必要になります。

  1. ・発起設立の場合には、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役及び設立時会計監査人の選任(法38条)
  2. ・一定の場合には、設立時代表取締役の選定
  3. ・その他業務執行の決定に関する事項
  4. ・本店の具体的な所在場所の決定
  5. ・支店を置く場合は、その具体的な所在場所の決定
  6. ・株主名簿管理人を置く場合には、その選任
  7. ・支配人を置く場合には、その選任
  8. ・特別取締役による議決の定めを設ける場合には、これを設ける旨の決定及び特別取締役の選定


発起人の同意書のひな形はこちらです。 会社の状況に合わせて作成してください。

  1. 発起人同意書

 

これらの事項を定款に記載している場合は、発起人の同意書は不要です。

 

3 払込証明書

払込証明書は、すでに説明した通りです。

 

4 設立時の役員を選任したことを証する書面

設立時の役員を選任したことを証する書面は次の通りです。

 

取締役、監査役

取締役、監査役の選任を証明する書面として、定款または発起人の議決権の過半数の一致があったことを証明する書面が添付書類になります。

ひな形はこちらです。会社の状況に合わせて作成してください。

  1. 発起人会議事録

 

定款に記載している場合は不要です。

 

代表取締役

取締役会を置く会社の場合、設立時取締役の過半数の一致があったことを証明する書面が添付書類になります。

取締役会を置かない会社の場合は、定款が添付書類になります。

 

5 役員の就任承諾書

役員の就任承諾書のひな形はこちらです。

  1. ・就任承諾書

  

取締役会を置かない会社は、設立時取締役の実印の押印が必要です。

取締役会を置く会社は、設立時代表取締役は実印の押印が必要です。代表ではない設立時取締役は認印で大丈夫です。


6 印鑑証明書

取締役会を置かない会社は、取締役の就任承諾書に押印した印鑑につき、取締役個人の印鑑証明書が添付書類になります(商業登記規則61条4項)。

取締役会を置く会社は、代表取締役の就任承諾書に押印した印鑑につき、代表取締役個人の印鑑証明書が添付書類になります(商業登記規則61条5項)。

 

7 取締役、監査役の本人確認証明書

取締役、監査役の本人確認証明書が必要になります(商業登記規則61条7項)。

ただし上記の印鑑証明書を添付する人については、別途本人確認証明書は不要です。

本人確認証明書とは、たとえば次の書面です。

  1. ・住民票の写し(個人番号が記載されていないもの)
  2. ・戸籍の附票
  3. ・住基カード(住所が記載されているもの)のコピー
  4. ・運転免許証等のコピー
  5. ・マイナンバーカードの表面のコピー

 

住基カードと運転免許証は、裏面もコピーして、本人が「原本と相違がない」と記載して、記名する必要があります。

マイナンバーカードは、表面だけコピーして、本人が「原本と相違がない」と記載して、記名する必要があります。

 

8 資本金の額が会社法及び計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面

資本金の額が会社法及び計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面のひな形はこちらです。

会社の状況に合わせて作成してください。

  1. 資本金証明書

 

9 印鑑届出書

印鑑届出書は、会社の実印を届け出る際に必要な書類です。

会社の実印は、会社の代表者が届出すること、また会社が契約するときに押印するものであることから代表印ともいいます。

印鑑届出書は、厳密には設立登記の添付書類ではありませんが、登記申請書と同時に提出するものです。

会社の代表者が数人ある場合、全員が印鑑届出書を出してもいいですし、そのうちの一人が提出してもいいです。

しかし、会社の代表者が数人ある場合でも、各代表者が同じ印鑑を提出することはできません。

 

印鑑届出書のひな形はこちらです。

  1. 印鑑届出書


印鑑届出書の記載例もご覧いただき、記載してください。

  1. 印鑑届出書 記載例


近年の脱ハンコの流れを反映して、実印の登録は任意になりました。

しかし、まだまだ金融機関などから印鑑証明書の提出を求められることも多いので、実印登録は必要かと思います。


一般的な添付書類は以上です。

 

その他の書類

ほかにも次のような書類が必要になる場合があります。

 

株主名簿管理人との契約を証する書面

株主名簿管理人とは、会社に代わって株主名簿を管理する人のことで、通常は信託銀行等がこれを行います。

上場企業などは自社で株主名簿を管理するのは大変なので、株主名簿管理人に委託しますが、新規の会社が株主名簿管理人を置くことはあまりないと思われます。

株主名簿管理人を置いた場合は、契約書を添付します。

 

委任状

代理人によって登記を申請するときは、委任状が必要になります。

 

官庁の許可書またはその認証がある謄本

設立につき官庁の許可を要するときは、その許可書またはその認証がある謄本が必要です。

 

法務局へ登記申請

法務局

書類がそろったら、いよいよ申請です。

法務局という役所に申請します。

申請した日が会社の設立日になりますので、会社設立日にこだわる場合は注意してください。

どこの法務局に申請してもいいわけではありません。

法務局には、本店の所在地によって管轄が決まっています。

管轄は、法務局のホームページで確認できます。

  1. ・外部リンク 管轄のご案内


申請する方法は3つあります。

  1. ・窓口で申請する
  2. ・郵送で申請する
  3. ・オンラインで申請する


窓口で申請する

申請書と集めた書類一式を、法務局の窓口に持っていく方法です。

申請書のひな形はこちらです。

  1. ・株式会社設立登記申請書


登記すべき事項は、別紙に記載します。

また、登記すべき事項はCD-Rなどに記録して提出することもできます。

別紙のひな形はこちらです。

  1. 別紙


申請書の課税標準金額には、資本金の額を記載します。

登録免許税は、登記を申請する際にかかる税金で、次の計算式で算出します。

  1. ・資本金の額 × 7/1000


ただし、上記の額が15万円以下の場合は、15万円になります。

登録免許税は、収入印紙で納付します。

台紙に収入印紙を貼り付けて、申請書と添付書類と一緒に提出します。

申請書や収入印紙を貼った台紙が2枚以上にわたる場合は、各ページのつづり目に契印(割印)が必要です(商業登記規則35条)。


窓口で申請する方法は、法務局の窓口は、平日の午前8時30分から午後5時15分までしか開いていないことが多いのが難点です。


郵送で申請する

書類一式を、郵送する方法です。

平日に時間が取れない方でも、申請できます。

普通郵便ではなく、書留郵便もしくはレターパックで郵送します。


オンラインで申請する

オンラインで申請する方法です。

専用のソフト「申請用総合ソフト」を使って申請します。

  1. ・外部リンク 申請用総合ソフトとは


オンラインで申請する場合でも、印鑑証明書などは紙なので、郵送するか、窓口に持っていく必要があります。 

 

登記完了後、登記事項証明書・会社の印鑑カード・印鑑証明書の交付を受ける

登記申請後、1~2週間ほどすれば登記が完了し、会社の設立が完了します。

会社の設立が完了した後、履歴事項証明書・会社の印鑑カード・印鑑証明書の交付を受けます。

 

登記事項証明書

登記事項証明書とは、登記の内容を法務局が証明する書面です。

会社の設立が完了した後に、法務局で取得することができます。

登記事項証明書の交付申請書のひな形はこちらです。

  1. 登記事項証明書交付申請書

 

申請書には、申請者の住所、氏名と会社の商号、本店を記載します。

請求事項の欄は、特段の理由がない限り①全部事項証明書の履歴事項証明書の□にチェックを入れましょう。

登記事項証明書はオンラインでも請求できます。

くわしくは法務省のサイトをご覧ください。

  1. ・外部リンク 登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です


印鑑カード

印鑑カードは、会社の実印の印鑑証明書を取得するときに必要になるカードです。

印鑑カード
印鑑カード

印鑑カードを取得するには、印鑑カード交付申請書を法務局に提出する必要があります。

印鑑カード交付申請書のひな形はこちらです。

  1. 印鑑カード交付申請書

 

印鑑カードは、交付申請書を提出して、5~10分ほどで発行してもらえます。

印鑑カードは紛失しないように気をつけてください。

 

印鑑証明書

印鑑証明書を請求するには、交付申請書と印鑑カードを提出してします。

交付申請書のひな形はこちらです。

  1. 印鑑証明書交付申請書

 

印鑑カードを発行してもらった後に申請しましょう。

 

銀行で新会社預金口座を開設して、資本金を入金

会社設立後は、会社名義の預金口座を開設できますので、発起人の個人口座にある資本金を、会社の預金口座に入金します。

 

会社設立後の手続き

会社設立後の手続きとして、税金関係、社会保険関係、労働保険関係の届出があります。

 

税金関係

税金

会社設立後に必要な税金関係の届出として、次のようなものがあります。

  1. ・法人設立届出書
  2. ・給与支払事務所等の開設届出書
  3. ・法人設立・事務所等開設申告

 

また場合によっては、次のような手続きが必要になります。

  1. ・法人青色申告承認申請書
  2. ・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  3. ・棚卸資産の評価方法の届出
  4. ・申告期限の延長の特例申請書
  5. ・消費税の新設法人に該当する旨の届出書
  6. ・消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書
  7. ・消費税課税事業者選択届出書
  8. ・消費税簡易課税制度選択届出書

  

社会保険関係

会社設立後に必要な社会保険関係の届出として、次のようなものがあります。

  1. ・健康保険、厚生年金保険新規適用届
  2. ・健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届


労働保険関係

労働保険の届出

会社設立後に必要な労働保険関係の届出として、次のようなものがあります。

  1. ・労働保険 保険関係成立届
  2. ・労働保険 概算保険料申告書
  3. ・雇用保険 適用事業所設置届
  4. ・雇用保険 被保険者資格取得届


会社設立後に必要な手続きまとめ

会社設立後に必要な手続きについては、別記事にくわしくまとめてありますので、こちらをご覧ください。

  1. 関連記事 会社設立後に必要な手続きまとめ【税務署への届出など】

 

株式会社の設立手続きを専門家に依頼する場合

面倒くさくて時間もかかりますが、株式会社の設立手続きを自分で手続きをすることは十分可能です。

しかし会社立ち上げの時期は他にもいろいろとやることも多く、そのような事務作業に時間を割くことができない方も多いと思います。

そのような場合は、司法書士に設立手続きを依頼することができます。

面倒な設立手続きを司法書士に依頼すれば、経営に専念することができます。

司法書士に依頼すると、定款作成から登記申請の代理まですべて任せることができます。

書類に署名押印するだけでよく、自分で公証役場や法務局に行く必要はありません。

司法書士以外に、税理士や行政書士が会社設立手続きを行うと宣伝している場合がありますが、税理士や行政書士は登記申請を代理することはできません。

書類を作成してもらっても、登記申請はご自分で行う必要があります。

税理士や行政書士が登記申請まで行うのは違法になりますので、ご注意ください。


まとめ

以上、株式会社を設立する手続きの流れを解説しました。

株式会社の設立は、当事務所でも承っております。

顧問契約不要で会社設立手続きをさせていただきます。

当事務所では、事務手続きの迅速化とご依頼者様の負担軽減を心掛けています。

ご依頼様は署名や押印などをしていただくだけで、あとは当事務所が定款作成・認証から設立登記完了まで一貫して行い、安心して経営に専念していただけるようサポートいたします。

 

それでは今回はこの辺で。

ここまでお読みいただきありがとうございました。