成年後見人をつける手続きについて解説します【必要書類や費用など】

「私の父は認知症で、成年後見人をつけないといけないのですが、どういった手続きが必要ですか?」

成年後見人をつけたいが、どうしたらいいかわからない人

 

こういった疑問にお答えします。

この記事では、成年後見人をつける手続きについてわかりやすく解説します。


成年後見人をつける手続きについて解説します

成年後見人をつけたい場合、ご本人の住所地にある家庭裁判所へ申し立てます。

申立てができる人は、次の人たちです。

  1. 本人
  2. 配偶者
  3. 4親等内の親族
  4. 成年後見人等(後見人、保佐人、補助人)
  5. 任意後見受任者
  6. 任意後見人
  7. 成年後見監督人
  8. 市町村長
  9. 検察官

 

成年後見申立の流れは、次のようになります。

  1. 本人の判断能力を確認
  2.     
  3. 後見人候補者を決める
  4.     ↓
  5. 申立書類の作成
  6.     ↓
  7. 裁判所へ申立
  8.     ↓
  9. 裁判所の面接
  10.     ↓
  11. 後見人選任の審判

 

本人の判断能力の確認

まず、ご本人の判断能力を確認します。

それによって必要なサポートが変わってきます。

 

一口に、判断能力が不十分といっても、人それぞれです。

そこで成年後見制度は、本人の判断能力の程度によって、「後見」「保佐」「補助」の3つの制度が用意されています。

 

後見

判断能力を完全に欠いている場合です。

3つの分類の中で、いちばん症状が重い方が対象です。

後見人が、本人に代わって契約をし、財産を管理します。

本人がした契約は、後見人が取り消すことができます。


保佐

判断能力が著しく不十分な場合です。

3つの分類の中で、中程度に症状が重い方が対象です。

本人が以下の行為をする場合は、保佐人の同意が必要になります(民法13条)。

  1. 1 元本を領収し、又は利用すること(預貯金の払戻しなど)
  2. 2 借財又は保証をすること (借金したり、保証人になること
  3. 3 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること (不動産を処分したり、担保に入れること
  4. 4 訴訟行為をすること
  5. 5 贈与、和解又は仲裁合意をすること
  6. 6 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること
  7. 7 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること
  8. 8 新築、改築、増築又は大修繕をすること
  9. 9 民法第602条に定める期間(建物は3年、土地は5年)を超える賃貸借をすること
  10. 10 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人など)の法定代理人としてすること


保佐人の同意を得ないで、本人がこのような行為をしたときは、保佐人は取り消すことができます。

上記以外にも、保佐人が取り消しできる範囲を追加することができます。

また、本人に代わって契約などをする代理権を、保佐人に付けることもできます。

代理する範囲は選択することができます。


補助

判断能力が不十分な場合です。

3つの分類の中で、いちばん症状が軽い方が対象です。

補助人が代理する範囲や、補助人の同意が必要な範囲は選択できます。

補助人の同意が必要な範囲は、上記の保佐人の同意が必要な範囲1~10のうちの一部に限られます。

 

どの制度が必要かについては、医療知識がないと判断できません。

そこで医師の判断を参考にします。

医師の診断書

申し立ての際に医師に診断書を書いてもらうのですが、診断書に「判断能力についての意見」という欄があり、次のいずれかにチェックしてもらうことになっています。

  1. 契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することができる。
  2. 支援を受けなければ,契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することが難しい場合がある。(補助相当)
  3. 支援を受けなければ,契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することができない。(保佐相当)
  4. 支援を受けても,契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することができない。 (後見相当)

 

そこを見れば、ご本人に必要な制度がわかるというわけです。

裁判所も特に理由がなければ、医師の判断を尊重しているようです。

 

後見人候補者を決める

後見人候補者を決めます。

候補者は親族でもいいですし、 信頼できる司法書士などの専門家でもいいです。

親族や家族は成年後見人になれないと思っている人もいらっしゃるかもしれませんが、家庭裁判所が認めれば、親族や家族も成年後見人になることができます。

  1. ・関連記事 家族や親族が成年後見人になるには【家裁に選ばれれば、なれます】


ただし、候補者がいても、裁判所が絶対にその人を選任するとは限りません。

親族が候補者に立候補しても、専門家が選ばれることもあります。

 

候補者がいない場合、司法書士などの専門家が選任されることが多いです。

第一候補を親族にして、第二候補を信頼できる専門家にすることも可能です。


成年後見申立書類の作成

成年後見の申し立てに必要な書類などは次の通りです。

書式を用意しましたので、ご活用ください。

書式は、家庭裁判所でも手に入ります。

成年後見申立の書類

 申立書類と付属書類

   申立書 [書式]

   代理行為目録 [書式]

   同意行為目録 [書式]

 申立事情説明書 [書式]

   陳述書 [書式]

   親族関係図[書式]

   親族の意見書 [書式]

 後見人等候補者事情説明書 [書式]

 財産目録 [書式]

 相続財産目録 [書式]

 収支予定表 [書式]


 戸籍・住民票など

 申立人の戸籍謄本

 本人の戸籍謄本

 本人の住民票または戸籍の附票

 後見人等候補者の住民票または戸籍の附票

 本人の登記されていないことの証明書

戸籍謄本


 診断書など

 医師の診断書 [書式]

   鑑定についてのおたずね [書式] 

 本人情報シート [書式]


   本人についての資料

   不動産の登記簿謄本

   預金、株式などについての資料
(通帳のコピーなど)

   生命保険などについての資料
(保険証書のコピーなど)

   負債についての資料
(金銭消費貸借契約書のコピーなど)

   収入についての資料
(年金額改定通知書コピーなど)

   支出についての資料
(納税通知書、各種領収書コピーなど)

 

必要書類については、チェックリストがありますので、ご確認ください。

チェックリスト


それでは、それぞれの書類について説明します。


申立書

申立人や本人の住所、氏名や連絡先、申し立ての理由や具体的な事情を書きます。

申し立ての趣旨は、後見、保佐、補助のうち該当するものをチェックします。

保佐の場合、代理権を付けるかどうか、同意が必要な範囲を追加するかどうか選択できます。

補助の場合、代理権を付けるかどうか、同意が必要な範囲を選択できます。


代理行為目録

保佐・補助の場合、保佐人や補助人が代理する範囲を記載します。

 

同意行為目録

補助の場合、補助人の同意が必要な範囲を記載します。

 

申立事情説明書

ご本人の略歴や生活場所などを説明する書類です。

ご本人の事情をいちばんよくわかっている方に書いていただきます。

 

陳述書

親族などが申し立てる場合に、本人の意向を確認するものです。

説明をしても本人が手続を理解できない場合や、本人に手続を知らせていない場合には、提出は不要です。

 

親族関係図

本人の親族関係を、わかる範囲で記載します。

 

親族の意見書

後見制度を利用することや、後見人候補について賛成か反対か、申立人以外の親族の意向を確認するものです。

親族に書いてもらえない場合は、無くても結構です。

 

後見人等候補者事情説明書

後見人について候補者がいる場合に、候補者のプロフィールなどを記載するものです。

候補者がいない場合は、無くても問題ありません。

 

財産目録

本人が持っている現金、預金、不動産、生命保険、有価証券などの財産を記載します。

わかる範囲で結構です。

 

相続財産目録

本人が相続した遺産のうち、いまだに遺産分割が終わっていない財産がある場合に記載します。

遺産分割が終わっていない相続財産がない場合は、無くても大丈夫です。

 

収支予定表

本人の現在の収入や支出について、わかる範囲で記載します。

通帳がある場合、それを参考にしながら書きましょう。

 

申立人の戸籍謄本

申立人の本籍地の役所で取得します。

本人と同じ戸籍に入っている場合は不要です。

 

本人の戸籍謄本

戸籍謄本は、本人の本籍地の役所で取得します。

本籍地がわからない場合でも、住民票を取るときに本籍地の記載を入れるように請求すると、本籍地がわかります。

 

本人の住民票または戸籍の附票

住民票は、本人の住所地の役所で取得します。

戸籍の附票は、本人の本籍地の役所で取得します。

戸籍の附票とは、戸籍と一緒に管理されている帳簿で、その戸籍が作られてから、現在までの住所の変遷が記載されています。

 

後見人等候補者の住民票または戸籍の附票

候補者がいない場合は、不要です。

 

本人の登記されていないことの証明書

すでに後見などが開始していないことを証明する書類です。

法務局で取得します。

請求方法などは、法務局のページをご覧ください。

登記されていないことの証明書の説明及び請求方法

 

医師の診断書

医師に書いてもらいます。

主治医に書いてもらうのが一番いいのですが、断られた場合は別の医師でも結構です。

 

鑑定についてのおたずね

医師に書いてもらいます。

 

本人情報シート

医師が診断を行う際の補助資料ですが、家庭裁判所にも提出します。

本人の生活を支えている福祉関係者の方などに書いてもらいます。

 

不動産の登記簿謄本

本人が不動産を所有している場合に提出します。

最寄りの法務局で請求できます。

 

書類については以上です。

自分で書類を作ったり、集めたりするのが難しいときは、司法書士や弁護士に依頼することができます。


裁判所へ申立

家庭裁判所

書類がそろったら、ご本人の住所地の家庭裁判所に申し立てます。

管轄については、こちらをご覧ください。

裁判所の管轄区域

 

裁判所の面接

家庭裁判所の職員が直接、申立人、本人や後見人候補者に会って、事情や本人の意見などを聴いたりすることがあります。

本人などが裁判所に来ることが難しい場合は、裁判所の職員が自宅などに来てくれることもあります。

面接

また、大阪家庭裁判所については、次の条件を満たした場合は面接を省略できます。

  1. 後見申立である
  2. 診断書が後見開始相当
  3. 親族による申し立てである
  4. 弁護士または司法書士が申し立てに関与している
  5. 候補者が弁護士、司法書士、裁判所の選任する第三者
  6. 事情説明書及び本人の状況シートを添付

 

費用について

費用については次の通りです。

  1. 収入印紙            後見      800円
  2.          保佐      1600円
  3.          補助      2400円
  4. 収入印紙(登記用)       2600円
  5. 切手                              3990円
  6. 鑑定料                           10万円


鑑定料は申立時には必要ではなく、申し立てた後に、鑑定が必要になった場合に納めます。

なお、鑑定は不要の場合が多いです。

自分で書類を作成する場合は以上です。

司法書士や弁護士に依頼する場合は、さらに報酬が必要になります。

 

成年後見人の報酬

成年後見人の報酬は、家庭裁判所が決定し、本人の財産から支出されます。

親族が後見人の場合でも、報酬を請求することができます。

報酬額は、本人の財産額に応じて、家庭裁判所が決定します。

大阪家庭裁判所管轄の、成年後見人の報酬の目安は次の通りです。

  1. 基本報酬   
  2. 月額2万円
  3.  
  4. 本人の財産額が1000万円を超え5000万円以下の場合
  5. 月額3万円~4万円
  6.  
  7. 本人の財産額が5000万円を超える場合
  8. 月額5万円~6万円


訴訟や遺産分割など、特別な事務を行った場合は、さらに追加で報酬がかかります。

 

当事務所の成年後見サービス

当事務所は、成年後見制度を通じて、高齢の方や知的障害をお持ちの方の生活をサポートしています。

成年後見人に就任して財産管理を行いますし、申立手続きの書類作成のみのサポートも行っております。

詳細については、こちらをご覧ください。

  1. ・関連記事 当事務所(田渕司法書士事務所)の成年後見サービス

 

まとめ

以上、成年後見人をつける手続きについて説明しました。

もし、わかりにくい点、ご不明な点などがありましたら、ぜひご連絡ください。

説明させていただきます。


というわけで今回は以上です。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。