遺産分割協議書の書き方と注意点を司法書士が解説【テンプレート】

「先日、父が亡くなりました。父の相続手続きに遺産分割協議書が必要と聞きました。遺産分割協議書の書き方がわかりません」
大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
遺産分割協議書は、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、その内容を書面にまとめたものです。不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなど、相続手続きには欠かせない重要な書類です。
この記事では、司法書士の視点から「遺産分割協議書の正しい書き方」と「実務で気をつけたいポイント」を、テンプレート付きでわかりやすく解説します。
目次
遺産分割協議書の書き方と注意点を司法書士が解説【テンプレート】

遺産分割協議書が必要になるのは、相続人が複数いて遺言書がない場合、または遺言書に遺産のすべてが書かれていない場合です。
遺言書がある場合、遺言書の通りに遺産を分けることになるので、遺産分割協議書は必要ありません。
遺言書がない場合、不動産や預金の名義変更の手続きに遺産分割協議書が必要になります。
📌 ポイント:遺産分割協議は相続人全員の同意が必要です。一人でも欠けると無効になるので要注意。
遺産分割協議書の書き方【基本ルール】

遺産分割協議書には、主に次のようなことを記載します。
✅ 遺産分割協議書の記載事項
- 被相続人の氏名・生年月日・死亡日・本籍
- 相続人全員の氏名・住所・続柄
- 分割内容(誰が何を相続するか)
- 遺産分割協議書の日
- 相続人全員の署名押印(実印)があること
✍ 書き方のコツ
・書式は特に法律で決まっていません。縦書き・横書きどちらでもOK。
・不動産は登記簿の通りに正確に記載(所在、地番、家屋番号など)
・預金口座は、金融機関名・支店名・口座種別・口座番号を明記
・金額や物の分け方が複雑な場合は「付表」や「別紙」を活用
遺産分割協議書の書式テンプレート(雛形)

もっとも基本的な遺産分割協議書のひな形は次の通りです。
それぞれの事情に合わせて適宜作成してください。
遺産分割協議書
令和 年 月 日 死亡によって開始した相続における相続人は、その相続財産について次の通り遺産分割の協議をした。
次の不動産は の所有とする。
○○市○○区○○一丁目○○番地
家屋番号 ○○番
居宅 木造瓦葺2階建
床面積 1階 ○○㎡○○
2階 ○○㎡○○
次の預貯金は が相続する。
1 ○○銀行 ○○支店
普通預金 口座番号○○○○○○〇
上記の協議を証するため、この協議書を作成し記名押印する。
令和 年 月 日
本 籍 ○○市○○区○○一丁目○○番地
被相続人 ○○ ○○
生年月日 昭和 年 月 日生
相続人
住 所
氏 名 ㊞
遺産分割協議書に関するよくある質問と注意点

Q. 手書きじゃないとダメ?
→ パソコンで作成してOKです。ただし、署名と押印は実印で行うこと。
Q. 書き直したいときは?
→ 相続人全員の同意があれば再作成できます。古い協議書は「破棄」しておくと良いでしょう。
Q. 相続人の一人が押印していない遺産分割協議書は有効?
→ 無効になります。必ず全員の署名・実印が必要です。遺産分割協議に参加してくれない相続人がいる場合は、遺産分割調停が必要になります。
・関連記事 遺産分割調停の流れは?【必要書類は?合意できなかったら?】
遺産分割協議書を書いた後にやること

遺産分割協議書を書いた後は、不動産の名義変更(法務局)や預金の解約手続きへ進みます。
・関連記事 相続登記の手続を司法書士が解説【不動産の名義変更】
・関連記事 預金の相続手続きをわかりやすく解説します【必要書類など】
専門家に依頼した方がよいケース

次のようなケースは自分で遺産分割協議書を作成するより、専門家に依頼した方がいいかと思います。
・相続人の関係が複雑
・相続財産が多岐にわたる(不動産が複数、会社経営など)
・共有名義にしたいがリスクがわからない
司法書士に相談することで、将来のトラブル防止になります

当事務所では、遺産分割協議書の作成サポートだけでなく、相続登記手続きや預金の相続手続きも承っております。
初回相談ですので、お気軽にお問い合わせください。
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まとめ

遺産分割協議書は、相続手続きのなかでも特に重要な書類です。形式に決まりはありませんが、正確に・全員で合意した内容を明確に記すことがポイントです。テンプレートを活用しながら、一つずつ丁寧に進めましょう。