相続手続きに必要な戸籍謄本に有効期限はありますか?
「数年前に父が亡くなり、相続手続きのために戸籍謄本を集めていたのですが、難しくて途中であきらめてしまいました。あらためて戸籍謄本を集めようと思うのですが、以前に取得した戸籍謄本はそのまま使えるのでしょうか。戸籍謄本に有効期限はありますか?」
大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
相続手続きには、原則として被相続人(亡くなった方)の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本と、相続人の現在の戸籍謄本が必要になります。
この記事では、相続手続きに必要な戸籍謄本に有効期限はあるかどうかについて、司法書士・行政書士がわかりやすく解説します。
目次
相続手続きに必要な戸籍謄本に有効期限はありますか?
戸籍謄本の有効期限については、相続登記と金融機関の名義変更手続きで異なります。
相続登記に必要な戸籍謄本の有効期限
相続登記とは、相続した不動産の名義変更手続きです。
・関連記事 相続登記の手続を司法書士が解説【不動産の名義変更】
相続登記に必要な戸籍謄本に有効期限はありません。
かなり昔に発行された戸籍謄本であっても、その内容は変わらないからです。
なので、以前に取得した戸籍謄本はそのまま相続手続きに使うことができます。
ただし、相続人の戸籍謄本は、被相続人が亡くなった後に取得したものでないといけません。
相続人が現在も生存していることを確認するためです。
また、もちろん被相続人の死亡が記載されている戸籍謄本については、被相続人が亡くなった後に取得する必要があります。
金融機関の名義変更手続きに必要な戸籍謄本の有効期限
金融機関の名義変更手続きにおいても、原則として戸籍謄本に有効期限はありません。
しかし、金融機関によっては、戸籍謄本に有効期限を設けているところもあります。
なので、必要な戸籍謄本などの書類の有効期限について、各金融機関に事前に問い合わせた方がいいでしょう。
金融機関によっては、戸籍謄本に有効期限があっても、法定相続情報一覧図を使用できる場合があります。
法定相続情報一覧図とは、法務局が発行する相続関係を証明する書類で、それを不動産、銀行、証券、保険など被相続人が遺した相続財産の名義変更の手続きに利用できるというものです。
・関連記事 法定相続情報証明制度とは何か?【相続手続きがラクになります】
法定相続情報一覧図を発行するためには、戸籍謄本などを法務局に提出する必要がありますが、その場合は戸籍謄本に有効期限はありません。
なので、だいぶ以前に発行された戸籍謄本しかない場合、戸籍謄本を取り直すより、法定相続情報一覧図を取得した方がいい場合もあります。
戸籍謄本以外の書類の有効期限
そのほかの相続手続きに必要な書類、たとえば遺産分割協議書や印鑑証明書にもついても、相続登記の場合は、有効期限はありません。
ただし、相続登記の場合、不動産の評価額を証明するために、固定資産税評価証明書または納税通知書が必要になりますが、これらの書類は最新年度のものである必要があります。
不動産評価額は毎年4月1日に切り替わるので、4月1日以降に登記申請する場合、3月31日以前に取得した固定資産税評価証明書または納税通知書は使用できませんので、ご注意ください。
金融機関の名義変更手続きについては、各金融機関によっては有効期限がある場合があります。
まとめ
以上、相続手続きに必要な戸籍謄本に有効期限はあるかについて、解説しました。
まとめると次の通り。
・相続手続きには被相続人と相続人の戸籍謄本が必要
・相続登記に必要な戸籍謄本には有効期限がない
・金融機関の名義変更手続きにおいても、戸籍謄本に有効期限は原則なし
戸籍謄本を取る方法や、戸籍謄本の読み方などは、別記事にくわしくまとめてありますので、こちらをご覧ください。
・関連記事 相続に必要な戸籍謄本の集め方、古い戸籍の読み方
もし相続手続きについて、自分でするのが大変だと感じていらっしゃるなら、司法書士に依頼することも検討されてはいかがでしょうか。
大阪なら当事務所でも承っています。
当事務所では、ご依頼者様に負担をかけないことをモットーにしております。
当事務所の相続手続きサービスの詳細については、こちらをご覧ください。
というわけで今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。