中間省略登記できる場合について司法書士が解説します

司法書士の田渕です。

当事務所では、中間省略登記についての相談が寄せられることがあります。

中間省略登記とは、たとえば不動産の所有権がAからBからCへと移転した場合に、Bへの登記を省略して、AからCへ直接、移転する登記のことをいいます。

原則として中間省略登記は認められません。

しかし、例外的に中間省略登記ができる場合があります。

この記事では、中間省略登記が認められる場合について司法書士がわかりやすく解説します。

相続について疑問がある人

 

中間省略登記できる場合について司法書士が解説します

原則として中間省略登記はすることができません。

登記は、権利変動の過程を正確に記録するものだからです。

しかし、次の場合は中間省略登記の申請をすることができます。

  1. ・中間省略登記を命ずる判決があったとき
  2. ・数次相続があった場合に中間の相続が単独相続だった場合
  3. ・名義人の氏名・住所の変更の登記の場合


中間省略登記を命ずる判決があったとき

判決による中間省略登記が認められた事例として次の二つの事例があります。

甲から乙への所有権移転登記手続を命ずる判決の理由中に、当該所有権の中間取得者Aが存することが明らかな場合でも、判決において、登記原因を明示して所有権移転登記手続を命じているときは、その判決により甲から乙への所有権移転登記の申請は受理して差し支えない(昭和35年07月12日民事甲1580)。

本来、登記とは登記変動の過程を正確に記録するものなので、中間省略登記は認められませんが、確定した判決にもとづいた登記申請である以上、中間省略登記を認めて差し支えないとされた事例です。

中間省略登記が認められるためには、判決主文に登記原因を明示して所有権移転登記を命じていることが必要です。

 

所有権が数次にわたり移転した判決主文に原因の明示がなく、理由中に甲、乙、丙と移転したこと、中間省略に乙の合意があることが認められる場合において、中間及び最終の登記原因に相続又は遺贈若しくは死因贈与が含まれない場合において、最終の登記原因及びその日付をもって申請されたときは、受理して差し支えない

(昭和39年08月27日民事甲2885)
判決による登記

上記の先例では、中間省略登記が認められるためには、判決主文に登記原因が明示されている場合に限るとされていますが、この事例では、判決理由の中に次の事項が明示されている場合には、中間省略登記できるとされています。

  1. ・甲から乙、乙から丙へと移転の経緯が記載されていること
  2. ・中間者の省略につき乙が合意していること
  3. ・登記原因の日付が乙から丙への移転の日であること


判決で中間省略登記を認めている以上、判決の主文であろうと理由中であろうと区別する必要はないことから、このような取り扱いになりました。


数次相続があった場合に中間の相続が単独相続だった場合

相続

数次相続とは、被相続人が亡くなったあと、遺産分割協議や相続登記を行わないうちに相続人が亡くなってしまい、次の遺産相続が開始されてしまうことです。

  1. ・関連記事 数次相続とは何か解説します【遺産分割協議書の文例など】

 

たとえば、登記名義人Aが死亡し、Bが相続した後、相続登記をする前にさらにBが死亡してCが相続したような場合のことを言います。

このような場合は、本来は、AからBへの相続を原因とする所有権移転登記(相続登記と言います)をした後、BからCへの相続登記を申請しないといけません。

しかし、中間の相続が単独相続(相続人が1人であること)の場合、中間省略して、AからCへの相続登記を申請することができます。

上記の例だと、中間の相続はAからBへの単独相続なので、中間省略登記をすることができます。

中間の相続が単独相続


しかし、中間の相続が、単独相続ではない場合は中間省略登記をすることができません。

たとえば、登記名義人Aが死亡し、BとDが相続した後、相続登記をする前にさらにBが死亡してCが相続したような場合には、中間省略登記をすることができません。

中間の相続が共同相続

そのほか、一般的な相続登記の解説については別記事にくわしくまとめてありますので、ご覧ください。

・関連記事 相続登記の手続を司法書士が解説【不動産の名義変更】


名義人の氏名・住所の変更の登記の場合

数回にわたって住所移転した場合などのように、登記名義人の住所や氏名が数回にわたって変更した場合は、直接現在の住所等にする変更登記をすることができます。

たとえば、登記名義人の住所が大阪市から、京都市に移転した後、西宮市に住所移転した場合は、1件の申請で、直接、現在の住所に変更することができます。

住所移転の登記

 

まとめ

不動産登記

以上、中間省略登記ができる場合について解説しました。

当事務所は、大阪市都島区の司法書士事務所です。

当事務所では、登記についての相談を承っています。

初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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というわけで今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。