みなし解散とは何か【登記を放置していると強制的に解散】

「とある会社を経営しています。現在も営業は続けていますが、長い間役員変更などの登記をしていなかったためか、会社の登記簿を見ると、解散したことになっているようです。まだ事業は続けたいと思っているのですが、どうすればいいでしょうか?」

会社経営者

 

こういった疑問にお答えします。

長年、会社・法人の登記をせずに放置している会社・法人について、法務局が強制的に解散の手続きをすることを、みなし解散といいます。

みなし解散になってしまっても、3年以内であれば継続することができます。

この記事では、みなし解散の詳細について司法書士がわかりやすく解説します。

 

みなし解散とは何か【登記を放置していると強制的に解散】

書類

長期間、役員変更などの登記をせずに放置している会社や法人のことを、休眠会社、休眠一般法人といいます。

休眠会社、休眠一般法人に対しては、法務局から登記をするように促す通知書が届く場合があります。

これに対して、事業を廃止していない旨の届出をしないときは、法務局が強制的に会社・法人の解散の登記をしてしまいます。

これがみなし解散というものです。

休眠会社、休眠一般法人は、すでに事業を廃止して実体を失っていることが多いです。

そのような休眠会社、休眠一般法人が放置され、反社会的勢力などに違法に売買され、サギなどの犯罪に利用されるケースがあります。

そのようなことを防ぐために、休眠会社、休眠一般法人のみなし解散についての規定が設けられています。

 

みなし解散の対象となる会社・法人

出資

みなし解散の対象となる会社・法人は以下の通りです(会社法472条、一般法人法149条、203条)。

  1. ・最後の登記をしてから12年を経過している株式会社
  2. ・最後の登記をしてから5年を経過している一般社団法人、一般財団法人


株式会社の取締役の任期は最長でも約10年です(会社法232条2項)。

一般社団法人、一般財団法人の理事の任期は約2年、監事や評議員は約4年です(一般社団法66条、67条、174条)。

なので、少なくとも株式会社は約10年、一般社団法人・一般財団法人は約4年の間に役員変更の登記をしないといけません。

会社

しかし、ちょっと役員変更の登記を忘れただけで、みなし解散になるのは酷です。

そこで少し幅を持たせて、株式会社は最後の登記をしてから12年、一般社団法人・一般財団法人は最後の登記をしてから5年でみなし解散の対象になるとされました。

一方、合同会社には、みなし解散についての規定がなく、長期間登記がされなくても解散したものとみなされることはありません。

合同会社の役員については任期がなく、普通に事業を続けていても長期間登記がないままというのは珍しくないからです。

他の種類の法人についても、みなし解散についての規定はありません。

というわけで、みなし解散の規定があるのは、株式会社、一般社団法人、一般財団法人だけということです。

 

みなし解散の登記

法務大臣が休眠会社に対し2カ月以内に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合に、その届出をしないときは、その2カ月の期間満了したときに解散したものとみなされます(会社法472条1項)。

そして法務局の登記官は、その株式会社の登記記録にみなし解散の登記をします(商業登記法72条)。

ただし、この2カ月の期間内にこの休眠会社に関する登記がされたときは、解散されることはありません(会社法472条1項)。

 

休眠会社・法人に対する通知

法務局は、2カ月以内に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨の公告をしたときは、休眠会社に対し、その旨の通知をします。

ただ役員変更の登記を忘れただけの会社・法人について、みなし解散にならないように、お知らせをしてくれるというわけです。

 

みなし解散になった場合でも継続できる

株式会社

みなし解散になっても、法人格が無くなるわけではありません。

解散したものとみなされた場合でも、3年以内に限り株主総会の決議によって、株式会社を継続することができます(会社法473条)。

一般社団法人も3年以内に社員総会の決議によって、一般財団法人は評議員会の決議によって、継続することができます(一般法人法150条、204条)。

たまたま役員変更の登記を怠っているだけで解散したものとみなされた会社や法人はかなり多数いるものと思われます。

しかし、みなし解散の趣旨は上記のように会社・法人が違法な活動に悪用されないようにするためのものなので、うっかり役員変更の登記を忘れただけの会社・法人を救済するために、解散後でも3年以内に限り、継続できるものとされました。

みなし解散になった会社について継続する手続きについては、別記事にくわしくまとめてありますので、ご覧ください。

  1. ・関連記事 会社継続の登記手続きについて司法書士がわかりやすく解説

 

登記懈怠による過料

上記の通り、解散したものとみなされた場合でも、3年以内であれば会社を継続できますが、登記を怠ったことに対する罰則があります。

会社や法人には、役員の変更など登記すべき事項が発生した場合には、登記する義務があり、これに違反すると過料という罰則が課されます。

過料とは、罰金に似ていますが、刑事罰ではありません。

過料は、会社ではなく代表者個人に課されます。

なので、会社経費にはできません。

過料の額は、ケースによって異なりますが、役員の変更を2~4年程度忘れたケースだと2~4万円ほどになることが多いようです。

 

まとめ

以上、みなし解散について解説しました。

みなし解散になったときは、司法書士にしてみましょう。

大阪であれば、当事務所でも承っています。

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というわけで今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。