会社継続の登記手続きについて司法書士がわかりやすく解説

「長年、役員変更登記をせずにしていたので、みなし解散になってしまいました。事業は続けていきたいのですが、会社はそのまま継続することはできますか?」

会社の代表取締役

 

こういった疑問にお答えします。

会社は解散によって法人格が完全に消滅するわけではありません。

解散後に清算手続きに入り、清算が終わり、清算結了の登記をすることで法人格が消滅します。

解散した後、清算結了する前(みなし解散の場合は、解散したとみなされた時から3年以内)であれば、会社継続の登記を申請することで、会社を継続することができます。

この記事では、会社継続の登記手続きについて司法書士がわかりやすく解説します。

 

会社継続の登記手続きについて司法書士がわかりやすく解説

書類

会社は解散した後、清算手続きに入ります。

清算手続きとは、会社の財産を換金して、債務を返済して、残った財産を株主に分配する手続きです。

解散して清算手続きに入っても、事情が変化して事業の継続を望む場合があります。

また、事業を続けていても登記を怠ったことで、みなし解散のルールによって解散したものとみなされた場合も、そのまま会社を継続したいという方がほとんどでしょう。

  1. ・関連記事 みなし解散とは何か【登記を放置していると強制的に解散】


そのような場合は、一定の条件で会社を継続することができます。

 

会社の継続が認められる場合

解散後に会社を継続できるのは、つぎのケースです(会社法473条、471条1項~3項、472条1項)。

  1. ・存続期間の満了その他定款に定めた事由の発生
  2. ・株主総会の決議
  3. ・休眠会社のみなし解散


ただし、休眠会社のみなし解散の場合は、解散したとみなされた時から3年以内に限って会社継続できます。

休眠会社のみなし解散については、多少、登記することを忘れていただけで会社が消滅することになるのは、酷なので3年以内に限り、継続することが認められています。

存続期間の満了など定款で定めた場合や、株主総会の決議によって解散した場合のような、会社が株主の意思で自発的に解散したケースでは株主の意思で継続することを認めても全く差支えないので、会社継続することができるとされています。

いずれのケースでも清算結了した後には会社継続することはできません。


会社継続の手順

会社継続の手順はつぎの通りです。

  1. 会社継続の株主総会決議
  2. 会社継続後の役員などの選任
  3. 会社継続の登記申請


会社継続の株主総会決議

会社を継続するためには、株主総会の決議が必要になります。

決議の種類は、特別決議です。

特別決議とは、株主総会において議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席して、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で成立する決議です(会社法309条2項)。

  1. ・関連記事 株主総会の決議事項を解説します【普通決議 特別決議 特殊決議】


また株主総会の議事録を作成します。

株主総会議事録のひな形はこちらです。

会社の実情に合わせて作成してください。

  1. 臨時株主総会議事録


会社継続後の役員などの選任

会社継続の決議によって、解散前の状態に復活します。

解散前の会社の定款に記載されている機関設計がそのまま適用され、取締役会、会計参与などの機関も復活します。

会社

しかし、解散前の取締役、代表取締役、会計参与などの役員がそのまま継続後の役員に復活するわけではありません。

なので、会社継続を決議する株主総会で、新たに取締役、会計参与などの役員の選任をしないといけません。

また取締役会を置く会社については、取締役会で代表取締役を選任しないといけません。

 

会社継続の登記申請

会社を継続したときは、会社継続の日から2週間以内に次の登記を申請します。

  1. ・法定清算人の登記(みなし解散の場合)
  2. ・会社継続の登記
  3. ・取締役会などの機関の設定の登記
  4. ・取締役及び代表取締役などの就任の登記


みなし解散の場合、解散により法定清算人が就任しているので、一旦法定清算人の登記をする必要があります。

申請書には次のように記載します。

  1.             株式会社変更・清算人就任・継続登記申請書
  2. 1.会社法人等番号  ○○○○―○○―○○○○○○
  3.   フ リ ガ ナ  ○○
  4. 1.商     号  ○○株式会社
  5. 1.本     店  大阪府〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
  6. 1.登 記 の 事 由   取締役の変更
  7.            令和〇年〇月〇日清算人及び代表清算人就任
  8.   会社継続
  9. 取締役及び代表取締役の就任
  10. 監査役の変更
  11. 取締役会設置会社の定めの設定
  12. 1.登記すべき事項  別添CD-Rのとおり
  13. 1.登 録 免 許 税   金9万9,000円(金7万9,000円)
  14. 1.添 付 書 類  死亡を証する書面          1 通
  15. 定款                1 通
  16. 株主総会議事録           1 通
  17. 株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等
  18. を証する書面(株主リスト)      1 通
  19. 取締役及び監査役の就任承諾書
  20. 株主総会議事録の記載を援用する
  21. (本人確認証明書          〇 通)
  22. 取締役会議事録           1 通
  23. 代表取締役の就任承諾書
  24. 取締役会議事録の記載を援用する
  25. 印鑑証明書             5 通
  26. 委任状               1 通
  27. 上記のとおり登記の申請をする。
  28. 令和〇年〇月〇日
  29. 大阪府〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
  30. 申 請 人  ○○株式会社
  31. 大阪府〇〇市○○町〇丁目〇番〇号
  32. 代表取締役     A 
  33. 連絡先電話番号 〇〇―〇〇〇〇―〇〇
  34. 大阪法務局(○○支局又は○○出張所) 御中


登記すべき事項をCD-Rなどに記録する場合の書式はこちらです。

登記すべき事項


まとめ

以上、会社継続の登記手続きについて解説しました。

登記手続きについては自分で行うことができますが、役員変更の登記などよりは手続きが複雑ですので、司法書士に依頼することをおすすめします。

大阪であれば、当事務所でも承っています。

お気軽にお問い合わせください。

ご相談の方は、電話(06-6356-7288)か、こちらのメールフォームからお問い合わせください。

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というわけで今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。