(2023年)相続登記に期限はある?【いまのところないですが…】

「先日父が亡くなり、父名義の不動産を相続しました。不動産を相続した場合に相続登記が必要なのは知っていますが、いつまでにしないといけないのですか?」

相続について相談している人

こういった疑問にお答えします。

相続した不動産の名義変更のことを相続登記といいます。

現在のところ、相続登記には期限はありません。

ただし、令和6年(2024年)4月1日には相続登記について、期限が設けられます。

この記事では相続登記の期限について、相続登記の専門家の司法書士が解説します。

 

(2023年)相続登記に期限はある?【いまのところないですが…】

結論から申し上げますと、現在のところ、相続登記には期限はありません。

ただし、現在、相続登記を義務化する法案が審議されており、令和6年(2024年)4月1日から相続登記について、次のような期限が設けられる見通しとなっています。

  1. ・相続や遺贈によって所有権を取得した人は、取得したことを知ったときから3年以内に登記しないといけない
  2.  
  3. ・相続登記した後、遺産分割があったときは、遺産分割のときから3年以内に登記しないといけない。

くわしくは、こちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 【2023年】相続登記義務化を司法書士が解説 いつから?

  

「へえー、今のところ期限はないんですね。それじゃあ、しばらくは登記しないでおこうかな」

相続について相談している人

 

確かに、現在のところ、相続登記に期限はありませんし、相続登記しなくても罰則はありません。

しかし、次のような理由により、早めに相続登記することをおすすめします。

  1. ・相続発生から1年以内は、相続人が集まる機会が多い
  2. ・放置すると更に相続が発生して、より複雑になる
  3. ・放置しているうちに加齢などで認知能力が衰えると、遺産分割できない
  4. ・不動産を処分するためには、相続登記が必要
  5. ・相続登記しないと、空き家や所有者不明土地の原因に

 

くわしくみてみましょう。

 

相続発生から1年以内は、相続人が集まる機会が多い

相続が発生した直後は、法事などで相続人が集まる機会も多く、遺産の分け方について話し合いやすいといえます。

遺言がない場合、遺産をどう分けるかについて、相続人全員で話し合って決める必要があります。

この相続人全員の話し合いのことを遺産分割協議といいます。

遺産分割協議については、こちらにくわしくまとめましたので、ご覧ください。

  1. ・関連記事 遺産分割協議とは何か?【遺産の分け方についての話し合い】

 

遺産分割協議には、相続人が全員参加する必要があります。

ひとりでも話し合いに参加しない相続人がいる場合、遺産分割協議は成立しません。

遺産分割協議

相続人が集まる機会が多いうちに、遺産分割協議をして、相続登記をしておきましょう。

時間が経ってしまうと、相続人同士が疎遠になって、遺産分割協議がしにくくなってしまいます。

 

放置すると更に相続が発生して、より複雑になる

名義人が亡くなり、子が相続した場合に、相続登記を放置しているうちに、さらにその子が亡くなり、孫世代が相続人になります。

このように、被相続人が亡くなったあと、遺産分割する前に、相続人が亡くなって、さらに相続が開始されることを数字相続といいます。

数字相続になると、相続人の数が増えるなどで、権利関係がややこしくなります。

相続人の数が増えると、相続人同士が疎遠になりがちになります。

相続人同士で疎遠だと、遺産分割協議をすることも難しくなってしまいます。

  

放置しているうちに加齢などで認知能力が衰えると、遺産分割できない

認知症などで判断能力が衰えると、遺産分割協議をすることができません。

この場合、遺産分割するためには成年後見人をたてる必要があります。

成年後見人をたてるには、費用も手間もかかり、成年後見人が選任されるまで時間もかかります。

認知症になった人

また成年後見人の仕事は、いったん選任されると、本人が亡くなるか、判断能力が回復するまで続きます。

遺産分割が終わったからといって、辞任することはありません。

成年後見人についてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

  1. 関連記事 成年後見人とは?司法書士がわかりやすく解説【毎月の費用は?】

 

このように成年後見制度は、融通がきかず、利用しにくい面があります。

遺産分割のために成年後見人をたてるのは、いろいろと大変です。

そういうことにならないように、早めに相続登記することをおすすめします。


不動産を処分するためには、相続登記が必要

基本的に不動産を売却するためには、現在の所有者が登記名義人になっている必要があります。

そのため、相続登記がされていないと、不動産を売却することができません。

 

相続登記しないと、空き家や所有者不明土地の原因に

相続登記しないで放置することは、空き家や所有者不明土地のような社会問題につながります。

先ほど説明した相続登記の義務化は、こうした社会問題を解消するために、検討されているのです。

 

相続登記の手続きについて

権利証

早めに相続登記することが大事なのがわかっていただけましたでしょうか?

具体的な相続登記の手続きについては、こちらの記事にくわしくまとめましたので、ぜひご覧ください。

  1. 関連記事 相続登記の手続を司法書士が解説【不動産の名義変更】

自分で相続登記がするのが大変な場合は司法書士に相談

相続登記は自分ですることができます。

しかし、戸籍謄本などの書類をたくさん集めないといけないなど、多少めんどくさい手続きになります。

自分で相続登記するのが難しい場合は、司法書士に依頼すれば、必要な手続きをすべてやってもらえます。

大阪の方なら当事務所でも承っています。

お気軽にご相談ください。

当事務所の相続登記サポートサービスの詳細はこちら。

  1. ・関連記事 田渕司法書士・行政書士事務所の相続登記サポートサービス


まとめ

以上、相続登記の期限について解説しました。

まとめると次の通り。

  1. ・現在の相続登記には期限はない。
  2. ・令和6年(2024年)4月1日から相続登記に期限が設けられる見通し。
  3. ・早めに相続登記することをおすすめする理由:相続人の集まりや相続の複雑化、認知能力の衰え、不動産処分や所有者不明土地の問題、司法書士に相談することができる。

 

というわけで、今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。