予備的遺言とは【相続させる人が先に亡くなった場合に備える遺言】

「私には妻と二人の子どもがいます。妻は介護が必要な状態でお金がかかるため、私が亡くなったときは、遺産をすべて妻に相続させる遺言を遺そうと思っています。長男は、介護が必要な妻の面倒を見てもらっているのですが、次男の方は妻の面倒は全く見てくれないし、金遣いが荒く、何度も私にお金の無心に来るのです。なので、遺言で妻に遺産をすべて相続させ、もし私より先に妻が亡くなった場合は、長男に遺産を相続させたいと思っています。そのような遺言を予備的遺言というと聞きました。予備的遺言のことについて詳しく教えてくれませんか」

遺言のことで悩んでいる相談者

 

大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。

予備的遺言とは、相続させる人が遺言者(遺言を書いた人)より先に亡くなった場合に備えて、次に相続する人を指定しておく遺言です。

この記事では、予備的遺言を書いた方がいいケースや、予備的遺言の書き方などについてくわしく解説します。

 

予備的遺言とは【相続させる人が先に亡くなった場合に備える遺言】

予備的遺言とは、相続させる人が遺言者(遺言を書いた人)より先に亡くなった場合に備えて、次に相続する人を指定しておく遺言です。

たとえば、妻に全財産を相続させる遺言を遺しても、妻の方が先に亡くなるかもしれません。

なので妻が遺言者より先に亡くなった場合は、妻に相続させるとした財産を子どもなどの別の人に相続させると遺言に記載して、万全を期すことができるというわけです。

予備的遺言の図



予備的遺言の書き方

遺言書

予備的遺言は、たとえば次のような条項を記載します。

・第〇条 遺言者は、遺言者が有する下記の財産の一切を、配偶者○○(昭和○年〇月〇日生)に相続させる。

 

第〇条 遺言者より前にまたは遺言者と同時に配偶者○○が死亡していた場合は、遺言者は前条記載の財産の一切を、遺言者の子○○(昭和○年〇月〇日生)に相続させる。

 2  前項の場合で、子○○も遺言者より先または遺言者と同時に死亡したときは、前項で子○○に相続させるとした財産を、子○○の子(遺言者の孫)○○(平成○年〇月〇日生)に相続させる。


そのほかの遺言の書き方については、こちらの記事にくわしくまとめてありますので、ご覧ください。

・関連記事 遺言の書き方【遺言の文例と気を付けるポイント】


予備的遺言が必要なケース

予備的遺言が必要なのは、次のようなケースです。

・遺言者と、相続させる相手または遺贈する相手の年齢が近い場合

・相続させる相手または遺贈する相手の健康が優れない場合

・若いうちに遺言を遺す場合


予備的遺言が必要なケース1 遺言者と、相続させる相手または遺贈する相手の年齢が近い場合

相続させる相手や、遺贈する相手が配偶者や兄弟姉妹など、遺言者と年齢が近い場合はどちらが先に亡くなるかわからないので予備的遺言を書いておくといいでしょう。

遺言者


予備的遺言が必要なケース2 相続させる相手または遺贈する相手の健康が優れない場合

相続させる相手または遺贈する相手の健康が優れない場合、たとえば相続させるのが年齢がまだ若い子どもでも、末期がんで入院中という場合だと予備的遺言の必要性が高いといえます。

予備的遺言が必要なケース3 若いうちに遺言を遺す場合

若いうちに遺言を書くと、相続させる予定の相続人が先に亡くなる可能性が高くなります。

その場合に備えて、ほかの相続人を第二候補として予備的遺言を残しておくといいでしょう。

予備的遺言の注意点

予備的遺言には注意点があります。

それは、ほかの相続人の遺留分を害しないようにするということです。

遺留分とは、相続人に遺しておくべき最低限の取り分のことです。

この取り分は、遺言を書いた人でも奪うことができません。

もし、相続人の遺留分を侵害するような遺言を遺した場合、遺留分を侵害された相続人は、財産を承継した人に対して、金銭を請求することができます。

この金銭を請求する権利のことを、遺留分侵害額請求権といいます。

たとえば相続人が長男と次男の二人の場合に、「遺言者は財産の一切を、長男に相続させる。遺言者より前に長男が死亡していた場合は、長男の子(遺言者の孫)に相続させる」という内容の遺言を遺していると、次男は、長男または長男の子に対して遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求

 

そうなると相続争いに発展してしまいます。

そうならないように、遺言を書くときは遺留分を侵害しないようにすることをおすすめします。

遺留分については、こちらにくわしく解説しています。

・関連記事 遺留分とは?司法書士がわかりやすく解説【相続人の取り分】

 

まとめ

以上、予備的遺言について解説しました。

ここで解説したことは、一般的な話です。

どのような遺言がいいのかは、それぞれのケースによって異なりますので、司法書士などの専門家と相談しながら作成することをおすすめします。

大阪近辺の方でしたら、当事務所でも相談を承っております。

当事務所の遺言書作成サポートサービスの詳細につきましては、こちらをご覧ください。

・関連記事 田渕司法書士・行政書士事務所の遺言書作成サポートサービス


遺言に関するご相談は相談無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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それでは今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

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