【2024年】相続登記義務化を司法書士が解説 いつから?
「10年前に父が亡くなったのですが、父名義の不動産について相続登記しておらず、そのままになっています。相続登記が義務になると聞きました。いつまでに相続登記しないといけないのですか?また相続登記をしないと罰則があるのですか?」
大阪の司法書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
相続した不動産の名義変更を相続登記といいます。
これまでは、相続登記するかどうかは不動産を所有している人の自由でした。
しかし、相続登記をしないで放置する人が多いために、空き家や所有者不明の土地が増加して、社会問題になっています。
そこで、こうした社会問題を解決するために、相続登記をすることが義務化されることになりました。
この記事では、相続登記はいつから義務化されるのか、相続登記しないとどんな罰則があるのかなど、相続登記について深堀りして解説します。
目次
- 1 【2024年】相続登記義務化を司法書士が解説 いつから?
- 2 相続登記する意味
- 3 いつまでに相続登記しないといけないの?
- 4 相続や遺贈によって所有権を取得した人は、取得したことを知ったときから3年以内に登記しないといけない
- 5 相続登記した後、遺産分割があったときは、遺産分割の日から3年以内に登記しないといけない
- 6 不動産の所有権の登記名義人の氏名(または名称)や住所に変更があったときは、変更の日から2年以内に登記しないといけない
- 7 相続登記しないと罰則がある?
- 8 相続登記義務化はいつから?
- 9 相続人申告登記
- 10 相続登記の申請手続き
- 11 自分で相続登記することが難しい場合は司法書士に相談
- 12 まとめ
【2024年】相続登記義務化を司法書士が解説 いつから?
令和6年(2024年)4月1日から相続登記が義務になります。
これまでは相続登記に限らず、不動産登記については登記するかどうかは所有している人の任意でした。
しかし相続登記をしないまま放置する人が多かったために、所有者が誰なのかわからない不動産が増え、社会問題となっていました。
所有者がわからない理由の66%が相続登記の不備で、34%が住所を変更していないからとのことです。
相続登記をしない人が多いのは、相続登記をするには費用がかかってしまう上に、相続登記はまったくの任意で、罰則もなかったからです。
そこで相続登記を義務化することで、こうした所有者不明の土地を減らしていこうというのが、相続登記義務化の趣旨です。
相続登記する意味
すみやかに相続登記が行われることが、所有者不明土地問題のひとつの解決策になります。
登記とは、所有権などの権利関係を外部に公表する制度です。
登記は誰でも見ることができるため、不動産を購入したいと思っている人が、不動産の所有者を調べたいときは、登記を見れば、簡単に所有者がわかります。
それによって円滑な不動産取引ができるようになるのです。
しかし、相続が発生したときに相続登記がされないまま放置されると、実際の所有者と登記上の名義人が一致しない状態が続きます。
その結果、次のような問題が発生します。
- ・取引したいと思って調べても、だれが所有者かわからない
- ・放置された不動産について近隣が迷惑でも、誰が所有者かわからないので文句言えない
- ・放置された不動産について近隣が迷惑でも、行政はなんともできない。
不動産を購入したい人がいても、所有者を調べても誰が所有者なのかわからないと、不動産の購入を断念してしまい、その結果、放置されたままということになってしまいます。
このようなことが起きないようにするためにも、すみやかに相続登記をすることが必要です。
いつまでに相続登記しないといけないの?
相続登記の期限については、次のようなルールを設けられます。
- ・相続や遺贈によって所有権を取得した人は、取得したことを知ったときから3年以内に登記しないといけない
- ・相続登記した後、遺産分割があったときは、遺産分割の日から3年以内に登記しないといけない
- ・不動産の所有権の登記名義人の氏名(または名称)や住所に変更があったときは、変更の日から2年以内に登記しないといけない
相続や遺贈によって所有権を取得した人は、取得したことを知ったときから3年以内に登記しないといけない
相続登記は取得したことを知ったときから3年以内に登記しないといけません。
相続しても、不動産を取得したことを知らなかったり、自分が相続人になっていたこと自体を知らなかったりする場合もありますので、取得したことを知ったときから3年以内となっています。
相続だけでなく、遺贈(遺言による贈与)によって取得した場合にも登記しないといけません。
相続登記した後、遺産分割があったときは、遺産分割の日から3年以内に登記しないといけない
相続登記した後、遺産分割があったときは、遺産分割の日から3年以内に登記しないといけません。
遺産分割協議とは、相続財産をどう分けるか話し合うことです。
相続登記は、遺産分割協議で誰が不動産を相続するのか決めてからすることが多いかと思います。
しかし、遺産分割協議せずに、相続人全員が法定相続分で相続する相続登記をすることもできます。
また、法定相続分による相続登記をした後に、改めて相続人のうちの一人が不動産を相続する遺産分割をすることもできます。
この場合、遺産分割の日から3年以内に登記しないといけません。
不動産の所有権の登記名義人の氏名(または名称)や住所に変更があったときは、変更の日から2年以内に登記しないといけない
不動産の所有権の登記名義人の氏名(または名称)や住所に変更があったときは、変更の日から2年以内に登記しないといけません。
登記名義人の住所や氏名・名称の変更登記はこれまでは義務ではありませんでした。
しかし、住所や氏名・名称が変更登記されないままだと、せっかく放置された不動産を買いたい人、利用したい人がても、所有者に連絡が取れないということになってしまいます。
所有者がわからない理由の34%が住所の変更登記がされていないから、とのことです。
そこで、登記名義人の氏名や住所に変更があったときは、変更の日から2年以内に登記しないといけないことになりました。
相続登記しないと罰則がある?
正当な理由なく相続登記しない人には、10万円以下の過料に処せられます。
また、正当な理由がないのに氏名や住所の変更登記の申請を怠った場合には、5万円以下の過料に処せられます。
相続登記義務化はいつから?
相続登記義務化は令和6年(2024年)4月1日から施行の見込みです。
相続人申告登記
相続人が申請義務を簡易的に履行できるようにするため、相続人申告登記という制度が設けられました。
相続人申告登記とは、①所有権の登記名義人について相続が開始したこと、②自らがその相続人であること、を3年以内に法務局に申し出ることで、申請義務を履行したものとみなす制度です。
相続人によってこの申告がされると、法務局は審査をした上で、申出をした相続人の氏名・住所等を登記に付記します。
これにより付記登記簿を見ることで相続人の氏名・住所を把握することが可能になります。
相続人申告登記の申告は次のような場合でも可能です。
- ・相続人が複数いる場合でも、一人の相続人が単独で申出可能
- ・一人の相続人が、他の相続人の分も含めて代理で申出することも可能
- ・相続人の範囲が確定できず、ほかにどのような相続人がいるかわからない場合でも申出可能
相続人申告登記の添付書面は、申出をする相続人が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることが分かる戸籍謄本だけです。
相続は、場合によっては遺産分割協議がなかなか進まなかったり、戸籍謄本などの必要書類をすべて集めるのが難しく、3年以内に登記することが不可能な場合もあるかもしれません。
そういう場合のために、簡易的な登記として相続人申告登記という制度が設けられました。
しかし、相続人申告登記は、あくまで相続登記することが難しいケースについての救済的な措置です。
不動産を処分するためには、正式な相続登記が必要なことには変わりありません。
正式な相続登記が可能な場合は、早めに相続登記をすることをおすすめします。
相続登記の申請手続き
相続登記の申請の手続きについては、別記事で解説していますので、くわしくはこちらをご覧ください。
自分で相続登記することが難しい場合は司法書士に相談
相続登記は自分ですることができます。
しかし、戸籍謄本などの書類をたくさん集めないといけないなど、多少めんどくさい手続きになります。
自分で相続登記するのが難しい場合は、司法書士に依頼すれば、必要な手続きをすべてやってもらえます。
大阪の方なら当事務所でも承っています。
お気軽にご相談ください。
当事務所の相続登記サポートサービスの詳細はこちら。
まとめ
以上、相続登記義務化について解説しました。
まとめると次の通り。
- ・令和6年(2024年)4月1日から相続登記が義務化
- ・取得したことを知ったときから3年以内に相続登記すべき
- ・正当な理由なく相続登記しない人は、10万円以下の過料
というわけで今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。