相続と遺贈の違いは?司法書士がわかりやすく解説します

「相続と遺贈はどう違うんですか?」

相続についての疑問

 

大阪の司法書士・行政書士の田渕智之です。こんな疑問にお答えします。

簡単にいうと、相続とは、亡くなったときに相続人が財産を引き継ぐことで、遺贈とは、遺言で財産を人に贈与することです。

というわけで今回は、相続と遺贈の違いをくわしく解説します。

  

相続と遺贈の違いは?司法書士がわかりやすく解説します

相続と遺贈の意味は、次の通りです。

  1. 相続:亡くなったときに、相続人が財産を引き継ぐこと
  2. 遺贈:遺言で財産を人に贈与すること

どちらも、人が亡くなった場合に、ほかの人が財産を引き継ぐものです。


違いとしては、次の通り。

  1. 相続:亡くなると当然に発生します。
  2. 遺贈:遺言を書かないと発生しません。

相続は、引き継ぐ人(相続人)が、法律で決められています。

次の人たちです。

 

配偶者

配偶者はつねに相続人になります。

ただし内縁関係では相続人になりません。


子ども

子どもは第一順位の相続人です。

被相続人より子どもが先に亡くなっていて、孫がいる場合は、孫が子どもの代わりに相続人になります。


直系尊属

直系尊属とは、被相続人の父母や、祖父母のことです。

直系尊属は、子どもや孫がいない場合に相続人になります。

父母が健在のときは、祖父母は相続人にはなりません(民法889条)。


兄弟姉妹

兄弟姉妹は、子や孫、父母や祖父母がいない場合に、相続人になります。

被相続人より先に、兄弟姉妹が亡くなっていた場合は、甥や姪が兄弟姉妹の代わりに相続人になります。


相続人にはならない人

下記の人は相続人ではないので、そのままでは、財産を承継しません。

  1. 孫(子どもが生きている場合)
  2. 内縁の夫・妻
  3. 子どもの配偶者

上記の人に財産を引き継がせたい場合は、遺言を書いて遺贈する必要があります。

遺言の書き方は、別記事にまとめましたので、よろしければご覧ください。

・関連記事 遺言の書き方【遺言の文例と気を付けるポイント】


相続と遺贈の税金上の違い

相続と遺贈の税金上の違いは次の通り。


相続税

相続も、遺贈も、財産を引き継いだ人に相続税がかかる場合があります。

税額の詳細については国税庁のホームページをご覧ください。

・外部リンク 国税庁 相続税の計算


不動産取得税

相続の場合は、不動産取得税はかかりません。

さらに遺贈は、相続人ではない第三者に特定遺贈した場合、その第三者に不動産取得税がかかる場合があります。

特定遺贈とは、特定の財産を指定して遺贈する方法のことです。

特定の財産ではなく、財産の割合を指定して遺贈する方法のことを包括遺贈といいます。

包括遺贈の場合は、相続人ではない第三者に遺贈しても、不動産取得税はかかりません。

・関連記事 包括遺贈と特定遺贈の違いをわかりやすく解説【遺言書の作成】


相続人に特定の財産を承継させたい場合

相続人が複数いる場合、すべての財産を相続人が共有することになりますが、相続人が承継する財産を、遺言で指定することもできます。

たとえば相続人が子ども二人で、相続財産が自宅と預貯金の場合、遺言を書いていないと、自宅も預貯金も子ども二人で共有することになります。

自宅で兄弟仲良く暮らしていくならそれでもいいですが、実際はそうではないケースの方が多いでしょう。

相続について相談

長男が自宅に住み続ける場合は、自宅を長男に承継させて、次男には預貯金を承継させるなどにした方がいいです。

その場合は、遺言に「不動産を長男に相続させる、預貯金を次男に相続させる」などと書いておく必要があります。

このような遺言を、遺産分割方法の指定といいます。

・関連記事 相続分の指定と遺産分割方法の指定の違いを解説【遺言書】


また、相続人に対して遺贈することもできます。

遺言の「相続させる」を「遺贈する」とするだけです。

ただし、相続人に遺贈しても特にメリットはありません。

それどころか遺贈の場合は、財産を承継した人と、他の相続人が協力しないと不動産の名義変更(相続登記)ができません。

そのため相続争いになった場合、他の相続人が協力してくれず、相続登記ができなくなるおそれがあります。

相続争い

「相続させる」とした場合は、不動産を承継した人が単独で登記申請できるので、このようなことは起こりません。

なので、法定相続人に対して、遺言で財産を承継させる場合は「相続させる」と書きましょう。

・関連記事 相続させる旨の遺言とは?司法書士がわかりやすく解説します

 

まとめ

以上、相続と遺贈の違いについて解説しました。

まとめると、相続とは亡くなったときに、相続人が財産を引き継ぐこと、遺贈とは遺言で財産を人に贈与することです。


当事務所(田渕司法書士・行政書士事務所)では、相続や遺言に関するご相談を承っています。

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それでは、今回はこの辺で。

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