エンディングノートとは?司法書士、終活カウンセラーが解説
「最近、終活に興味を持ちました。エンディングノートを書くといいと聞きますが、エンディングノートとはどんなものですか?」
大阪の司法書士・終活カウンセラーの田渕です。こういった疑問にお答えします。
エンディングノートとは、自分の情報や財産状況、家族に対する想い、残りの人生でやりたいことなどをまとめて記載するノートです。
この記事では、エンディングノートについてわかりやすく解説します。
目次
エンディングノートとは?司法書士、終活カウンセラーが解説
エンディングノートとは、自分の情報や財産状況、家族に対する想い、残りの人生でやりたいことなどをまとめて記載するノートです。
各種のエンディングノートが書店で売られています。
エンディングノートを書くことで、自分自身のことを確認することで、残された人生で改善が必要な点や、亡くなるまでに準備すべきことが分かりやすくなります。
またエンディングノートに財産などの情報をまとめることで、残された家族が相続手続きをするのが円滑になるというメリットもあります。
エンディングノートの記載事項
エンディングノートには、主に次のようなことを記載することになっていることが多いです。
・氏名、住所、電話番号、メールアドレス、職歴、病歴などの基本情報
・携帯電話、パソコン、SNSなどのID、パスワード
・財産の内容
・判断力が低下した時に財産管理などをお願いしたい人
・遺言書等の有無
・介護のこと
・葬儀、お墓のこと
・家族や友人、大事な人へのメッセージ
エンディングノートの記載事項1 氏名、住所、電話番号、メールアドレス、職歴、病歴などの基本情報
ご自分の基本情報です。
家族であっても、職歴や病歴などのくわしい情報を知らないこともあるかと思いますので、それを伝えるために記載します。
病歴については、もし病院に緊急搬送され、自分でかかりつけの病院や主治医を伝えられない状態の場合、家族がエンディングノートを見れば、家族がそれを搬送先の病院に伝えることができます。
エンディングノートの記載事項2 携帯電話、パソコン、SNSなどのID、パスワード
相続人が相続手続き等をすすめるためにパソコンや携帯電話などのデータを確認スリ必要があるときのためにID、パスワードを記載します。
またSNSだけでしか繋がってない人に訃報を知らせたい場合は、そのことを書いておいてもいいでしょう。
家族にもこれらのデータを見られたくないという場合は、生前にアカウントを削除しておくか、死後事務委任契約で依頼しておきましょう。
・関連記事 死後事務委任契約とは【葬儀など死後のことを生前に委任】
エンディングノートの記載事項3 財産の内容
財産の内容を書くことで、残された家族が財産の情報や所在がわかり、相続手続きを進めやすくなります。
遺産の内容がわかならなければ、相続人は財産調査からはじめなければならず、大変苦労してしまいます。
・関連記事 亡くなった人の財産を調べる方法 相続財産の調査を解説
エンディングノートの記載事項4 判断力が低下した時に財産管理などをお願いしたい人
認知症などで判断力が低下し、自分で財産管理するのが難しくなると、成年後見人をつけないといけない場合があります。
・関連記事 成年後見人とは?司法書士がわかりやすく解説【毎月の費用は?】
その場合に、誰に財産管理してほしいか書いておきましょう。
ただし、成年後見人は裁判所が選任するので、確実にその人が後見人として財産を管理してくれるかはわかりません。
確実に自分の希望する人に後見人なってほしい場合は、任意後見契約をする必要があります。
任意後見契約についてはこちら。
・関連記事 任意後見とは 司法書士がわかりやすく解説【成年後見との違い】
エンディングノートの記載事項5 遺言書等の有無
相続人にとっては遺言の有無が重要なので、そのことを記載します。
遺言書に相続財産の分け方が書いてあれば、基本的にはその通りに相続することになります。
しかし、遺言書がなければ相続人は遺産をどう分けるかを話し合う遺産分割協議というものをする必要があります。
・関連記事 遺産分割協議とは何か?【遺産の分け方についての話し合い】
そのため、相続人にとっては遺言の有無が重要になるのです。
エンディングノートの記載事項6 介護のこと
もし、介護が必要になった場合に、誰に介護をお願いしたいか、施設に入りたいか、自宅に住み続けたいかなど記載します。
介護が必要になったときに、自分の意思を表明できないこともあるかもしれませんので、介護のことについて記載しましょう。
エンディングノートの記載事項7 葬儀、お墓のこと
葬儀の場所や葬儀社、誰に喪主をやってほしいのかなど、葬儀やお墓についての希望を記載します。
エンディングノートの記載事項8 家族や友人、大事な人へのメッセージ
エンディングノートには大体、家族や友人、大事な人へのメッセージを書く欄があります。
なお、遺言書にも家族や友人、大事な人へのメッセージを自由に書くことができます。
これを付言事項といいます。
・関連記事 遺言の付言事項とは?家族につたえるメッセージ【遺言の文例】
エンディングノートと遺言の違い
エンディングノートと遺言の違いは法律的な効果があるかどうかです。
エンディングノートには、基本的には法律的な効果はありません。
一方、遺言書は主に遺産を誰にどれだけ相続させるか、あるいは贈与するかを指定するものです。
くわしくはこちら。
・関連記事 遺言と遺書とエンディングノートの違い【ご存知ですか?】
エンディングノートに遺言を書くことはできる?
エンディングノートに、遺言と同様のことを自筆で書いて、日付を書き、署名押印すれば、自筆証書遺言として有効になる可能性があります。
ただし、エンディングノートに遺言を書いても、家族に遺言だと認識してもらえない可能性があります。
なので、遺言を書きたい場合はエンディングノートとは別に遺言書を書くべきです。
遺言の書き方はこちら。
・関連記事 遺言書の書き方【遺言書の例文と気を付けるポイント】
エンディングノートの注意点
エンディングノートは気軽に書けますが、家族に対する不満や愚痴を書いてしまうと、それが紛争の種になってしまいます。
他の人に見せるつもりがなく自分だけのために書く場合でも、亡くなった後に家族や相続人に発見されることもありますので、その点は注意が必要です。
まとめ
以上、エンディングノートとは何かについて解説しました。
まとめると次の通り。
・エンディングノートは、個人情報や財産、葬儀の希望などを記録し、家族や相続人に伝えるためのノートです。
・法的な効力はないが、財産の情報や介護の希望などが明確になるため、家族の負担を軽減できます。
・エンディングノートは遺言書とは異なるので、遺言書を希望する場合は別途作成する必要があります。
今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。