遺言は撤回できる 方法や注意点などを司法書士がわかりやすく解説
「私は5年前に遺言を書きましたが、気が変わったので撤回したいのですが、一回書いた遺言を撤回することはできますか?」
司法書士、行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
一度書いた遺言はいつでも撤回することができます。
気が変わったからという理由でも撤回することはできます。
遺言は、自分の意思を法的に明確に伝えるための大切な手段です。
しかし、人生の状況や価値観は変わるもの。
過去に作成した遺言の内容を見直したい、撤回したいと考えることもあるでしょう。
この記事では、遺言の撤回について、その方法や注意点を司法書士の視点からわかりやすく解説します。
目次
遺言は撤回できる 方法や注意点などを司法書士がわかりやすく解説
遺言は、作成者が生きている限り何度でも自由に撤回や変更が可能です。
法律上、遺言者の意思が最優先されます。
そのため、以前の遺言を変更したい場合や取り消したい場合も、正しい手続きで行えば問題ありません。
遺言の撤回方法
遺言は次の方法で撤回できます。
・新しい遺言を作成する
・遺言を破棄する
・生前処分
遺言の撤回方法1 新しい遺言を作成する
最も確実な方法です。
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、
その遺言の全部又は一部を撤回することができるとされています(民法1022条)。
新しい遺言で「これまでの遺言を撤回する」と明記すれば、以前の遺言は無効になります。
またはっきりと「撤回する」と明示しなくても、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます(民法12023条1項)。
自筆証書遺言だけでなく、公正証書遺言も後で書く遺言で撤回することができます。
ただし、形式不備のないよう注意が必要です。
・関連記事 遺言書の書き方【遺言書の例文と気を付けるポイント】
遺言の撤回方法2 遺言の物理的破棄
自筆証書遺言の場合、破り捨てたり焼却することで撤回とみなされます。
ただし、誤解やトラブルを避けるためにも、新しい遺言を作成する方が望ましいです。
公正証書遺言は、遺言の原本が公証役場に保管されているので、この方法では撤回できません。
遺言の撤回方法3 生前処分
遺言が遺言後の生前処分などと抵触する場合、その抵触する部分について撤回されたものとみなされます(民法1023条2項)。
たとえば、不動産を相続させるという遺言を書いた後に、遺言者が生前にその不動産を売却した場合、不動産を相続させるという部分につき撤回したものとみなされます。
遺言を撤回する場合の注意すべきポイント
遺言を撤回する場合、次のような点に注意する必要があります。
・撤回することを明確にする
・自筆証書遺言を撤回する場合は、古い遺言は破棄する
・相続人へ事前に伝えておく
遺言の撤回の注意すべきポイント1 撤回することを明確にする
遺言の撤回を行う場合は、撤回することを明記しておくべきです。
上記の通り、遺言を撤回することを明記しなくても、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
しかし、相続人間で後々トラブルになることを防ぐためにも、はっきりと撤回する旨を明記するべきです。
遺言の撤回の注意すべきポイント2 自筆証書遺言を撤回する場合は、古い遺言は破棄する
上記の通り、自筆証書遺言は破棄することでも撤回できます。
複数の遺言書があると、家族は混乱してしまうので、自筆証書遺言を撤回する場合は、古い遺言は破棄した方がいいでしょう。
遺言の撤回の注意すべきポイント3 相続人へ事前に伝えておく
撤回や変更を繰り返すことで、相続人が混乱する場合があります。
遺言の内容や意図を生前に話し合うことも一つの方法です。
こんな場合は専門家に相談を!
次のような場合、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
・遺言の内容が複雑な場合
・遺言を撤回・変更した後のトラブルが心配な場合
・相続人間で揉め事が起きそうな場合
遺言の撤回や変更は法的な知識が求められる場合もあります。司法書士や弁護士などの専門家に相談することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
大阪の方なら当事務所でも承っております。
遺言の作成や撤回についてお困りの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。
信頼できるサポートで、安心の終活をお手伝いいたします。
初回相談無料ですので、お気軽にご相談ください。
お問い合わせは、お電話()かこちらのメールフォームからお願いいたします。
まとめ
以上、遺言の撤回について解説しました。
遺言の撤回は自由に行えますが、正しい手続きや形式が求められます。
特に、相続トラブルを避けるためには新しい遺言を適切に作成し、法的に有効な形にしておくことが重要です。
遺言について不安がある場合は、ぜひ専門家に相談してください。
今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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