遺言で寄付することができる 文例や注意点をわかりやすく解説
「私には、子どもが1人いますが、数十年連絡取っていません。なので子どもには遺産を相続させたくありません。私が亡くなったら、遺産は公益的な団体に寄付したいと思っています。遺言で寄付することができるのでしょうか?」
大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
遺言で贈与することを遺贈といいます。
個人だけでなく、団体に遺贈(寄付)することもできます。
この記事では、遺言で寄付する場合の文例や注意点などをわかりやすく解説します。
目次
遺言で寄付することができる 文例や注意点をわかりやすく解説
寄付は、自治体、宗教団体、学校や、慈善団体などに自分の財産を無償で譲渡することです。
寄付は生前にすることもできますが、遺言ですることもでき、その場合は遺言者(遺言を書いた人)が亡くなった後に寄付されることになります。
公共事業に寄付すると相続税がかからないというメリットがありますので、多額の相続税がかかることが予想される場合は、相続税対策として公共事業に寄付することも有効です。
遺言で寄付する場合の文例
次のように遺言に記載します。
遺言者○○は、次の通り遺言する。
1 遺言者は、特定非営利活動法人○○に遺言者の財産のすべての財産を遺贈する。
個々の財産を指定して遺贈する場合
遺言者○○は、次の通り遺言する。
1 遺言者は、特定非営利活動法人○○に現金1000万円を遺贈する。
2 残余の財産は、妻○○、長男○○に、その相続分に従って相続させる。
遺言で寄付する場合の注意点
遺言で寄付する場合、次のような注意点があります。
・寄付の相手方の特定
・寄付の相手方の意向を確認する
・遺言執行者を選任する
・相続人がいる場合、遺留分に気を付ける
遺言で寄付する場合の注意点1 寄付の相手方の特定
遺言で寄付する場合、寄付の相手方を特定できる情報を遺言に記載する必要があります。
遺言の効力が発生するのは遺言者が亡くなった後なので、相手方を特定できる情報がないと、どこの団体に寄付つもりだったのかわからないということになるからです。
寄付の相手方が団体等の場合は、団体の正式な名称、主たる事務所の所在地、法人格の有無、代表者の氏名等を特定する必要があります。
遺言で寄付する場合の注意点2 寄付の相手方の意向を確認する
遺言で寄付する場合は、寄付の相手方の意向を確認しましょう。
遺言は遺言者の一方的な意思表示で成立するので、相手方の同意は必要ありません。
しかし、受贈者(遺言で贈与を受けた人)はいつでも遺贈を放棄することができるので、せっかく寄付しても、放棄されると遺言が無駄になってしまいます。
なので、事前に相手方と相談し、遺言による寄付を受け付けてもらえるのか確認しておくべきです。
特に不動産や動産などは換金するのが大変ということで、拒否される可能性がありますので、事前の確認が大切です。
遺言で寄付する場合の注意点3 遺言執行者を選任する
遺言で寄付する場合、遺言執行者を選任しましょう。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために動く人です。
遺言の効力が発生するのは、遺言を書いた人が亡くなった後です。
そのときに遺言を書いた人に代わって、遺言の内容通りに手続きをする人が必要になります。それが遺言執行者です。
遺言執行者は、親族でもいいし、司法書士などの専門家でも構いません。
遺言執行者についてくわしくはこちら
・関連記事 遺言執行者とは?【遺言の内容を実現するために動く人】
遺言で寄付する場合の注意点4 相続人がいる場合、遺留分に気を付ける
遺言で寄付する場合、相続人が全くいなければ問題ありませんが、相続人がいる場合、遺留分に気をつける必要があります。
遺留分とは相続人に保障された最低限の取り分のことです。
たとえば相続人がいる場合に、全財産を団体などに寄付すると、遺留分を侵害された相続人は寄付を受けた団体に遺留分に相当する金銭を請求することができます。
そうなるとトラブルになり、団体等に迷惑をかけてしまうことになります。
そうならないように遺言で寄付する場合は、相続人の遺留分を侵害しないような内容の遺言にすることをおすすめします。
遺留分についてくわしくはこちら
・関連記事 遺留分とは?司法書士がわかりやすく解説【相続人の取り分】
まとめ
以上、遺言で寄付する場合について解説しました。
まとめると次の通り。
・遺言で寄付することができる。
・遺言書は寄付相手の特定、意向確認、遺言執行者選任が必要。
・相続人がいる場合は、遺留分侵害を避けるため注意が必要。
当事務所では、遺言についての相談を承っております。
初回相談無料ですので、お気軽にご相談ください。
当事務所の遺言書作成サポートサービスの詳細はこちら。
・関連記事 田渕司法書士・行政書士事務所の遺言書作成サポートサービス
というわけで今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。