相続登記は自分でできる?【大変だけど人によってはできる】
「先日、父が亡くなりました。父名義の自宅があるので相続登記が必要ですが、相続登記は自分でできますか?」
大阪の司法書士の田渕智之です。
こういった疑問にお答えします。
登記は自分で申請することができます。
ただし、相続登記といっても手続きが簡単なケースから、非常に難しいケースまで様々あります。
簡単なケースであれば、時間と手間はかかりますが自分ですることもできますが、難しいケースであれば司法書士に依頼した方がいいかと思います。
この記事では、相続登記を自分でしようと思っているけど、自分でできるかどうかわからない方に向けて、相続登記は自分できるのか、深掘りして解説します。
目次
相続登記は自分でできる?【大変だけど人によってはできる】
相続登記は必要書類を収集して、申請書を作成して、法務局に提出することが必要になります。
なので、必要書類を集めたり、申請書を作成することができれば、相続登記を自分ですることができます。
相続登記には、たくさんの書類がありますが、その中でも集めるのが大変なのが戸籍謄本類です。
被相続人(亡くなった方)が遺言を遺さなかった場合、相続登記では、亡くなった方の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本すべてと、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要になります。
- ・関連記事 相続に必要な戸籍謄本の集め方、古い戸籍の読み方
戸籍は本籍地の役所で管理されており、本籍地の役所で戸籍謄本を取る必要があります。
出生時は両親の戸籍に入っていますが、結婚により新たな戸籍が編製されます。
そのほか、本籍地は自由に変えることができます。これを転籍といいます。
何度も転籍していると、その度にさかのぼって戸籍謄本を取得する必要があります。
また転籍前の本籍地は戸籍に記載されているため、戸籍謄本の記載から本籍地を読み取らないといけません。
昔の戸籍謄本は手書きで記載されているため読みにくく、また、どこに転籍前の本籍地が書いてあるか、とても分かりにくいです。
このように戸籍謄本を集めるのは慣れていないと、とても難しい作業になります。
しかし、正しい戸籍謄本さえ揃えることができる方であれば、あとの手続きも時間をかければできるでしょう。
親族関係があまり複雑でなく、必要な戸籍謄本が少ない場合で、なおかつ、書類を集めたり、文章を読み込むのが得意な方であれば、相続登記を自分ですることもできるかと思います。
しかし、相続登記でも、自分ですることがとても難しいケースもあります。
そこで、相続登記を自分でできる場合、相続登記を自分でできそうではない場合について解説します。
相続登記を自分でできる場合
次の条件がそろっている場合、相続登記を自分で行うことは可能かと思います。
- ・親族関係が複雑ではない
- ・時間に余裕がある
- ・あなたが書類を集めたり、文章を読み込むのが得意な方である
相続登記を自分でできる場合1 親族関係が複雑ではない
親族関係が複雑ではない場合とは、たとえば、相続人が配偶者と子どもだけ、とか、配偶者だけ、子どもだけという場合です。
このような場合は、必要な戸籍謄本も少なく済む場合が多く、相続登記を自分でしやすいケースかと思います。
相続登記を自分でできる場合2 時間に余裕がある
相続登記は時間がかかります。
すんなりといけばいいですが、戸籍謄本の取り方がわからなければ役所に行って聞き、登記申請のやり方がわからなければ法務局に行って聞き、書類に不備があれば、その度に補正を行う必要があります。
なので、相続登記を自分でする場合は、時間と手間がかかることは覚悟してください。
相続登記を自分でできる場合3 あなたが書類を集めたり、文章を読み込むのが得意な方である
戸籍謄本などたくさんの書類を集めたり、戸籍謄本を読み込んで、必要な戸籍謄本を取得するなどの手続きが必要になります。
書類の処理や、文章を読み込むなどの作業が得意な方であれば、相続登記を自分ですることも可能かと思います。
逆に、そういった作業が苦手な方は、相続登記を自分ですることについては、かなり苦労されるかと思われます。
相続登記を自分でするのが難しい場合
次のような場合は、相続登記を自分でするのは難しいので、司法書士に依頼されることをお勧めします。
- ・親族関係が複雑な場合
- ・祖父母や、曾祖父母の名義になっている場合
- ・必要書類が廃棄されていた場合
- ・相続登記の手続きをする時間がない場合
- ・相続人同士の仲が悪い場合
親族関係が複雑な場合
親族関係が複雑な場合、たとえば、子どもや父母、祖父母がいないため、兄弟姉妹が相続人になる場合や、子どもが先に亡くなって、その子どもの子ども(孫)が相続人になる場合(代襲相続といいます)などは、必要な戸籍謄本の量も多く、相続登記を自分でするのは難しくなります。
祖父母や、曾祖父母の名義になっている場合
不動産の名義人が祖父母や曾祖父母の名義になっている場合、戸籍謄本の数も多くなります。
また相続が発生したのが戦前の場合は、相続についてのルールが現在と異なります。
そのため相続人を確定するにも旧民法の知識が必要になり、専門家でないと難しいケースになります。
必要書類が廃棄されていた場合
戸籍などは保存期間が定められており、保存期間が過ぎたことにより廃棄されていたり、戦争や災害などで消失していることもあります。
その場合でも、他の書類などで補完することができるのですが、場合によっては法務局に問い合わせて確認することが必要になるので、不安な場合は司法書士に任せた方がいいかと思います。
相続登記の手続きをする時間がない場合
相続登記の手続きは慣れていないと時間も手間もかかります。
そのような時間をかけることができない方は、自分でするのは向いていないでしょう。
また、早急に不動産を売却する必要があり、そのために相続登記を急ぐ場合も、自分でするよりも、司法書士に依頼した方がいいかと思います。
相続人同士の仲が悪い場合
遺言書がない場合、相続登記の前提として、相続人同士で遺産の分け方を話し合う必要があります。
この話し合いを遺産分割協議といいます。
相続人同士の仲が悪くて、遺産分割協議ができないと、相続登記を行うことができません。
その場合、遺産分割調停という手続きをとる必要があります。
遺産分割調停とは、調停委員という家庭裁判所の職員を間に挟んで、相続人同士の言い分を調整してもらいながら、遺産分割について合意する手続きです。
遺産分割調停を申し立てるには、必要書類を家庭裁判所に提出する必要があります。
この場合、相続登記に加えて、遺産分割調停についても書類の収集などの手続きが必要になり、さらに手続きが大変になるので、この場合は専門家に相談してみることをおすすめします。
相続登記を自分でする場合のメリットとデメリット
相続登記を自分でする場合、次のようなメリットがあります。
- ・費用を節約できる
相続登記を自分でする場合、戸籍謄本の手数料や郵送料など実費だけで済むので費用を節約できます。
一方、相続登記を自分でする場合、次のようなデメリットがあります。
- ・時間がかかる
- ・手間がかかる
- ・相続登記を放置している罰則が科せられる
相続登記を自分でする場合、時間や手間がかかります。
また少しでも書類に不備があると、修正のために法務局に出向いたり、一旦取り下げが必要になったりして、さらに時間がかかってしまいます。
また相続登記については2024年4月1日から義務化され、手続きが大変だからといって放置していると10万円以下の過料が科せられます。
相続登記を自分でする場合の手続き
以上、相続登記を自分でできそうな場合・できなさそうな場合、相続登記を自分でするメリット・デメリットを解説しました。
それを踏まえて相続登記を自分でやってみようという方に、別記事で相続登記の手続きを解説しています。
この手順通りに手続きを行えば、相続登記を自分ですることができます。
相続登記を自分でできない場合は司法書士へ
以上を読んで、自分ではできそうにないと思われる方は司法書士に依頼しましょう。
司法書士に依頼すれば、書類に署名押印して、印鑑証明書だけ自分で取れば、あとは戸籍謄本の収集から、申請書などの書類の作成、法務局への提出などすべてやってもらえます。
大阪の方なら、当事務所でも承っています。
初回相談無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
当事務所の相続登記サポートサービスの詳細はこちら。
まとめ
以上、相続登記は自分でできるのか、について解説しました。
まとめると、次の場合、自分でも相続登記ができる可能性があります。
- ・親族関係が複雑ではない
- ・時間に余裕がある
- ・あなたが書類を集めたり、文章を読み込むのが得意な方である
というわけで今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。