戸籍謄本と戸籍抄本の違い【全部事項証明書と個人事項証明書】

戸籍謄本と戸籍抄本の違いがわからない人

「市役所に戸籍を取りに行きたいのですが、戸籍の請求用紙に戸籍謄本・戸籍抄本のチェック欄がありました。戸籍謄本と戸籍抄本はどう違うのですか?」

 

 

 

大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。

戸籍謄本は、戸籍に記載されている情報のすべてを記載したものです。戸籍に記載された全員の身分関係が記載されています。

戸籍抄本は、戸籍の記載事項の一部を記載したものです。一部の人だけの身分関係が記載されています。

この記事では、戸籍謄本と戸籍抄本の違いについて、もう少しくわしく解説します。

 

戸籍謄本と戸籍抄本の違い【全部事項証明書と個人事項証明書】

戸籍謄本

戸籍謄本も戸籍抄本も戸籍に記載されている身分関係を記載した証明書です。

違いは、全員の身分関係を記載しているか、一部の人の身分関係を記載しているかです。

現在の戸籍は、一組の夫婦と、その夫婦と氏(苗字)が同じ子どもを一つの単位として編成されています。

・関連記事 戸籍とは何か?【簡単に言うと身分関係を記録、証明するもの】


戸籍謄本は全員の情報を記載したもの、戸籍抄本はこのうちの一部の人の情報を記載したものです。

なお、現在では戸籍はコンピューター化されており、コンピューター化されたものについては、戸籍謄本は全部事項証明書、戸籍抄本は個人事項証明書と呼んでいます。


戸籍謄本(全部事項証明書)

戸籍謄本(全部事項証明書)は、戸籍に記載された全員の身分関係が記載された証明書です。


戸籍抄本(個人事項証明書)

戸籍抄本(個人事項証明書)は、戸籍に記載された一部の人の身分関係が記載された証明書です。


戸籍謄本が必要とされる場合が多い

パスポート

身分関係を証明する場合、戸籍謄本が必要になることが多いです。

戸籍謄本または戸籍抄本が必要になる手続きとして、パスポートの申請や婚姻届などがあります。

パスポートの申請は、日本国籍であることを確認するために、戸籍謄本または戸籍抄本が必要になります。

・外部リンク 大阪府 パスポート申請時に必要なものは何ですか。


婚姻届は、婚姻適齢(18歳以上)や重婚でないことを確認するために、戸籍謄本または戸籍抄本を添付する必要があります。

・外部リンク 大阪市 婚姻届


このように、パスポートの申請や婚姻届については、戸籍謄本または戸籍抄本どちらでもよいことになっています。

一方、相続登記など、財産の相続した際の名義変更手続きについては、戸籍抄本は使えず、戸籍謄本である必要があります。

相続

・関連記事 相続登記の手続を司法書士が解説【不動産の名義変更】


これは相続については、家族との身分関係を明らかにしないといけないからです。

以上のように、身分関係を証明する場合、戸籍謄本が必要になることが多いかと思われます。


戸籍抄本が必要な場合

以上のように戸籍謄本が必要なケースと、戸籍謄本または戸籍抄本どちらでもいいケースがあります。

一方、戸籍抄本が必要で、戸籍謄本は提出不可という場合はあまりないと思います。

しかし、戸籍抄本は一部の人の身分関係だけを証明する書類なので、ほかの家族の情報はあまり知られたくないという場合は、戸籍謄本または戸籍抄本どちらでも提出できるなら、戸籍抄本を提出した方がいいでしょう。


ほかの戸籍の種類

戸籍謄本(全部事項証明書)・戸籍抄本(個人事項証明書)はいずれも現在の戸籍の情報を記載したものです。

戸籍に関する証明書は他にも、下記の通りあります。

・除籍謄本

・除籍抄本

・改製原戸籍謄本

・改製原戸籍抄本


・関連記事 戸籍の種類まとめ 相続専門の司法書士が解説【除籍、改製原戸籍】

 

ほかの戸籍の種類1 除籍謄本

除籍とは、戸籍に記載されている全員が婚姻、死亡などで転出した状態の戸籍のことです。

パスポートや婚姻届については、現在の戸籍が必要なので、除籍謄本を提出することはありません。

しかし相続手続きについては、亡くなった方の出生から亡くなるまでの戸籍すべてが必要になるので、多くのケースで除籍謄本を提出することになります。

除籍にも謄本と抄本があります。


ほかの戸籍の種類2 除籍抄本

除籍に記載されている事項の一部が記載されている証明書です。


ほかの戸籍の種類3 改製原戸籍謄本

原戸籍は、「はらこせき」と読みます。

改製原戸籍とは、戸籍法の改正で、戸籍の記載内容や様式が変わったために閉鎖された戸籍のことです。

直近だと平成6年の法改正で、それまで紙に記載されていたものがコンピューター化されました。

それによってコンピューター化されて閉鎖になった戸籍が改製原戸籍です。

相続手続きについては、亡くなった方の出生から亡くなるまでの戸籍すべてが必要になるので、改製原戸籍謄本を提出する場合もあります。

改製原戸籍についても、謄本と抄本があります。

・関連記事 改製原戸籍とは?司法書士・行政書士がわかりやすく解説


ほかの戸籍の種類4 改製原戸籍抄本

改製原戸籍に記載されている事項の一部が記載されている証明書です。


戸籍謄本、戸籍抄本の請求方法

市役所

戸籍謄本や戸籍抄本は、本籍地の市区町村で取れます。

郵送でも取得できます。

・外部リンク 大阪市 郵送による請求


令和6年3月1日から本籍地以外の役所でも戸籍謄本が取れるようになりました。

・関連記事 戸籍謄本の広域交付制度を解説 戸籍謄本が近くの役所で取れる

 

またマイナンバーカードを持っている場合、コンビニで取得することもできます。

マイナンバーカード

・外部リンク コンビニ交付 本籍地の戸籍証明書取得方法


ただし、すべての市町村がコンビニ交付に対応しているわけではありません。

コンビニ交付に対応している市町村はこちらで確認してください。

・外部リンク コンビニ交付 利用できる市区町村


なお、戸籍謄本が必要な手続きの中で、戸籍謄本の集め方が少々難しいのが相続手続きです。

相続に必要な戸籍謄本の集め方については、こちらの記事をご覧ください。

・関連記事 相続に必要な戸籍謄本の集め方、古い戸籍の読み方


まとめ

というわけで、戸籍謄本も戸籍抄本も戸籍に記載されている身分関係を記載した証明書で、違いは、全員の身分関係を記載しているか、一部の人の身分関係を記載しているかです。

以上、戸籍謄本と戸籍抄本の違いについて解説しました。

当事務所は、大阪の司法書士・行政書士事務所です。

当事務所のブログでは、ほかにも相続についての記事を書いていますので、よろしければご覧ください。

・関連記事 相続・遺産承継


今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。


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