相続人に未成年の子がいる場合どのような手続きが必要か?
「先日夫が亡くなりました。相続人は妻である私、17歳の長女と15歳の長男の3人です。夫は遺言を遺していませんでした。この場合どのような手続きが必要なのでしょうか?」
大阪の司法書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
この場合、子ども2人は未成年ですので、未成年の子に特別代理人を選任して、特別代理人との間で遺産分割協議をすることが必要です。
特別代理人とは、親が子どもを代理できない場合に、親に代わって子どもを代理する人のことです。
この記事では、未成年のお子さんと共同で相続された方向けに、特別代理人の選任などの必要な手続きについて司法書士がくわしく解説します。
目次
相続人に未成年の子がいる場合どのような手続きが必要か?
遺産を相続した場合、だれがどの財産を承継するのかが問題になります。
亡くなった方が遺言を遺していた場合は、その通りに財産を承継します。
しかし遺言がない場合、相続人同士でだれがどの財産を承継するのかを話し合います。
これを遺産分割協議といいます。
相続人の中に未成年の子どもがいる場合、未成年は単独で遺産分割に参加することができないので親権者が代理することになります。
しかし、この場合は親権者自身も遺産分割協議に参加しますので親権者は未成年の子を代理することができません。
そこで親権者に代わって、未成年を代理して遺産分割協議に参加する代理人を選任する必要があります。
この代理人のことを特別代理人といいます。
子どもが2人以上いる場合は、それぞれの子どもに特別代理人を選任します。
特別代理人は中立性が求められるので、家庭裁判所が選任します。
家庭裁判所に特別代理人を選任してもらうには、特別代理人の選任申立ての手続きが必要になります。
相続人に未成年の子がいる場合 特別代理人の選任申立て
特別代理人の選任申立ては申立書を記載して、必要書類を集めて、家庭裁判所に提出してします。
申立書のひな型はこちらです。
記載例を参考にして記載してください。
特別代理人について、候補者を記載することができます。
相続人は特別代理人になることはできないので、相続人以外の親族、たとえば叔父や叔母などを候補者にすることが多いかと思います。
特別代理人選任申立ての必要書類は次の通りです。
・子どもの戸籍謄本
・親権者の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票または戸籍の附票
・資料(遺産分割協議書の案など)
・郵便切手
戸籍謄本は、それぞれの本籍地の市区町村の役所で取得できます。
・関連記事 相続に必要な戸籍謄本の集め方、古い戸籍の読み方
住民票は、住所地の市区町村の役所で取得できます。
戸籍の附票とは、住所地の変遷をまとめたもので戸籍と一緒に管理されているものです。
戸籍の附票は、本籍地の市区町村の役所で取得できます。
・関連記事 戸籍の附票とは何かわかりやすく解説します
郵便切手がいくら必要かについては、各裁判所によってことなりますので、管轄の家庭裁判所に問い合わせてください。
必要な書類が集まれば、管轄の家庭裁判所に提出します。
特別代理人の選任申立ての管轄は、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所です。
家庭裁判所の管轄については、裁判所のホームページでご確認ください。
・外部リンク 裁判所の管轄区域
相続人と未成年の子の特別代理人の間で遺産分割協議
特別代理人は、子どもを代理して遺産分割協議に参加します。
遺産分割協議については、別記事にくわしくまとめてありますので、ご覧ください。
・関連記事 遺産分割協議とは何か?【遺産の分け方についての話し合い】
未成年の子に特別代理人を選任しなくてもいい場合
未成年の子が1人だけの場合、未成年の子の親が相続放棄して相続人ではなくなると利害関係がなくなるため、親が子の代理人として遺産分割協議に参加することができます。
特別代理人の選任の必要はありません。
相続放棄すると、最初から相続人でなかったものとみなされるからです。
相続放棄については、別記事にくわしくまとめてありますので、ご覧ください。
・関連記事 相続放棄の手続きをわかりやすく解説【必要書類や注意点など】
未成年の子が2人いる場合、親が相続放棄しても、親が子2人双方の代理人として遺産分割協議に参加することはできません。
この場合は、親が子のいずれか1人を代理して、ほかの子どもについては特別代理人を選任する必要があります。
まとめ
以上、相続人に未成年がいる場合の手続きについて解説しました。
特別代理人の選任申立てに必要な書類の作成や収集について、ご自分で行うのが難しいときは、司法書士に依頼することができます。
大阪周辺の方でしたら、当事務所でも承っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
ご相談の方は、電話(06-6356-7288)か、こちらのメールフォームからお問い合わせください。
というわけで今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。