休眠会社を買取して起業する場合のメリットや注意点を解説します

「長年、金属加工の会社に勤めてきましたが、独立して起業しようと考えています。知人から、会社を一から設立するより休眠会社を買い取った方がいいと言われ、休眠会社を紹介されました。一から会社を設立した方がいいのか、休眠会社を買い取った方がいいのか迷っています」

会社設立について迷っている起業家

 

こういった疑問にお答えします。

休眠会社とは、登記上は存在しているけれど、実際には活動していない会社です。

会社法では、最後に登記した日から12年を経過した株式会社は、法務大臣が2か月以内に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合、その届出をしないときは解散したものとみなされます(会社法472条1項)。

しかし解散していなければ、休眠会社を買い取ってその会社で事業を継続することができます。

この記事では、休眠会社を買取する場合のメリットや注意点などをわかりやすく解説します。

 

休眠会社を買取して起業する場合のメリットや注意点を解説します

起業する場合、一から会社を設立する場合以外に休眠会社を買い取るという方法があります。

一から会社を設立する場合の手続きについてはこちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 株式会社設立手続きの流れ【必要書類などくわしく解説します】
  2. ・関連記事 合同会社(LLC)の設立の手順【必要書類や手続きの流れなど】


休眠会社は、買い取ることができます。

具体的には、休眠会社の株主から株式を買い取ることで、休眠会社の株主になることができます。

株式会社の取締役の選任は、原則として議決権の過半数の株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数で決議されます(会社法341条)。

なので、休眠会社の株式の過半数を取得すれば、休眠会社の取締役になることができます。


休眠会社を買取するメリット

休眠会社を買い取って事業を行うのは、次のようなメリットがあります。

  1. 比較的安く会社を買収できる
  2. 信用を得られやすい
  3. 会社設立の手間と費用を省ける
  4. 許認可などを引き継げる


比較的安く会社を買収できる

株式会社

休眠会社を買い取る場合、比較的安く会社を買収できる場合が多いです。

すでに活動を休止している会社だからです。

休眠会社の買取価格の相場は、3~50万円程度と言われています。

この価格は設立年数や許認可があるかどうかなどで変わってきます。

また休眠会社を買い取る場合、新たな資本金の払い込みが不要です。

一から株式会社を設立する場合は、発起人は資金を払い込まないといけません。

株式会社の資本金の額は、原則として株主が会社に対して払込んだ金額です(会社法445条)。

なので資本金1000万円の株式会社を設立する場合は、1000万円を払い込まないといけません。

しかし、資本金1000万円の休眠会社を買い取る場合は、資本金の払い込みは不要です。

買取価格も、資本金の額より相当安いことが多いです。

信用を得られやすい

上記の通り、ある程度の資本金の休眠会社でも、割安で買収できることが多いです。

資本金の額は会社の信用に直結しますので、それなりの資本金の会社を買収することは、少ない資金で信用を得られるということです。

また、まったく新しい会社よりも老舗の方が信用を得やすいと言われています。

なので社歴が長い会社を買収することで社会的信用を得ることができます。

会社設立の手間と費用を省ける

株式会社の定款

休眠会社を買い取る場合、すでに存在している会社をそのまま利用することになるので、会社設立の手間と費用を省略できます。

株式会社を設立する場合、設立のために必要な費用は最低20万円です。

合同会社を設立する場合、設立のために必要な費用は最低6万円です。

さらに会社設立手続きは非常に手間がかかります。

司法書士に依頼すると手続きをすべて任せられるので手間はかかりませんが、司法書士の報酬がかかってしまいます。

休眠会社を買い取る場合は、この手間と費用を省くことができます。

許認可などを引き継げる

すでに存在している会社を買い取った場合、財産や債務だけでなく、許認可も引き継ぐことができます。

起業しようとしている事業が許認可を必要とする場合、その許認可を持っている会社を買収すれば、新たに許認可を得なくても事業を行うことができます。

休眠会社を買取する際の注意点

休眠会社を買取するメリットを解説しましたが、一方で次のような注意点もあります。

  1. 休眠会社の債務も引き継ぐ
  2. 融資を受けるのが難しい場合がある
  3. 登記怠ったことによる過料の可能性がある
  4. 商号や目的の変更をする場合は手間と費用がかかる


休眠会社の債務も引き継ぐ

会社を買い取る場合、資産だけでなく債務も引き継ぐことになります。

融資を受けるのが難しい場合がある

日本政策金融公庫などの金融機関では起業家向けの融資がされている場合がありますが、事業開始後7年以内などの要件があります。

なので休眠会社の設立年度によっては、この要件を満たさず融資を受けることが難しくなる可能性があります。

既存企業向けの融資では2~3期分の計算書類を提出しないといけないなどの要件がある場合がありますが、休眠会社の場合は活動していないのでこれらの書類を提出できず、融資を受けることが難しい場合があります。

登記を怠ったことによる過料の可能性がある

会社は登記事項に変更があったときは、2週間以内に変更登記をしないといけません(会社法915条)。

会社が登記を怠ったときは、100万円以下の過料が科されます(会社法976条)。

取締役の任期は最大で約10年ですので、取締役が就任してから10年以上経っている場合は、過料を科せられるリスクがあります。

商号や目的の変更をする場合は手間と費用がかかる

休眠会社の商号や目的が自分の始めようとする事業に合っていない場合は、商号や目的の変更登記が必要になります。

なので商号や目的の変更登記の手間と費用がかかります。

商号や目的変更の登録免許税は3万円です。

休眠会社を買取する場合のリスクを小さくするためには

上記の通り、休眠会社を買取する場合には注意点もあります。

リスクを小さくするためには、次のような対策を取る必要があります。

  1. 財務状態などの調査を徹底する
  2. 株式譲渡契約書を作成する


財務状態などの調査を徹底する

買収する会社から次の書類などを入手して、財務状態を把握する必要があります。

定款
  1. 計算書類
  2. 税務申告書
  3. 納税証明書
  4. 登記事項証明書
  5. 定款


株式譲渡契約書を作成する

株式譲渡契約書を作成して、前のオーナーが虚偽の事実を申告したような場合には契約を解除できる条項を設けておきましょう。

株式譲渡契約書のひな形を用意しました。

  1. 株式譲渡契約書


利用する場合は、契約の実情に合わせて作成してください。

まとめ

以上、休眠会社を買取する場合のメリットや注意点を解説しました。

休眠会社を買い取る場合は、どれだけリスクがあるか分析して、実行してください。

判断がつかない場合は、普通に会社を設立した方がいいでしょう。

それでは今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。