遺留分を放棄する方法

「父から遺留分を放棄するように頼まれました。学生時代に留学したときに父に留学費用を出してもらったので、これに応じようと思います。遺留分を放棄するにはどうすればいいでしょうか?」

遺留分のことで悩んでいる人

 

こういった疑問にお答えします。

この記事では、遺留分を放棄する方法について、司法書士がくわしく解説します。

なお遺留分についての解説はこちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 遺留分とは何かわかりやすく解説します


遺留分を放棄する方法

遺留分を放棄する方法は、相続開始前(被相続人が亡くなる前)と、相続開始後(被相続人が亡くなった後)で手続きが異なります。

具体的には次の通りです。

  1. ・相続開始前 家庭裁判所の許可が必要
  2. ・相続開始後 遺留分放棄書を、遺留分を侵害する遺贈や贈与受けた人に送付する


それではくわしく解説します。


相続開始前は家庭裁判所の許可が必要

家庭裁判所

相続開始前(被相続人が亡くなる前)に、遺留分を放棄するには家庭裁判所の許可が要ります(民法1049条)。

遺留分は相続開始前においてはまだ具体的な権利とはいえないことから、自由に放棄することができず、家庭裁判所の許可が必要とされています。

また遺留分の放棄は、放棄する人がその意味について十分に理解しておらず、周囲から言われるままに放棄させられる危険があることから、家庭裁判所の許可を必要という理由もあります。


遺留分放棄の許可審判申立

遺留分放棄について家庭裁判所の許可を得るためには、遺留分放棄の許可審判申立書を家庭裁判所に提出します。

遺留分放棄の許可審判申立書のひな形はこちらです。

  1. 遺留分放棄の許可審判申立書


申立書には、申立人(遺留分を放棄する人)と被相続人の本籍、住所、氏名、生年月日を記載します。

遺留分を放棄する理由の欄には、放棄する具体的な理由を記載します。

たとえば被相続人から生前贈与を受けた場合は、次のように記載します。

  1. ①申立人は、被相続人○○から令和〇年〇月〇日留学費用として○○円の贈与を受けました。
  2. ②申立人は、このような生前贈与を受けたことから〇○の相続についてその遺留分を放棄します。


遺留分放棄の許可審判申立の添付書類

書類

遺留分放棄の許可審判の申立てには、次の書類などを添付します。

  1. ・被相続人の戸籍謄本
  2. ・申立人の戸籍謄本
  3. ・収入印紙 800円
  4. ・郵便切手


戸籍謄本は、本籍地の市区町村の役所で取得することができます。

本籍地がわからない場合、住所地の市区町村の役所で、本籍地入りの住民票を取得すれば本籍地がわかります。

収入印紙は申立書に貼ります。

切手は、いくら必要なのかは各裁判所によって違いますので、裁判所に問い合わせる必要があります。


遺留分放棄の許可審判申立の申立先

申立書と添付書類がそろったら、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に提出します。

家庭裁判所の管轄については、裁判所のサイトで確認してください。

  1. ・外部リンク 裁判所の管轄区域


申立は、家庭裁判所に持参するほか、郵送でもできます。

普通郵便ではなく、書留やレターパックなどで送るようにしましょう。


相続開始後は遺留分放棄書を送付

相続開始後(被相続人が亡くなった後)は、遺留分はすでに具体的な権利になっているので、自由に放棄することができます。

なので家庭裁判所に許可は要りません。

遺留分放棄書を、遺留分を侵害する遺贈や贈与受けた人に送付するだけです。

遺留分放棄書のひな形はこちらです。

  1. 遺留分放棄書


遺留分放棄書は、できれば内容証明郵便で送付しましょう。

内容証明郵便は、出した手紙の内容を郵便局に証明してもらえる郵送方法です。

くわしくは、郵便局のサイトをご覧ください。

  1. ・外部リンク 内容証明


遺留分放棄と相続放棄の違い

遺留分の放棄は、相続放棄と違い、相続による承継を否定するものではありません。

なので被相続人の遺言の対象とされなかった財産については、遺留分を放棄しても相続人として承継することができます。

また相続放棄は、被相続人が亡くなる前はすることができません。

相続放棄については、こちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連リンク 相続放棄の手続きを解説します【必要書類や注意点】


まとめ

法律相談

以上、遺留分の放棄について解説しました。

遺留分放棄の許可審判申立については多少手続きが面倒に感じられるかもしれません。

そんなときは司法書士に書類作成を依頼することもできます。

大阪近辺でしたら、当事務所でも承っております。

それでは今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。