公正証書遺言と自筆証書遺言どっちがいい?【公正証書遺言がお勧め】

「遺言には、公正証書遺言と自筆証書遺言があると聞きました。どちらがいいでしょうか?」

遺言の相談

大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。

この記事では、遺言を書いてみたいけど、公正証書遺言と自筆証書遺言のどちらがいいか悩んでいる方のために、それぞれのメリット・デメリットを比較して、解説します。


公正証書遺言と自筆証書遺言どっちがいい?【公正証書遺言がお勧め】

遺言を書く人

公正証書遺言と自筆証書遺言では、圧倒的に公正証書遺言がおすすめです。

司法書士などの専門家ならみんな公正証書遺言をおすすめすると思います。

専門家で「自筆証書遺言で充分です」なんていう人は見たことがありません。

それだけ公正証書遺言のメリットが大きいです。


遺言は後で、家族間で争いになるのを防いだり、家族に面倒をかけないようにするために書くものですが、自筆証書遺言の場合は後でトラブルになったり、家族に面倒をかけてしまうリスクがあります。

というわけで公正証書遺言の方がおすすめです。

それでは、公正証書遺言と自筆証書遺言のメリット、デメリットを詳しくみてみましょう。

公正証書遺言のメリットとデメリット

公正証書遺言のメリット、デメリットは次の通りです。

公正証書遺言
  1. メリット
  2. ・無効になるおそれはない
  3. ・改ざん、紛失の心配がない
  4. ・検認の手続が不要
  5. ・自筆しなくていい
  6. ・相続手続きがスムーズ

 

  1. デメリット
  2. ・手間がかかる
  3. ・費用がかかる
  4. ・証人が二人必要

 

公正証書遺言のメリット1 無効になるおそれはない

公正証書遺言は、公証人が遺言の内容をチェックしてくれますので、無効になる恐れがありません。

自筆証書遺言の場合、字が汚くて読み取れず、争いになったケースがあります。

公正証書遺言の場合、そのような心配はありません。


公正証書遺言のメリット2 改ざん、紛失の心配がない

公正証書遺言の原本は公証人役場でしっかり保管されますので、改ざんされたり、紛失する心配がありません。

公正証書遺言は、遺言作成後20年または遺言を書いた人が100歳になるまで、いずれか長い方の期間保管されることになっています。

ただし、実際には特に保管期限を定めず半永久的に保管することが一般的な運用になっているようです。

また、昭和64年1月1日以降に作成された公正証書遺言は、遺言検索システムというデータベースに登録されており、遺言者が亡くなった後、相続人は公正証書遺言があるかどうか検索することができます。

遺言書の検索については、くわしくはこちらをご覧ください。

  1. ・関連記事 遺言を検索する方法【亡くなった人が遺言を遺したか調べる】

 

公正証書遺言のメリット3 検認の手続が不要

自筆証書遺言と違い、公正証書遺言は検認手続きが不要です。

検認とは、家庭裁判所で遺言書を開封して、遺言の内容を確認する手続きです。

遺言書の偽造、改ざんを防止するための証拠保全のために行われます。

  1. ・関連記事 遺言書の検認手続きの流れをわかりやすく解説します

 

自筆証書遺言の場合、遺言を書いた人が亡くなった後、遺言を発見した相続人は、家庭裁判所で検認の手続をしないといけません。

家庭裁判所

検認手続きはかなり手続きが面倒なうえ、時間もかかってしまいます。

検認手続きだけで1ヶ月以上かかってしまいます。

公正証書遺言にしておけば、相続人が面倒くさい手続きをしなくて済みます。


公正証書遺言のメリット4 自筆しなくていい

自筆証書遺言の場合、遺産目録を以外の本文を全部自筆しないといけません。

公正証書遺言の場合は、遺言者(遺言を書く人)が自筆で書くことはありません。

遺言者は署名する必要がありますが、署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます(民法969条4項)。

なので、字を書くことが難しい方でも遺言を遺すことができます。


公正証書遺言のメリット5 相続手続きがスムーズ

自筆証書遺言の場合、銀行口座の解約手続きの際に、相続人全員の実印での押印と印鑑証明書を要求される場合があります。

これでは遺言を作成した意味がありません。

公正証書遺言の場合、そのようなことはまずありません。


公正証書遺言のデメリット1 手間がかかる

公正証書遺言は手間がかかってしまうのがデメリットです。

公正証書遺言の場合、遺言の内容を公証人に送って、印鑑証明書や戸籍などの書類を集めて、公証役場に行って署名する必要があります。

自筆証書遺言なら、遺言の内容を手書きするだけです。


公正証書遺言のデメリット2 費用がかかる

公正証書遺言は、公証人に手数料を支払わないといけません。

手数料については、こちらの記事をご覧ください。

  1. 関連記事 遺言の書き方【遺言の文例と気を付けるポイント】
費用

 

公正証書遺言のデメリット3 証人が二人必要

公正証書遺言の場合、証人が二人必要になります。

証人に心当たりがない場合、公証役場に手配してもらうことは可能です。

ただし、1人あたり1万円程度の日当が必要になります。

また司法書士などの専門家に遺言の作成を依頼する場合は、司法書士と司法書士事務所のスタッフが証人になってくれるでしょう。


自筆証書遺言のメリットとデメリット

自筆証書遺言のメリット、デメリットは次の通りです。

  1. メリット
  2. ・費用があまりかからない
  3. ・いつでもどこでも手軽に書ける


  1. デメリット
  2. ・不備で無効になるおそれがある
  3. ・改ざん、紛失のおそれがある
  4. ・検認の手続が必要


自筆証書遺言のメリット1 費用があまりかからない

自筆証書遺言の場合は、紙に書くだけなので費用がかかりません。


自筆証書遺言のメリット2 いつでもどこでも手軽に書ける

気軽に書けるのが自筆証書遺言です。

遺言はいつでも書き直せることができ、書き直した場合、最新の遺言が有効になります。

なので、とりあえず試しに自筆証書遺言を書いてみるのもいいでしょう。


自筆証書遺言のデメリット1 不備で無効になるおそれがある

自筆証書遺言の場合、不備があり、無効になってしまうおそれがあります。

不安な方は専門家にチェックしてもらうか、公正証書遺言にすることをおすすめします。


自筆証書遺言のデメリット2 改ざん、紛失のおそれがある

自筆証書遺言の場合、改ざんや紛失のおそれがあります。

ただし、2020年(令和2年)7月10日から、遺言書を法務局という役所で保管してくれる制度がはじまりました。

法務局に保管してもらえば、改ざんや紛失のおそれはありません。

遺言書の保管制度については、こちらの記事をご覧ください。

  1. 関連記事 遺言書を法務局で保管してくれる制度がはじまります

 

自筆証書遺言のデメリット3 検認の手続が必要

自筆証書遺言の場合は、検認の手続きが必要になります。

ただし、上記の遺言保管制度を利用した場合、検認手続きが不要になります。


まとめ

以上、公正証書遺言と自筆証書遺言のメリット、デメリットをみてきました。

公正証書遺言の方がおすすめなのですが、法務局の保管制度がはじまったため、自筆証書遺言も使いやすくなりました。

公正証書遺言を作成する前に、とりあえず自筆証書遺言を書いてみようというのもいいでしょう。

具体的な遺言の書き方や、公正証書遺言を作成する手続きについてはこちらの記事にまとめてありますので、遺言を書いてみようと思った方は、ぜひご覧ください。

  1. 関連記事 遺言の書き方【遺言の文例と気を付けるポイント】

 

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  1. ・関連記事 田渕司法書士・行政書士事務所の遺言書作成サポートサービス


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それでは、今回はこの辺で。

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