相続で長男は優遇される?【されません】

「先日、父が亡くなりました。母は先に亡くなっているので、相続人は私と兄だけです。父の相続についての話し合いをしたのですが、兄が自分は長男だから多めに相続するのが当然だといっています。本当にそうなのですか?」

 
 

大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。

結論から言うと、現在の法律では長男というだけで相続で優遇されるとか、長男が独り占めすることはありません。

子どもの相続分は基本的には、全員平等です。しかし、例外もあります。

この記事では、相続で長男は優遇されるかについて解説します。

 

相続で長男は優遇される?【されません】

相続で長男は優遇される?【されません】

相続で長男が優遇されることはありません。

被相続人の子どもが複数いる場合は、それぞれの相続分は平等とされています。

子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする(民法900条4項)。

なので、長男だからといって相続で優遇されるわけではありません。

しかし、下記の事情によって相続人の相続分が多くなったり、少なくなったりします。

・被相続人の遺言

・寄与分

・特別受益


被相続人の遺言

被相続人の遺言

被相続人は遺言で、相続人の相続分を指定したり、相続させる財産を指定したりすることができます。

なので、被相続人が長男に多めに相続させる遺言を書いていた場合はその通りに相続することになります。

しかし、長男に財産すべて相続させるなど、あまりに極端に差があると不公平です。

そこで、相続人には遺留分が認められています。

遺留分とは、相続人の最低限の取り分のことです。

遺留分を下回る財産を相続させる遺言が書かれていた場合、遺言で財産を相続した人に対して遺留分に不足する額の金銭を請求することができます。

遺留分についてはくわしくはこちら。

・関連記事 遺留分とは?司法書士がわかりやすく解説【相続人の取り分】 


寄与分

寄与分

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献した相続人により多くの財産を相続させる制度です。

もし長男が、被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合、寄与分により多くの財産を相続する可能性があります。

寄与分についてくわしくはこちら。

・関連記事 寄与分とは【相続人の寄与分が認められる場合と計算方法】


特別受益

特別受益

特別受益とは、相続人が受けた遺贈や、生前贈与などのことです。

相続人の中に特別受益を受けた人がいる場合、公平のために、相続できる財産額につき、特別受益の額を引いて計算することになります。

たとえば、相続人が長男と長女の場合、長女が生前に多額の贈与を受けていた場合、相続の際には、長女は生前に贈与を受けていた分を相続できる財産から引かれることになり、長男の方が相続では多く承継することになります。

特別受益についてはくわしくはこちら

・関連記事 特別受益とは【相続でもめやすい特別受益の話】


まとめ

以上、相続で長男は優遇されるかについて解説しました。

まとめると次の通り。

・長男が相続で優遇されることはない

・遺言、寄与分、特別受益で差がつく可能性はある

・遺留分の制度により、不公平な相続を防ぐ最低限の相続権が保障される。


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今回は以上です。

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