(2023年版)相続で妻のみ相続するようにできる?【子あり】
「私には、妻と子どもが1人います。子どもは独立しており、私が亡くなったあとの妻の生活が心配なので、妻だけに相続してほしいと思っています。子どもがいても妻だけが相続することはできますか?」
大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
妻と子どもがいる場合、相続人は妻と子どもになります。
しかし、妻のみ相続するようにする方法もあります。
この記事では、子がある場合に、妻のみが被相続人の財産を相続できる場合について解説します。
目次
(2023年版)相続で妻のみ相続するようにできる?【子あり】
妻と子どもがいる場合、相続人は妻と子どもになります。
・関連記事 相続人の範囲 どこまでが相続人か司法書士がわかりやすく解説
しかし、子どもは独立して生活が安定しているし、ご自分の死後の妻のことが心配なので、妻だけが相続するようにさせたいということもあるかと思います。
その場合は、次の2つの方法により妻のみ相続することができるようになります。
・遺言で妻のみ相続させるように指定する
・被相続人の死後に妻と子どもが、妻のみ相続する遺産分割協議をする
妻のみ相続する場合1 遺言で妻のみ相続させるように指定する
妻のみ相続する場合の1つ目は、遺言で妻のみ相続させるように指定する方法です。
遺言で遺産分割の方法を指定することができますが、ここで妻のみに財産のすべてを相続させることができます。
たとえば、次のように記載します。
「遺言者は、遺言者が有するすべての財産を、遺言者の妻○○(昭和○○年〇〇月○○日生)に相続させる」
このように遺言で妻のみに財産のすべてを相続させることができます。
ただし、一つ注意点があります。
それは遺留分です。
遺留分とは、相続人に遺しておくべき最低限の取り分のことです。
・関連記事 遺留分とは?司法書士がわかりやすく解説【相続人の取り分】
たとえば、相続人が妻と子ども1人の場合、子どもには4分の1の遺留分があります。
ここで妻のみに財産すべてを相続させる遺言を遺した場合、子どもは妻に対して財産の4分の1に相当する金銭を請求することができます。
そうなると、妻と子どもの間で争いになってしまいます。
なので、遺言を書くときはできるだけ相続人の遺留分を侵害しないようにした方がいいのです。
とはいえ、妻のみに相続させる遺言のように相続人の遺留分を侵害するような遺言も無効ではありませんし、必ずしも子どもが親に対して遺留分を請求するというわけではありません。
子どもが遺留分の請求をしなければ、妻のみに相続させる遺言も問題ありません。
ここで活用した方がいいのが付言事項です。
付言事項とは、相続人へのメッセージです。
遺された相続人への想いを自由に書くことができます。
たとえば「妻にすべて相続させるとしたのは、妻の生活が心配だからで、あなたに愛情がないわけではありません」とか、「家族みんなで仲良くすること望みます」といったことを記載します。
付言事項には法的な効力はありませんが、家族へのメッセージを遺しておくことで、相続人としても気持ちの整理がしやすくなるでしょう。
付言事項について詳しくはこちら
・関連記事 遺言の付言事項とは?家族につたえるメッセージ【遺言の文例】
妻のみ相続する場合2 被相続人の死後に妻と子どもが、妻のみ相続する遺産分割協議をする
被相続人の死後に妻と子どもが、妻のみ相続する遺産分割協議をする方法です。
遺言がない場合、相続人は遺産分割協議することになります。
遺産分割協議とは、遺産の分け方を相続人全員で話し合うことです。
・関連記事 遺産分割協議とは何か?【遺産の分け方についての話し合い】
この遺産分割協議について、妻のみ全財産を相続するという合意をすることもできます。相続人全員が納得しているからです。
まとめ
以上、子がある場合に、妻のみが被相続人の財産を相続できる場合について解説しました。
遺言で妻のみ相続させるように指定すれば、妻のみが相続することができます。
しかし、被相続人の死後に妻のみ相続する遺産分割協議をしても、妻のみが相続することができます。
なので、被相続人の生前から、妻のみが相続することについて話し合い、合意できていれば、必ずしも遺言は必要ではありません。
それでも遺言を書いておきたいという場合は、専門家に相談しながら書くことをお勧めします。
大阪周辺なら当事務所でも承っています。
当事務所の遺言書作成サポートサービスの詳細はこちら。
・関連記事 田渕司法書士・行政書士事務所の遺言書作成サポートサービス
というわけで今回は以上です。ありがとうございました。