相続人を調査する方法を司法書士がわかりやすく解説します

相続の相談者

「先日、父が亡くなりました。すでに母は亡くなっています。子どもは私と兄のほかに、母親が違う兄弟がいると聞いたことがありますが、全く付き合いはなく、名前も知りません。調べたいのですが、相続人を調査する方法がわかりません」

 

大阪の司法書士・行政書士の田渕です。

こういった疑問にお答えします。

相続人を調査するためには、戸籍謄本を取得して相続人を確認する必要があります。

この記事では、相続人を調査する方法についてわかりやすく解説します。

 

相続人を調査する方法を司法書士がわかりやすく解説します

相続

相続人の調査は、次の手順で行います。

  1. 相続人を確認するために戸籍謄本を取得
  2.           ↓
  3. 相続人の範囲を確認
  4.           ↓
  5. 相続権を失っている相続人がいないか確認


相続人を確認するために戸籍謄本を取得

戸籍謄本

まず、戸籍謄本を取得します。

取得するのは、被相続人(亡くなった人)の、生まれてから亡くなるまでの戸籍すべてです。

戸籍は生まれてからずっと同じ戸籍に入っているわけではなく、結婚や離婚などで別の戸籍に転籍することがあります。

また法律が改正され、戸籍の様式が変わった場合にも新たな戸籍が作られます。

このように、生まれてから亡くなるまで、戸籍を何回も移動しているのが普通なので、その分の戸籍謄本が必要になります。

生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本の取得方法は別記事にまとめていますので、ご覧ください。

  1. ・関連記事 相続に必要な戸籍謄本の集め方、古い戸籍の読み方


相続人の範囲を確認

戸籍謄本

戸籍謄本をすべて取得すれば相続人を確認することができます。

といっても、戸籍謄本に名前が載っている人すべてが相続人になるわけではありません。

誰が相続人になるのかは、民法で規定されています。

  1. ・配偶者
  2. ・子(または孫やひ孫)
  3. ・直系尊属(父母や祖父母)
  4. ・兄弟姉妹(または甥や姪)


配偶者は常に相続人になりますが、それ以外の相続人は相続する順位があります。

  1. 第一順位 子
  2. 第二順位 直系尊属
  3. 第三順位 兄弟姉妹


上位の順位の人がいる場合、下位の順位の人は相続人にはなりません。

たとえば子どもがいる場合、直系尊属は相続人にはなりません。

そのほか相続人の範囲についてはくわしくはこちら。

  1. ・関連記事 相続人の範囲


相続権を失っている相続人がいないか確認

家系図

相続人であっても、相続する権利を失うことがあります。

相続人の中に下記の理由で相続権を失っている人がいないか確認します。

  1. ・死亡
  2. ・相続放棄
  3. ・相続欠格
  4. ・廃除


死亡

相続

亡くなっているかどうかは戸籍謄本に記載されています。

被相続人が亡くなるより前に、亡くなっているとその人は相続することはありません。

しかし、その人が被相続人の子どもまたは兄弟姉妹の場合は、その人の子どもが相続人になります。

これを代襲相続といいます。

たとえば、被相続人Aが亡くなったときに、すでに被相続人の子Bも亡くなっており、Bの子どもC(被相続人の孫)がいる場合、CがBの代わりにAの相続人になります。


孫も亡くなっている場合は、孫の子ども(ひ孫)が相続人になります。

これを再代襲といいます。

また、被相続人Aが亡くなったときに、すでに被相続人の兄Bが亡くなっており、Bの子どもC(被相続人の甥または姪)がいる場合、CがBの代わりに相続人になります。


甥や姪も亡くなっている場合、甥や姪の子どもが相続人になることはありません

代襲相続については、くわしくはこちら

  1. ・関連記事 代襲相続とは?どこまで続くの?わかりやすく解説します


相続放棄

相続放棄すると最初から相続人にならなかったものとみなされます(民法939条)。

相続放棄は代襲相続の原因にはならず、相続放棄した人の子ども相続人にはなりません

相続放棄しても戸籍謄本には記載されません。

相続人が相続放棄したかどうか調べる方法は別記事にまとめてありますので、ご覧ください。

  1. ・関連記事 他の相続人が相続放棄したのか調査する方法

 

相続欠格

相続欠格とは、一定の場合に相続人が相続する資格を失うことです。

相続欠格になる事由は下記の通り(民法891条)。

  1. 1 故意に被相続人などを死亡させた場合
  2. 2 被相続人が殺害されたことを知って告訴しなかった場合
  3. 3 詐欺・強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回、 取り消し、変更することを妨げた場合
  4. 4 詐欺・強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた場合
  5. 5 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した場合

 

相続欠格は、このような違法な行為によって利益を得ようとした相続人から相続する権利を奪って、制裁を加えるものです。

相続欠格があった人に子どもがいる場合は、代襲相続が発生し、相続欠格があった人の子どもが相続人になります

相続欠格については、くわしくはこちら。

  1. ・関連記事 相続欠格になる事由5つを司法書士がわかりやすく解説します

 

廃除

家庭裁判所

廃除とは、一定の場合に相続人の相続する資格を失わせる手続きです。

一定の場合とは、以下の場合です(民法892条)。

  1. ・被相続人に対して虐待したとき
  2. ・被相続人に対して重大な侮辱を加えたとき
  3. ・相続人にその他の著しい非行があったとき

 

上記の廃除事由があったときは、被相続人は、家庭裁判所に対して推定相続人の廃除を請求することができます。

相続欠格の場合は、相続欠格の事由に該当すると、無条件で相続権を失いますが、相続人の廃除は、被相続人の請求によって家庭裁判所が、廃除事由があると認めた場合に、相続権を失うものです。

廃除された人に子どもがいる場合は、代襲相続が発生し、廃除された人の子どもが相続人になります

廃除については、くわしくはこちら。

  1. ・関連記事 相続人の廃除とは【相続人の相続する資格を失わせる手続】


相続関係図を作成

以上のような手順で相続人を確認していきますが、相続関係を図であらわした相続関係図を作成しておくと、わかりやすく、調査漏れを防ぐこともできます。


まとめ

以上、相続人を調査する方法について解説しました。

まずは戸籍の収集から始めていきましょう。

相続放棄の有無などの確認や、戸籍の収集を自分でするのが大変という場合は、相続手続きを司法書士に依頼すれば、相続人の調査もやってもらえます。

大阪の方であれば、当事務所でも承っています。

当事務所の相続手続きサービスの詳細はこちら。

  1. ・関連記事 田渕司法書士・行政書士事務所の相続手続き総合サポートサービス


というわけで今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。