遺言は若いうちに書いた方がいい?【若いうちの方がいい】

「人から遺言は若いうちから書いた方がいいと言われたのですが、本当に若いうちに書いた方が良いのでしょうか?」

遺言の相談者

 

大阪の司法書士・行政書士の田渕智之です。こういった疑問にお答えします。

遺言を書くのは年配の方が多いのですが、比較的若い方でも遺言を書かれる方はいらっしゃいます。

この記事では、若いうちに遺言を書いた方がいいのか、くわしく解説します。


遺言は若いうちに書いた方がいい?【若いうちの方がいい】

公正証書遺言

遺言はできれば、若いうちに書いた方がいいです。

特に次のような場合は、遺言の必要性が高いケースになるため、若いうちに書いておいた方がいいでしょう。

1 相続人の仲が良くない場合

2 相続人の中に、高齢の方や知的障害をお持ちの方がいる場合

3 相続人の中に未成年がいる場合

4 夫婦間に子どもがいない場合

5 再婚して先妻の子どもと後妻がいる場合

6 相続人の中に行方不明の人がいる場合


・関連記事 遺言の必要性が高い6つのケース

 

若いうちに遺言を書いた方がいい理由

若いうちに遺言を書いた方がいい理由は次の通りです。

・認知症のリスクがある

・遺言はいつでも書き直せる

 

若いうちに遺言を書いた方がいい理由1 認知症のリスクがある

認知症を患ってしまい意思能力を失ってしまうと、遺言を書くのが難しくなってしまいます。

なので、そうなる前に遺言を書いた方がいいのです。

認知症というと高齢の方がかかる病気と思われるかもしれませんが、若年性認知症という若い人がかかる認知症があります。

厚生労働省の調査によると、18-64歳人口における人口10万人当たり若年性認知症者数は、47.6人で、推定発症年齢の平均は51.3歳とのことです。

・外部リンク 若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について


というわけで、若い方でも認知症にかかってしまうリスクがあるため、その前に遺言を書いておいた方がいいのです。

なお認知症と言っても、症状が軽い場合は、遺言を作成することはできる場合があります。

しかし、遺言を作成できるだけの意思能力があるかどうか判断が難しいため、できれば健康なうちに遺言を書いておきましょう。


若いうちに遺言を書いた方がいい理由2 遺言はいつでも書き直せる

若いうちに遺言を書くことをためらう理由として、年を取ったら状況も変わってくるかもしれない、というのが挙げられます。

しかし、遺言はいつでも書き直すことができます(民法1022条)。

状況が変わって、前に書いた遺言を修正したくなったら、新しい遺言を書けばいいだけです。

なので、いつでも気軽に自分の気持ちを遺言に遺すことができます。

遺言書

ただし、遺言を書き直すと、そのたびに手間がかかったり、コストがかかる場合があるので注意が必要です。

自分が手書きで作成する自筆証書遺言であれば、コストはあまりかかりませんが、公正証書遺言の場合、公証人の手数料がかかります。

司法書士などの専門家に遺言書の作成を依頼する場合は、専門家の報酬がかかってしまいます。


遺言を若いうちに書くと財産が変動して書き直しになる?

遺言で財産の分け方を指定しても、財産が変動してしまうと書き直さないといけないと思われるかもしれませんが、書き直さないといけないケースはそんなに多くありません。

多くの人にとって、人生で一番大きな買い物は自宅の不動産です。

自宅を買った後は、財産が大きく変動することはあまりありません。

自宅不動産

 

もちろん銀行の預金額は日常的に変動しますが、そもそも遺言には口座がある銀行の支店名、口座番号を記載すればよく、具体的な預金額を記載する必要はありません。

なので銀行の預金額が変わっても、遺言を書き直す必要はありません。

銀行預金


遺言を若いうちに書くと相続人が変動して書き直しになる?

若いうちに遺言を書いていると、相続させる予定の相続人が先に亡くなる場合があります。

その場合に備えて、ほかの相続人を第二候補として相続させる遺言を遺しておくことができます。

これを予備的遺言といいます。

たとえば、相続人が配偶者と子ども一人の場合に、配偶者に全財産を相続させる遺言を書いていても、配偶者の方が先に亡くなると遺言が無効になってしまいます。

その場合に備えて、まず配偶者に相続させることにしておき、もし配偶者の方が先に亡くなっている場合は、子に相続させる旨の遺言を遺すことができます。

具体的には、次のように記載します。

第〇条 遺言者は、遺言者が有する下記の財産の一切を、配偶者○○(昭和○年〇月〇日生)に相続させる。

第〇条 万が一、遺言者より前にまたは遺言者と同時に配偶者○○が死亡していた場合は、遺言者は前条記載の財産の一切を、長男○○(昭和○年〇月〇日生)に相続させる。

 

予備的遺言については、くわしくはこちらの記事をご覧ください。

・関連記事 予備的遺言とは【相続させる人が先に亡くなった場合に備える遺言】

 

遺言は何歳から書ける?

遺言は15歳から書くことができます(民法961条)。

意思能力がしっかりしていれば、年齢がどれだけ上であっても遺言を書くことができます。


遺言の書き方

具体的な遺言の書き方については、別記事にくわしく書いていますので、こちらをご覧ください。

・関連記事 遺言の書き方【遺言の文例と気を付けるポイント】

 

まとめ

以上、若いうちに遺言を書いた方がいいのかについて解説しました。

まとめると次の通り。

・遺言はできれば若いうちに書いた方がいい

・認知症になると遺言を書くことができないので、若いうちに書いたほうがいい

・遺言はいつでも書き直せる

 

当事務所は、大阪の司法書士・行政書士事務所です。

専門家に相談しながら遺言を書いてみたいという方は、当事務所でもお手伝いさせていただきます。

あなたの思いをお聴きし、その思いを伝える遺言の作成をサポートしていきます。

当事務所の遺言作成サポートサービスの詳細については、こちらをご覧ください。

・関連記事 田渕司法書士・行政書士事務所の遺言書作成サポートサービス


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というわけで、今回は以上です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

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