空き家になった実家を相続したときに必要なこと【相続登記】
「空き家になっている実家を相続したのですが、住むつもりもなく、どうすればいいのかまったくわかりません。どうすればいいでしょうか」
大阪の司法書士・行政書士の田渕です。
こういった疑問にお答えします。
空き家を相続したとき、まず必要なことは相続登記です。
不動産を相続したときの名義変更を相続登記といいます。
この記事では、空き家となった実家を相続した際に必要なことを、法律的な観点から解説します。
目次
空き家になった実家を相続したときに必要なこと【相続登記】
空き家を相続したとき、まず必要なことは相続登記です。
不動産を相続したときの名義変更を相続登記といいます。
空き家を処分するにも、賃貸などで活用するにも、まずは名義変更しないといけません。
理屈では、登記はしなくても、売却したり、賃貸することはできます。
とはいえ、ちゃんと登記していない物件を買ってくれる人は、まずいません。
なので、処分したり、活用するために、まずは相続登記が必要なのです。
ただし、すぐに建物を取り壊すのであれば、建物については、相続登記はする必要はありません。
その場合、必要なのは建物の滅失登記です。
滅失登記とは、建物を取り壊したときに建物がなくなったことを登記することです。
土地だけ相続登記しておきましょう。
だれが空き家を相続するか
相続登記する前に、だれが不動産を相続するか(不動産を誰の名義にするか)を決めないといけません。
だれが不動産を相続するか決めるパターンは3つあります。
- ・遺言
- ・遺産分割協議
- ・相続人同士で共有
だれが不動産を相続するか決めるパターン1 遺言
亡くなった方が遺言をのこしていればわかりやすいです。
遺言に「不動産は長男に相続させる」などと書かれていれば、長男が相続します。
なので、まずは遺言があるかどうか確認します。
だれが不動産を相続するか決めるパターン2 遺産分割協議
遺言がない場合、どういう風に遺産を分けるか話し合う必要があります。
これを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議で、だれが不動産を相続するか決めます。
不動産を売却して、売却代金を相続人が相続分で分けあうということもできます。
こういった分け方を換価分割といいます。
しかし換価分割するにも、一度、相続人の名義に変えないといけません。
なので、相続人のうちの誰か一人の名義にしておきましょう。
どうせ、すぐに売却するからといって、相続人の共有名義にしておくことは、あまりおすすめしません。
なぜなら、売却したときに買主名義にする登記について、相続人全員が登記手続きの申請人になり、手続きが面倒だからです。
相続人の中で、特にしっかりしている人の名義にしておいて、その人だけが登記手続きを申請することにしておいた方が、手続きがスムーズです。
また、相続人共同の名義にした後、売却するまでの間に、名義人がさらに亡くなったり、認知症になったりすると、さらに権利関係がややこしくなります。
そうならないように、相続人の中で、若くてしっかりした人の名義にしておいた方がいいのです。
だれが不動産を相続するか決めるパターン3 相続人同士で共有
遺産分割せずに、相続人同士で共有する方法です。
先ほど書いた通り、あまりおすすめできません。
相続登記の手続きについて
誰の名義にするか決めたら、相続登記を法務局に申請します。
相続登記は、司法書士に依頼することが一般的です。
ですが相続登記は、がんばれば自分でもすることができます。
必要書類を集めて、申請書を作成して、提出するだけです。
具体的な手続きについては、別の記事にくわしくまとめましたので、ぜひご覧ください。
所有者の権利関係で問題になる場合
所有者の権利関係で問題になりやすいのが、次の場合です。
- ・相続人の中に認知症などを患っている方がいる
- ・相続人同士の仲が悪くて、話がまとまらない
くわしく解説します。
相続人の中に認知症などを患っている方がいる
相続人の中に認知症などを患っている方がいる場合、遺産分割協議ができないという問題があります。
先ほどの通り、遺言がない場合、相続人同士で遺産の分け方を話し合う必要があります。
相続人の中に、認知症や知的障害などで判断能力がおとろえている方がいると、そうした話し合いができません。
この場合、判断能力が十分でない方には成年後見人という、代理人を付ける必要があります。
成年後見人を選任して、成年後見人が、判断能力が十分でない相続人に代わって、遺産分割協議に参加します。
成年後見人について、くわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
相続人同士の仲が悪くて、話がまとまらない
相続人同士の仲が悪いなどの理由で、遺産分割協議がまとまらない場合、裁判所に間に入ってもらって話し合うことも検討しないといけません。
調停委員という裁判所の職員が間に入って遺産分割について話し合うことを、遺産分割調停といいます。
第三者に話し合いの調整をしてもらうことで、話し合いがスムーズに進めることができます。
遺産分割調停については、こちらの記事にくわしくまとめましたので、ご覧ください。
空き家を放置した場合の責任
空き家を適切に管理せず放置すると、倒壊するなど近隣に迷惑をかける危険性があります。
空き家が倒壊するなどして、近隣の家屋に損害が発生した場合、その空き家の所有者には工作物責任というものがあります(民法717条)。
建物の管理の不備があり、そのせいで事故が発生した場合に、その建物の所有者に損害賠償すべき責任があります。これを工作物責任といいます。
空き家の所有者は、適切に建物を管理する義務があるというわけです。
相続したくない場合は相続放棄
面倒なことには巻き込まれたくない、空き家を相続したくないという場合、相続放棄を検討すべきです。
相続放棄とは、相続する権利を放棄することです。
相続放棄すると、はじめから相続人ではなかったものと扱われます。
なので、ほかの財産は相続するけど、空き家だけ相続しないというわけには行きません。
相続放棄するには、相続が発生したことを知ったときから3カ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
相続放棄の手続きについては、こちらの記事にくわしくまとめましたので、ご覧ください。
まとめ
以上、空き家になった実家を相続したときに必要なことについて解説しました。
当事務所は、大阪の司法書士・行政書士事務所です。
当事務所では、相続に関する相談を承っています。
相続の相談については、相談料無料ですのでお気軽にお問い合わせください。
ご相談の方は、 電話(06-6356-7288)か、メールフォームからお問い合わせください。
というわけで今回は以上です。
お読みいただきありがとうございました。