遺言は口頭でも有効?司法書士がわかりやすく解説
「最近、終活を始めました。それで遺言に興味があるのですが、遺言は口頭でもできるのですか?」
大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
遺言を残すことで、大切な家族や大事な人に自分の意思をしっかり伝えることができます。しかし、「口頭で伝えた遺言は有効なのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、口頭での遺言の有効性について、法律の観点からわかりやすく解説します。
遺言は口頭でも有効?司法書士がわかりやすく解説
結論から言うと、口頭のみで伝えた遺言は原則として無効です。
遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない(民法967条)、と法律で決められています。
証書でしなければないとなっているため、文書を作成する必要があり、口頭ではすることができません。
なぜ口頭での遺言がダメかというと、口頭だと証拠が残らず、後から内容を巡ってトラブルが発生する可能性が高いからです。
なお、自筆証書、公正証書、秘密証書の遺言は次のような違いはあります。
・関連記事 公正証書遺言と自筆証書遺言どっちがいい?【公正証書遺言がお勧め】
自筆証書遺言
本人が全文を手書きし、日付と署名を記入する形式。
公正証書遺言
公証人が作成し、証人2人の立会いのもと署名する形式。
秘密証書遺言
内容を秘密にしたまま、公証人と証人が確認する形式。
これらの形式が法律に則って作成されている場合にのみ、遺言としての効力が認められます。
危急時遺言
ただし、疾病などで生命の危機にあり、すぐに書面を作成できないような緊急事態では、口頭の遺言が認められる場合があります。
これを「危急時遺言」と言います。
疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない(民法976条1項)。
なお、危急時遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない、とされています(民法976条4項)。
ただ、危急時遺言には厳格な条件が課されており、日常的な場面では利用できません。
遺言の書き方
具体的な遺言の書き方については別記事でくわしく解説しておりますので、こちらをご覧ください。
・関連記事 遺言書の書き方【遺言書の例文と気を付けるポイント】
まとめ
以上、口頭での遺言の有効性について解説しました。
遺言は大切な人々に思いを伝える最後のメッセージです。法的に有効な形式で残すことで、相続トラブルを防ぎ、家族への配慮を最大限に示しましょう。
当事務所は大阪の司法書士・行政書士事務所です。
当事務所では、遺言についての相談を承っております。
初回相談無料ですのでお気軽にご相談ください。
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今回は以上です。
お読みいただきありがとうございました。