遺言とは?その意味と役割を司法書士がわかりやすく解説
「私は、現在夫と二人暮らしです。子供は2人いますが、2人とも結婚して独立しました。長男は近くに住んでおり、私たち夫婦とも関係は良好ですが、次男は海外出張も多く、連絡も取りづらいです。それで知り合いから、そろそろ遺言を書いた方がいいんじゃないかと言われました。遺言にはどんな意味があるんですか?」
大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
遺言とは、亡くなった後の財産や意思をどのように扱うかを法律的に決定するための手段です。相続トラブルを未然に防ぎ、大切な人への想いを形にするため、非常に重要な役割を果たします。
本記事では、遺言の基本的な意味や役割、遺言を作成することのメリットについて解説します。
目次
遺言とは?その意味と役割を司法書士がわかりやすく解説
遺言(いごん、または「ゆいごん」とも読む)は、自分が亡くなった後に財産や権利関係をどうするか、または特定の人へ伝えたい思いを記録する文書のことです。これは民法に基づき、一定の形式で作成することで法的な効力を持ちます。
遺言を残さない場合、相続人は法律で定められた割合で相続します。
・関連記事 法定相続分とは?【法定相続分の割合について司法書士が解説】
そして財産を相続人でどう分けるかについては相続人同士で話し合って決めます。これを遺産分割協議といいます。
・関連記事 遺産分割方法のまとめ 司法書士がわかりやすく解説
しかし、それでは故人の意思が反映されない場合もあるため、遺言が重要視されるのです。
遺言でできること
遺言には次のようなことを書くことができます。
• 相続分の指定、または第三者への指定の委託
• 遺産の分割方法の指定、または第三者への指定の委託、および遺産の分割禁止
• 推定相続人の廃除、または廃除の取り消し
• 特別受益の持ち戻しの免除
• 遺留分侵害額請求の負担方法の定め
• 遺贈
• 生命保険の保険金受取人の変更
• 財団法人を設立する意思の表示
• 信託の設定
• 認知
いろんなことができますが、ほとんどの人が、遺産分割方法を指定するか、遺贈するために遺言を書きます。
遺言を作成するメリット
遺言を作成するメリットとして次のようことがあげられます。
・相続トラブルを防ぐ
・自分の意思を反映できる
・特別な配慮が可能
・相続人以外にも遺贈することができる
遺言を作成するメリット1 相続トラブルを防ぐ
遺産分割を巡って親族間で争いが生じるケースは少なくありません。
上記の通り、遺言がない場合、相続人は遺産の分け方を話し合って決めます。
しかし、次のような事情があると、相続人それぞれの言い分があり、なかなか遺産分割協議がまとまらなず、相続争いになってしまうことがあります。
・相続人同士仲が悪い
・特定の相続人だけ教育資金などまとまった贈与を受けている
・特定の相続人だけ親の介護などをしていた
・特定の相続人だけ、親の事業を手伝っており、親の資産形成に貢献していた
遺言で遺産分割方法を明確にしておけば、遺言通りに遺産を分けることになり、遺産分割協議をしなくてもいいので、相続人同士のトラブルを避けることができます。
遺言を作成するメリット2 自分の意思を反映できる
法律で定められた分け方(法定相続)ではなく、自分の意思に基づいた分割や財産の配分が可能です。
たとえば、長男は介護をしてくれたり、通院への付き添いをしてくれたりしてくれるから、多めに相続させたいという希望があれば、その通りの遺言を書くことができます。
ただし、相続人には遺留分という、相続人に保障された最低限の取り分がありますので、注意が必要です。
・関連記事 遺留分とは?司法書士がわかりやすく解説【相続人の取り分】
遺言を作成するメリット3 特別な配慮が可能
相続人の中で特に援助を必要としている人、例えば障害がある子どもや経済的に苦しい状況にいる家族に重点的に財産を残すといった配慮ができます。
遺言を作成するメリット4 相続人以外にも遺贈することができる
遺言がない場合、法律で決められた相続人しか相続することができません。
・関連記事 相続人の範囲 どこまでが相続人か司法書士がわかりやすく解説
遺言を書けば、相続人以外の人に贈与したり、団体に寄付することができます。
これを遺贈といいます。
・関連記事 相続と遺贈の違いは?司法書士がわかりやすく解説します
・関連記事 遺言で寄付することができる 文例や注意点をわかりやすく解説
遺言の種類と特徴
遺言にはいくつかの種類があります。以下は代表的なものです:
• 自筆証書遺言
自分で全文を手書きする形式。費用がかからない反面、不備があると無効になる可能性がある。
• 公正証書遺言
公証人の立ち会いのもと作成される遺言。形式が整っており、安全性が高い。
くわしくはこちら
・関連記事 公正証書遺言と自筆証書遺言どっちがいい?【公正証書遺言がお勧め】
遺言を作成する際の注意点
遺言を作成する際には、以下の点に注意しましょう。
・法律に則った形式で作成すること
・できるだけ相続人へ配慮する
・専門家に相談する
遺言を作成する際の注意点1 法律に則った形式で作成すること
法律で定められた形式を守らないと、遺言は無効になります。
遺言を作成する際の注意点2 できるだけ相続人へ配慮する
遺言で相続人の取り分に差をつけることができます。
とはいえ、あまりにも少ない取り分しかもらえなかった相続人としては不満が残り、相続人同士の仲が悪くなる可能性もあります。
なので、できるだけ相続人へ配慮することを心がけましょう。
遺言を作成する際の注意点3 専門家に相談する
司法書士などの専門家に相談することで、適切で漏れのない遺言を作成できます。
大阪の方なら当事務所でも承っております。
当事務所の遺言作成サポートサービスの詳細はこちら
・関連記事 田渕司法書士・行政書士事務所の遺言書作成サポートサービス
遺言の書き方
遺言の具体的な書き方については別記事で詳しく解説していますので、こちらをご覧ください。
・関連記事 遺言書の書き方【遺言書の例文と気を付けるポイント】
まとめ
遺言は、亡くなった後に大切な人たちへ想いを伝え、円満な相続を実現するための重要な手段です。
法的な効力を持つ遺言を正しく作成することで、あなたの意思がしっかりと反映され、家族や大切な人たちが安心して暮らせる未来を築けます。
終活の一環として遺言作成を考えることは、残された家族への「最後の贈り物」とも言えます。
この機会に、ぜひ遺言の準備を進めてみてはいかがでしょうか?
当事務所は大阪の司法書士・行政書士です。
遺言の作成についてご相談の方は、お電話(06-6356-7288)か、メールフォームからお問い合わせください。
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今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。