数次相続とは何か解説します【遺産分割協議書の文例など】

相続について悩んでいる人

「3年前に祖父が亡くなり、父や叔父たちが相続人になりましたが、遺産分割協議をしないままでいたところ、父が亡くなり、私と兄が父の相続人になりました。このような場合を数次相続というと聞きました。数次相続についてくわしく教えてもらえますか?」


大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。

被相続人が亡くなった後、遺産を承継する手続きをしないうちに、相続人の1人が亡くなり、新たな相続が発生することを数次相続といいます。

この記事では、数次相続についてくわしく解説します。

 

数次相続とは何か解説します【遺産分割協議書の文例など】

相続

数次相続とは、被相続人が亡くなった後(第1相続)、遺産分割や相続登記などの名義変更手続きをしないうちに、相続人の1人が亡くなり(第2相続)、新たな相続が発生することをいいます。

たとえば、Aが亡くなり、B、C、Dが相続し、遺産分割や相続登記などの名義変更手続きをしないうちに、Bが亡くなり、EとFが相続したような場合です。

数次相続の図

この場合、Aの遺産については、C、D、E、Fが遺産分割協議をする必要があります。

遺産分割協議とは、相続人が遺した遺産をどう分けるか相続人同士で話し合うことです。

  1. ・関連記事 遺産分割協議とは何か?【遺産の分け方についての話し合い】

 

Aの相続についての遺産分割協議は、本来、B、C、Dが行うものです。

しかし、Aの相続についての遺産分割協議をする前にBが亡くなっているので、Bの代わりにBの相続人であるE、Fが遺産分割協議に参加することになります。

 

数次相続の遺産分割協議書の文例

相続

上記の図のように、Aが亡くなり、B、C、Dが相続し、遺産分割しないうちに、Bが亡くなり、EとFが相続したような場合に、Eが不動産を相続する場合の遺産分割協議書の記載例です。

実情に合わせて作成してください。

  1.            遺産分割協議書
  2.         
  3. B、C及びDは被相続人Aが令和○○年○月○日に死亡したことにより開始した相続につき相続人となったが、遺産分割をする前にBが令和○○年○月○日に死亡し、E、FがBを相続したことから、被相続人Aの相続財産について、C、D、E、Fは、下記のとおり遺産分割を行うものとする。
    1.           
  4. 令和○○年○月○日Bが単独相続し、さらに令和○○年○月○日Eが単独相続する。
    1.             
  5.         相続財産の表示
  6. 【土地】
  7. 所在 ○○市○○町○○丁目
  8. 地番 ○○番○○
  9. 地目 宅地
  10. 地積 ○○.○○平方メートル
    1.        
  11. 【建物】
  12. 所在 ○○市○○町○○丁目○○番地○○
  13. 家屋番号 ○○番○○
  14. 種類 ○○造
  15. 構造 ○○2階建
  16. 床面積 1階 ○○.○○平方メートル
  17. 2階  ○○.○○平方メートル
    1.        
  18. 上記の協議を証するため、この協議書を作成し記名押印する。
    1.         
  19. 令和   年   月   日
    1.        
  20. 被相続人 A(令和○○年○月○日死亡)
  21. 最後の本籍 ○○県○○市○○町○丁目○番
  22. 最後の住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
    1.        
  23. A相続人兼被相続人B(令和○○年○月○日死亡)
  24. 最後の本籍 ○○県○○市○○町○丁目○番
  25. 最後の住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
    1.         
  26. 相続人
  27. 住所 ○○県○○市○○町○丁目○番
  28. 氏名 C ㊞
    1.        
  29. 相続人
  30. 住所 ○○県○○市○○町○丁目○番
  31. 氏名 D ㊞
    1.        
  32. Bの相続人
  33. 住所 ○○県○○市○○町○丁目○番
  34. 氏名 E ㊞
    1.        
  35. Bの相続人
  36. 住所 ○○県○○市○○町○丁目○番
  37. 氏名 F ㊞


再転相続、相次相続、代襲相続との違い

相続

数次相続に似ているものに再転相続相次相続、代襲相続があります。

再転相続は、数次相続の一種です。

再転相続は、被相続人が亡くなった後(第1相続)、相続人が熟慮期間中(自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月)に相続の承認または放棄をしないうちに亡くなり(第2相続)、新たな相続が発生した場合のことをいいます。

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間)にしないといけません。

再転相続の場合、第2相続の相続人が相続放棄をすることができるかについて問題になります。

再転相続については、くわしくは別記事にまとめてありますので、ご覧ください。

  1. ・関連記事 再転相続とは?【相続放棄できる?代襲相続や数次相続との違い】


相次相続とは、相続税法上の用語です。

第2相続の10年以内に第1相続があった場合は、相続税の課税について相続税額から一定の金額を控除できる特例が適用される場合があります。

この制度のことを相次相続控除といいます。

相次相続控除については、くわしくは国税庁のホームページをご覧ください。

  1. ・外部リンク 国税庁 相次相続控除


代襲相続は、本来の相続人が亡くなっている場合などに、その相続人の代わりに相続人の子どもが相続することをいいます。

代襲相続と数次相続の違いは亡くなる順番です。

数次相続は、被相続人が亡くなった後に、その子どもなどの相続人が亡くなったケースです。

それに対して、代襲相続は、被相続人が亡くなる前に、その子どもなどの相続人が亡くなっているケースです。

たとえば、被相続人がA、Aの子どもがB、Bの子どもがCの場合に、Aが亡くなった後、遺産承継の手続きをしないうちにBが亡くなり、Cが相続人になるケースが数次相続です。

Aが亡くなる前にBが亡くなり、Bの代わりにCが相続人になるのが代襲相続です。

代襲相続と数次相続

代襲相続については、くわしくは別記事にまとめてありますので、ご覧ください。

  1. ・関連記事 代襲相続とは?どこまで続くの?わかりやすく解説します


まとめ

以上、数次相続について解説しました。

まとめると、数次相続は、被相続人が亡くなった後、遺産分割や相続登記などの名義変更手続きをしないうちに、相続人の1人が亡くなり、新たな相続が発生することです。

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  1. 相続・遺産承継


というわけで今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。