遺贈を放棄するときの手続きをわかりやすく解説します

遺贈を受けた人

「先日、母方の伯父が亡くなりました。伯父は遺産の半分を私に遺贈する遺言を遺していました。しかし、伯父の子がそのことについて文句を言ってきました。私はお金には困っていませんし、面倒なことに巻き込まれたくないので、遺贈を放棄したいと思っています。遺贈を放棄するにはどうすればいいのでしょうか?」


大阪の司法書士・行政書士の田渕です。

こういった疑問にお答えします。

遺贈とは、遺言で贈与することです。

普通の贈与と違って、遺贈は遺言を書く人の単独の意思ですることができます。

そのため、遺贈を受ける人の意思に関係なく遺贈がされることがあります。

しかし、遺贈は放棄することができます。

この記事では、遺贈を放棄する場合の手続きをわかりやすく解説します。

遺贈を放棄するときの手続きをわかりやすく解説します

司法書士

遺贈を放棄する場合、包括遺贈特定遺贈で手続きが異なります。

包括遺贈とは、財産を一人または数人に割合を指定して承継させる遺贈です。

たとえば、「私が所有する全財産を、Aに2分の1、Bに2分の1の割合で遺贈する」という遺言が包括遺贈です。

これに対して、特定遺贈とは、遺産の中の特定の財産を、特定の人に承継させる遺贈です。

たとえば、「私が所有する下記の不動産を、Aに遺贈する。私が所有する下記の預貯金をBに遺贈する」という遺言は特定遺贈です。

包括遺贈と特定遺贈の違いについてはくわしくはこちら。

  1. ・関連記事 包括遺贈と特定遺贈の違いをわかりやすく解説

 

包括遺贈を放棄する場合

家庭裁判所

包括遺贈の放棄は、相続放棄と同様に家庭裁判所に放棄の申述をする必要があります。

これは、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有するとされているからです(民法990条)。

相続放棄と同じように、自分が包括受遺者であることを知ったときから3カ月以内にする必要があるので注意が必要です。

包括遺贈の放棄の申述は、包括遺贈放棄申述書を作成し、添付書類を収集し、家庭裁判所に提出します。

包括遺贈放棄申述書の書式はこちら。

  1. 包括遺贈放棄申述書

 

添付書類は次の通り。

  1. ・申述する人の住民票または戸籍の附票
  2. ・遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
  3. ・遺言者の住民票の除票または戸籍の附票
  4. ・遺言書の写し

 

そのほか各裁判所によって別の書類が必要になる場合があります。

戸籍の附票とは、住所地の移動の履歴をまとめた書類で、戸籍とともに管理されています。

  1. ・関連記事 戸籍の附票とは何かわかりやすく解説します

 

戸籍謄本や戸籍の附票は本籍地の役所で取得できます。

  1. ・関連記事 相続に必要な戸籍謄本の集め方、古い戸籍の読み方

 

提出する家庭裁判所は、被相続人が亡くなったときに住んでいた場所の家庭裁判所です。

たとえば、大阪市で亡くなった場合は大阪家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページでご確認ください。

  1. ・外部リンク 裁判所の管轄区域

 

そのほか細かい手続きについては、こちらをご覧ください。

  1. ・関連記事 相続放棄の手続きをわかりやすく解説【必要書類や注意点など】

 

特定遺贈を放棄する場合

特定遺贈の放棄

特定遺贈の放棄については手続きの方式について特に定めはないので、口頭でも効果は発生しますが、後々のトラブルを防ぐためにも書面でした方がいいでしょう。

特定遺贈の場合は、遺言者(遺言を書いた人)が亡くなった後いつでも遺贈を放棄することができます(民法986条)。

しかし、相続人などの利害関係人が、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認または放棄をするように催告した場合は、その期間内に意思表示しないときは、遺贈を承認したものとみなされますので注意が必要です。

まとめ

以上、遺贈の放棄について解説しました。

包括遺贈の場合は、放棄するのに時間の制限がありますので、すみやかに手続きをする必要があります。

遺贈の放棄の手続きの準備は慣れていないと、それなりに時間がかかってしまいます。

その場合は、司法書士に相談することをおすすめします。

大阪近辺の方なら当事務所でも承っています。

初回相談無料ですので、お気軽にご相談ください。

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というわけで今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。