相続人の範囲 どこまでが相続人か司法書士がわかりやすく解説

「親戚が亡くなったと連絡があったのですが、私に相続できる権利はあるんでしょうか?どこまでが相続人なのでしょうか?」

相続について相談している人

 

大阪の司法書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。

人が亡くなると、一定の親族が財産を相続することはご存知かと思います。

それでは、どこまでが相続人になるのでしょうか?

この記事では、どこまでが相続人なのか、相続人の範囲について司法書士がわかりやすく解説していきます。

 

相続人の範囲 どこまでが相続人か司法書士がわかりやすく解説

相続

被相続人が亡くなると、その人が持っていた財産は、相続人に承継されます。

相続人になる権利があるのは、次の人たちです。

  1. ・配偶者
  2. ・子
  3. ・直系尊属
  4. ・兄弟姉妹

 

配偶者

夫からみた妻、妻からみた夫のことです。

ただし、内縁の夫、内縁の妻は相続人にはなりません。

 

実子はもちろん、養子も相続人になります。

 

直系尊属

直系尊属とは、父母や祖父母のことです。

父母が健在のときは、祖父母は相続人にはなりません(民法889条)。

 

兄弟姉妹

兄、弟、姉、妹は相続人になる可能性があります。

 

相続人の順位

先に解説した通り、相続人になる可能性があるのは、配偶者、子(または孫やひ孫)、直系尊属、兄弟姉妹(または甥や姪)です。

しかし、これらの人たちが全員相続人になるとは限りません。

 

相続人のうち、配偶者は常に相続人になりますが、それ以外の人は、相続できる順位が決められています。

次の通りです。

  1. 第一順位 子(または孫やひ孫)
  2. 第二順位 直系尊属
  3. 第三順位 兄弟姉妹(または甥や姪)

 

先順位の人がひとりでもいる場合は、後順位の人は相続人になれません。

たとえば、子ども(または孫やひ孫)がひとりでもいる場合は、直系尊属や兄弟姉妹(または甥や姪)は相続人にはなれません。

子ども(または孫やひ孫)がいなくても、父が健在のときは、兄弟姉妹(または甥や姪)は相続人にはなれません。

相続の順位についてはくわしくはこちら。

・関連記事 相続の順位を司法書士がわかりやすく解説します

 

相続する権利を失う場合

次の場合は、相続人であっても、相続する権利を失います。

  1. ・相続欠格 
  2. ・廃除
  3. ・相続放棄

 

相続する権利を失う場合1 相続欠格

相続欠格とは、一定の場合に相続人や受遺者(遺言で贈与を受ける人)となる資格を失うことです。

次の人は、相続欠格にあたります(民法891条)。

  1. ・被相続人や、先順位または同順位の相続人を故意に殺害した人
  2. ・被相続人が殺害されたことを知って、告発しなかった人
  3. ・サギ・強迫によって、被相続人の遺言を妨害した人
  4. ・サギ・強迫によって、被相続人に遺言を書かせた人
  5. ・被相続人の遺言を偽造、変造、破棄したり、隠した人

 

以上の人は特に悪質なので、相続する権利を失います。

次の廃除と異なり、家庭裁判所などに請求することなく、当然に相続する権利を失います。

相続欠格については、くわしくはこちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 相続欠格になる事由5つを司法書士がわかりやすく解説します

 

相続する権利を失う場合2 廃除

廃除とは、被相続人が相続人の相続する権利をはく奪することです(民法892条)。

相続人が被相続人に対して、重大な侮辱を加えたとき、またはそのほかの著しい非行があったときに、被相続人は家庭裁判所に廃除を請求することができます。

また被相続人は遺言に、相続人を廃除する旨の記載することができます(民法893条)。

この場合、遺言執行者が廃除を家庭裁判所に請求します。

  1. ・関連記事 相続人の廃除とは【相続人の相続する資格を失わせる手続】
家庭裁判所

 

相続する権利を失う場合3 相続放棄

相続放棄とは、相続人が相続する権利を放棄することです。

相続放棄すると、最初から相続人ではなかったものと扱われます。

相続放棄するには、相続があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申述して行います。

家庭裁判所

相続放棄については、こちらの記事にくわしくまとめましたので、ご覧ください。

  1. ・関連記事 相続放棄の手続きをわかりやすく解説【必要書類や注意点など】

 

代襲相続

相続人のうち、子と兄弟姉妹については代襲相続というものがあります。

子どもが被相続人より先に亡くなっている場合は、その子どもの子ども(被相続人からみると孫)が、代わりに相続人になります(民法887条2項)。

このように本来の相続人の代わりに、本来の相続人の子どもが相続することを代襲相続といいます。

また子どもが相続欠格の場合や、廃除されている場合も、孫が代襲相続します。

一方、子どもが相続放棄した場合は、孫が代襲相続することはありません。

相続放棄したときは、はじめから相続人ではなかったものと扱われるからです。

 

また、孫が被相続人より先に亡くなっている、または廃除、相続欠格の場合で、ひ孫がいるときは、ひ孫が相続人になります。

これを再代襲相続といいます。

 

兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている、または廃除、相続欠格の場合は、その兄弟姉妹の子ども(被相続人からみると甥や姪)が、代わりに相続人になります。

ただし、兄弟姉妹には再代襲相続の制度はありません。

なので、甥や姪が被相続人より先に亡くなっていても、甥や姪の子どもが相続人になることはありません。

代襲相続については、くわしくはこちらの記事をご覧ください。

  1. ・関連記事 代襲相続とは?どこまで続くの?わかりやすく解説します

 

相続分の割合

相続人がひとりだけしかいないときは、もちろんその人が財産をすべて相続します。

相続人が2人以上いるときは、それぞれの相続人にどれだけの取り分があるのか法律で決められています。

相続人の取り分のことを相続分といいます。

各相続人の相続分がどれだけなのかについては、こちらの記事にくわしくまとめましたので、ぜひご覧ください。

  1. ・関連記事 法定相続分とは?【法定相続分の割合について解説します】

 

まとめ

以上、相続人の範囲について解説しました。

まとめると次の通り。

  1. ・相続人になる可能性があるのは、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹
  2. ・相続人の順位は、子が第一順位、直系尊属が第二順位、兄弟姉妹が第三順位
  3. ・相続欠格、廃除、相続放棄によって相続する権利を失う場合がある

 

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というわけで今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。