株主総会議事録の作成のポイントをわかりやすく解説します

「会社を設立してからはじめて株主総会を開催します。株主総会議事録を作成しないといけないと聞きましたが、株主総会議事録の作成の仕方がわかりません」

株主総会議事録のことで悩んでいる人


こういった疑問にお答えします。

この記事では、株主総会議事録の作成のポイントをわかりやすく解説します。

なお株主総会の決議事項や開催時期については、別記事でくわしく解説しています。

  1. ・関連記事 株主総会の決議事項を解説します【普通決議 特別決議 特殊決議】
  2. ・関連記事 株主総会の開催時期【いつまでに開催しないといけないの?】


株主総会議事録の作成のポイントをわかりやすく解説します

株主総会の議事については、議事録を作成しないといけないと法律で決められています(会社法318条1項)。

なので、必ず議事録を作成するようにしましょう。

株主総会議事録の作成のポイントは次の通りです。


株主総会議事録の作成方法

株主総会議事録

株主総会議事録は、書面または電子ファイルで作成します(会社法施行規則72条2項)。

書面で作成した株主総会議事録には、原則として取締役の署名や押印は必要ありません。

例外として、株主総会の決議で代表取締役を選任した場合は、議長および出席取締役が個人の実印で押印する必要があります(商業登記規則61条6項)。

また役員変更の登記の添付書類として、議長および出席取締役の印鑑証明書を提出する必要があります。

ただし、改選前の代表取締役が会社の実印で押印した場合は、議長及び出席取締役の個人の実印での押印と印鑑証明書は不要です。

電子ファイルで作成した株主総会議事録も、原則として作成者などの電子署名は不要です。

ただし、商業登記の添付書類として法務局に提出する場合は、電子署名が必要になります(商業登記規則102条5項2号)。


株主総会議事録の記載例

株主総会議事録の記載例は次の通りです。

ひな形も用意しました。

  1. 株式会社議事録


株主総会議事録の記載事項

株主総会には、次の事項を記載します(会社法施行規則72条3項)。

  1. ・株主総会が行われた日時・場所
  2. ・株主総会の議事の経過・結果
  3. ・意見、発言の内容の概要
  4. ・株主総会に出席した役員等の氏名
  5. ・議長の氏名
  6. ・株主総会議事録の作成者


株主総会が行われた日時・場所

株主総会

株主総会が行われた日付と、開会の時間・閉会の時間を記載します。

また株主総会が開催された場所も記載します。


株主総会の議事の経過・結果

たとえば「…について承認を求めたところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもって承認可決された」などと記載します。

決議につき、何人が賛成し、何人が反対したかまでの記載は不要です。


意見、発言の内容の概要

取締役の意見

会社法には、役員等が株主総会で意見を述べることができる事項が定められています。

以下の事項です。

  1. ・監査等委員である取締役等の選任等(会社法第342条の2)
  2. ・会計参与、監査役、会計監査人の選任等(会社法第345条)
  3. ・取締役の報酬等(会社法第361条5項、6項)
  4. ・計算書類について会計参与が取締役と意見を異にするとき(会社法第377条1項)
  5. ・会計参与の報酬等(会社法第379条3項)
  6. ・監査役の株主総会に対する報告義務(会社法第384条)
  7. ・監査役の報酬等(会社法第387条3項)
  8. ・監査役の会計に関する議案、書類の調査結果の報告(会社法第389条3項)
  9. ・書類が法令又は定款に適合するかどうかについて会計監査人が監査役と意見を異にするとき(会社法第398条1項、2項)
  10. ・監査等委員の株主総会に対する報告義務(会社法399条の5)


上記の事項について株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要を記載します(会社法施行規則72条3項3号)。


株主総会に出席した役員等の氏名

株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人の氏名・名称を記載する必要があります。


議長の氏名

株主総会の議長の氏名を記載します。


株主総会議事録の作成者

株主総会議事録の作成者

株主総会議事録は、取締役に作成義務があります。

株主総会議事録を作成した取締役の氏名を記載します。

株主総会議事録の作成者の氏名を記載する必要があるのは、株主総会議事録には必ずしも署名や押印の必要がないため、株主総会議事録が誰の責任で作成されたのかを明らかにするためです。


株主総会議事録の作成期限

株主

株主総会議事録には、原則として作成期限はありません。

ただし取締役などの選任・再任があった場合は、遅くとも2週間以内に作成する必要があります。

取締役などの選任・再任があった場合、2週間以内に登記の申請をしなければならず、登記申請には株主総会議事録を添付する必要があるからです。

また取締役の選任の場合以外でも、株主には株主総会議事録を閲覧する権利があるので、なるべく早めに作成するようにしたほうがいいでしょう。


株主総会議事録の保管期限

株主総会議事録は10年間保管する義務があります。

株主や債権者に閲覧させる必要があるので、しっかりと保管しないといけません。


まとめ

以上、株主総会議事録の作成のポイントについて解説しました。

田渕司法書士・行政書士事務所では会社・法人様を法律面でサポートしています。

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というわけで今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。