相続法改正のポイントをまとめました
こんにちは、司法書士の田渕です。
近年、相続に関するルールが改正されました。
当記事では、相続法改正のポイントをまとめましたので、ご覧ください。
目次
相続法改正のポイントをまとめました
相続法改正の概要は、大きく6つの内容に整理できます。
- 1 配偶者居住権の創設
- 2 特別受益の持戻しを不要とする規定
- 3 相続した預金の仮払の制度の創設
- 4 法務局における遺言書保管制度の創設
- 5 相続登記しないと不動産の権利を失ってしまうケースが増えた
- 6 特別の寄与制度の創設
それでは見ていきましょう。
1 配偶者居住権の創設
亡くなった方の配偶者の居住する権利を保護するために「配偶者居住権」という権利が創設されました。
配偶者居住権は、亡くなった方の配偶者が、相続開始後も無償で自宅に住み続けられる権利です。
配偶者居住権のポイント
- ・自宅に居住しながら、他の財産も相続できる。
- ・遺言、遺産分割協議などで設定する
- ・登記しないと、第三者に主張できない
配偶者居住権については、こちらの記事で詳細解説しておりますので、ご覧くださいませ。
・関連記事 配偶者居住権とは?わかりやすく解説【デメリットも】
2 特別受益の持戻しを不要とする規定
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、自宅の生前贈与・遺贈がされた場合、被相続人が亡くなった後、遺産分割における配偶者の取り分が、増える場合があります。
相続人に対する生前贈与や遺贈(遺言で贈与すること)のことを、特別受益といいます。
相続人の中に特別受益を受けた人がいると、ほかの相続人にとっては不公平になってしまいますので、相続人が遺贈を受けた場合は、不公平にならないように、贈与した財産も相続財産として計算します。
これを特別受益の持ち戻しといいます。
改正によって、婚姻期間が20年以上の夫婦間の居住用不動産の生前贈与・遺贈については、原則として、遺産の先渡しとして扱われないことになりました(これを特別受益の持戻し免除といいます)。
その結果、配偶者は、より多くの財産を取得できるケースが増えることになります。
特別受益の持戻し免除については、 こちらの記事で詳細解説しておりますので、ご覧くださいませ。
・関連記事 20年連れ添った夫婦間の自宅の生前贈与がしやすくなりました。
3 相続した預金の仮払の制度の創設
遺産である預金を、遺産分割が終わる前でも、一定の割合の金額に限り、引き出せるようになりました。
引き出せる金額は、次の通りです。
- 預貯金の額 × 1/3 × 払い戻しをする相続人の法定相続分
預金の仮払いの制度の詳細については、以下の記事で解説していますので、ご覧ください。
・関連記事 相続預金の仮払制度をわかりやすく解説します【遺産分割】
4 法務局における遺言書保管制度の創設
遺言書を法務局で保管してくれる制度がはじまりました。
遺言書保管制度のメリットは下記の通りです。
- ・遺言書の紛失や改ざんのおそれがない
- ・他人に遺言を見られるおそれがない
- ・検認が不要
遺言書保管制度の詳細は、以下の記事で解説していますので、ご覧ください。
・関連記事 自筆証書遺言を法務局に保管できる制度について解説します
5 相続登記しないと不動産の権利を失ってしまうケースが増えた
「相続させる」旨の遺言で不動産を取得した場合や、遺言で法定相続分より多い相続分を指定された場合、登記しないと第三者に権利を主張することができなくなりました。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
・関連記事【民法改正】相続登記しないと不動産の権利を失う可能性があります
6 特別の寄与制度の創設
相続人以外でも、無償で被相続人の療養看護などをしたことによって被相続人の資産形成に貢献した親族が、相続人に対して金銭を請求できるようになりました。
これを特別の寄与といいます。
特別の寄与の制度は、以下の記事で解説していますので、ご覧ください。
・関連記事 特別の寄与とは何かわかりやすく解説します【相続法改正】
まとめ
以上、相続法改正のポイントをざっくりとまとめました。
当事務所では、相続に関するご相談を承っております。
相続に関するご相談は相談無料です。
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