(2025年版)戸籍のさかのぼり方をわかりやすく解説

「父が亡くなり、相続手続きをすることになりました。“死亡から出生まで戸籍をさかのぼる必要がある”と言われたのですが、どこまで・どうやってさかのぼればいいのか分かりません」
大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
このようなご相談は非常に多く寄せられます。
今回は、戸籍のさかのぼり方について、相続の専門家である司法書士がわかりやすく解説します。
目次
(2025年版)戸籍のさかのぼり方をわかりやすく解説

戸籍謄本は市区町村の役所で取得できます。
戸籍謄本のさかのぼり方は、役所の窓口で請求する場合と、郵送で請求する場合で異なります。
戸籍謄本のさかのぼり方1 役所の窓口で請求する場合

戸籍謄本を役所の窓口で請求する場合、出生から死亡まで必要と戸籍謄本請求書に記載するとすべて取得することができます。
・関連記事 戸籍謄本の広域交付制度を解説 戸籍謄本が近くの役所で取れる
本籍地がどこかにかかわらず、近くの役所で取得することができます。
ただし、かなり時間がかかりますので時間に余裕があるときに行った方がいいでしょう。
戸籍謄本のさかのぼり方2 郵送で請求する場合

役所が遠かったり、役所に行く時間が取れない場合、郵送でも戸籍謄本を請求することができます。
ただし、窓口で請求する場合と違い、その役所の管轄内にある戸籍謄本しか取得できません。転籍している場合、転籍元の役所にも戸籍謄本を請求する必要があります。
たとえば、元々徳島市が本籍地で結婚により大阪市に転籍した場合、大阪市役所に戸籍謄本を請求した後、徳島市にも戸籍謄本を請求する必要があります。
郵送で戸籍謄本を取得する場合、次の手順でさかのぼります。
(1)まずは本籍地の役所での戸籍謄本を取得する

まず、亡くなった方が最後に本籍を置いていた市区町村役場で、現在の戸籍(戸籍謄本)を請求します。
戸籍の請求は、戸籍謄本請求書を書いて、手数料分の郵便小為替、返信用封筒、本人確認書類のコピーと一緒に郵送します。
戸籍謄本請求書は役所のホームページからダウンロードできます。
戸籍謄本を請求する際は、請求書に「相続手続きに必要なので、出生から死亡までのすべての戸籍謄本を請求します」と明確に記載しましょう。
これで、その役所で取得できる戸籍謄本のすべてが取得できます。
ここで、すべての戸籍謄本が取れることもありますが、他の市区町村から転籍している場合は、転籍元の役所に請求する必要があります。
(2)取得した戸籍謄本から転籍の情報を確認する
戸籍謄本には、その戸籍が作られる前の本籍地(転籍前の本籍地)が必ず記載されています。
この転籍前の本籍地が、次に戸籍を請求する役所になります。
転籍前の本籍地を読み取るのは、慣れていないと少し難しいかと思います。
戸籍謄本の読み方については、こちらの記事をご覧ください。
・関連記事 相続に必要な戸籍謄本の集め方、古い戸籍の読み方
(3)転籍前の本籍地の役所へ戸籍謄本を請求する
手順(2)で確認した転籍前の本籍地の役所に対し、同様に郵送で戸籍謄本を請求します。
(4)新しい戸籍謄本から再び転籍の情報を確認し、出生までこれを繰り返す
手順(3)で取得した戸籍謄本にも、前の本籍地が記載されているはずです。
以上の作業を繰り返し、「出生」の情報が記載されている戸籍謄本(最も古い戸籍)にたどり着くまでさかのぼります。
なぜ戸籍をさかのぼる必要があるのか

相続登記や遺産分割協議を行う際には、亡くなった方(被相続人)が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍が必要です。
これは、「相続人を確定するため」です。
例えば、
・実は前妻との間に子どもがいた
・養子縁組をしていた
といった事実は、古い戸籍を見ないと分からないことが多いのです。
そのため、法務局に登記を申請する場合も「出生から死亡までの連続した戸籍」が添付書類として求められます。
どこまでさかのぼる必要があるのか

基本は「被相続人の出生から死亡まで」です。
しかし、遺産分割協議に関係する相続人全員を確定するために、さらに上の世代(父母・祖父母)の戸籍が必要になる場合もあります。
例えば、
・被相続人に子がおらず、兄弟姉妹が相続人になる場合 → 両親の死亡の記載がある戸籍謄本や兄弟姉妹全員の戸籍が必要
・兄弟姉妹が亡くなっている場合 → その兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍謄本と、その子(甥・姪)の戸籍謄本まで確認
といったように、相続関係によって必要な範囲が変わります。
古い戸籍をさかのぼるときの注意点

・古い戸籍は手書き・旧字体で読みにくい
明治・大正時代の戸籍は、くずし字や旧漢字で記載されており、一般の方には判読が難しいことがあります。
・自治体によって保存状況が異なる
明治19年以前の戸籍は廃棄されていることもあり、すべての時代をたどれない場合もあります。
・郵送請求には日数がかかる
複数の自治体にまたがる場合、1か所ごとに1〜2週間ほどかかることもあります。
戸籍のさかのぼり方が難しいときは司法書士へ

戸籍を遡る作業は、慣れていない方にとってはかなり時間と労力がかかる手続きです。
特に転籍や改製が多い方の場合、全国各地の役所に請求する必要が出ることもあります。
自分で相続手続きをするのが難しい場合は、司法書士に依頼することができます。
大阪の方なら当事務所でも承っています。
当事務所では、相続登記に必要な戸籍収集を一括して代行しています。
旧字体の戸籍の読解や、相続人関係説明図の作成まで対応可能です。
初回相談無料ですのでお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら。
・電話 06-6356-7288
まとめ

以上、戸籍のさかのぼり方について解説しました。
まとめると次の通り。
・戸籍謄本窓口で請求するか郵送で請求する
・郵送の場合、転籍前の本籍地の役所にも郵送請求を行う
・手間や時間がかかる場合は司法書士に依頼するのが確実(戸籍収集から相続登記まで一括サポート可能)
今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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