エンディングノートの書き方|何を書けばいい?司法書士が教える項目と遺言書との違い

「終活を始めたいけれど、何から手をつければいいかわからない」

「エンディングノートって聞いたことはあるけど、遺言書と何が違うの?」

そんな声を、都島区・京橋エリアで相続・終活のご相談をお受けする中でよくお聞きします。

エンディングノートは、形式もルールも自由な「もしものときの備忘録」です。しかし、自由だからこそ「結局何を書けばいいのか」で手が止まってしまう方も少なくありません。

この記事では、司法書士・行政書士として日頃から相続手続きに携わる立場から、エンディングノートに書いておくべき項目と、遺言書との根本的な違い、そして「エンディングノートだけでは不十分なケース」について解説します。


エンディングノートの書き方|何を書けばいい?司法書士が教える項目と遺言書との違い

エンディングノートの書き方|何を書けばいい?司法書士が教える項目と遺言書との違い

エンディングノートとは、自分に万が一のことがあったとき、あるいは病気や認知症などで意思表示が難しくなったときに備えて、家族に伝えたい情報や希望をまとめておくノートのことです。「終活ノート」と呼ばれることもあります。

書店や100円均一ショップでも市販されていますし、決まった様式もないため、ノートやパソコン、スマートフォンのメモアプリで自作しても構いません。

大切なのは「形式」ではなく「残された家族が困らないための情報が、必要なときに参照できる状態になっている」ことです。


エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートと遺言書の違い

ここが最も誤解されやすいポイントです。エンディングノートと遺言書は、似ているようでまったく別のものです。

項目エンディングノート遺言書
法的効力なしあり(要件を満たす場合)
書き方のルール自由民法で厳格に規定
財産分配の指定「希望」として書けるが強制力なし指定通りに遺産分割が可能
内容財産・医療・葬儀・家族へのメッセージなど幅広く自由主に財産処分、身分関係など法定事項
訂正いつでも自由に書き直せる法律の定める方式に従う必要あり


つまり、エンディングノートに「長男に自宅を相続させたい」と書いても、それだけでは法的な効力は一切生じません。相続人全員の合意がなければ、その通りに遺産分割が行われる保証はないのです。

財産を「誰に」「どのように」残すかを確実に実現したい場合は、エンディングノートとは別に、公正証書遺言などの法的に有効な遺言書を作成する必要があります。

この点を理解せずにエンディングノートだけで満足してしまい、結果として相続人間でトラブルになるケースも実務では見受けられます。エンディングノートは「気持ちや情報の整理」、遺言書は「法的な意思決定」と、役割を分けて考えるのがポイントです。

・関連記事 遺言と遺書とエンディングノートの違い【ご存知ですか?】


エンディングノートに書いておきたい項目

エンディングノートに書いておきたい項目

具体的にどのような項目を書けばよいか、実務でよくご相談いただく内容を踏まえて整理しました。

 1. 自分自身の基本情報

氏名、生年月日、本籍地、血液型、マイナンバーの保管場所など。相続手続きでは戸籍の収集が必要になるため、本籍地の記載は特に有用です。

 2. 財産に関する情報

預貯金口座、不動産、有価証券、生命保険、負債(ローンなど)の一覧と保管場所です。

近年は仮想通貨やネット証券など、家族が把握しにくいデジタル資産も増えています。口座番号などの機密情報は、ノート本体とは別に管理する、家族にだけ保管場所を伝えておくといった工夫も検討しましょう。

3. 医療・介護に関する希望

延命治療の希望、かかりつけ医、持病や服用薬、介護が必要になった場合の希望(自宅介護か施設か)など。意思表示ができなくなったときに家族の判断を助ける、非常に重要な項目です。

4. 葬儀・お墓に関する希望

葬儀の形式(一般葬・家族葬・直葬など)、宗派、菩提寺、希望する葬儀社、お墓の有無や納骨先。

5. 家族・友人・関係者への連絡先リスト

訃報を伝えたい人のリスト。年賀状だけのやり取りなど、家族が把握していない交友関係も記載しておくと安心です。

6. デジタル情報

SNSアカウント、サブスクリプションサービス、スマートフォンやパソコンのパスワード管理方法など。近年特に相談が増えている項目です。

7. ペットのこと

飼っているペットがいる場合、その後の世話をどうしてほしいかの希望。

8. 家族へのメッセージ

感謝の言葉や、これまでの人生で伝えておきたいことなど、自由に書ける項目です。

これらはあくまで基本項目であり、決まりはありません。ご自身にとって「家族に伝えておきたいこと」を優先して書き進めるのが長続きのコツです。

・関連記事 終活何からはじめる?エンディングノートがおすすめ


エンディングノートを書くときの注意点

エンディングノートを書くときの注意点

預貯金の残高や保有資産は変動します。金額まで細かく書く必要はありませんが、口座の存在自体は最新の状態に更新しておきましょう。

他にも次のような注意点があります。

・相続の希望は遺言書とセットで

・認知症に備えるなら任意後見制度も検討を

・保管場所を家族に伝えておく

エンディングノートを書くときの注意点1 相続の希望は遺言書とセットで

前述の通り、「誰にどの財産を残したいか」という希望は、エンディングノートに書くだけでは実現しません。特に次のようなケースでは、公正証書遺言の作成を強くおすすめします。

・相続人が複数おり、財産の分け方で揉める可能性がある

・法定相続人以外(内縁の配偶者、お世話になった人など)に財産を残したい

・特定の相続人に多く、または少なく相続させたい事情がある

・相続人の中に認知症の方や行方不明の方がいる


エンディングノートを書くときの注意点2 認知症に備えるなら任意後見制度も検討を

エンディングノートは「亡くなった後」だけでなく「意思表示が難しくなったとき」にも役立ちますが、実際に財産管理や契約の判断を家族が代行するには、任意後見契約や家族信託といった別の法的手続きが必要になります。エンディングノートに希望を書いておくことは有効な準備の第一歩ですが、それだけでは代理権は発生しない点にご注意ください。

任意後見制度についてはこちら。

・関連記事


エンディングノートを書くときの注意点3 保管場所を家族に伝えておく

どれだけ丁寧に書いても、存在を知られていなければ意味がありません。信頼できる家族に保管場所だけは伝えておきましょう。


まとめ

エンディングノートは、自分の思いや必要な情報を自由に書き残せる、終活の入り口としてとても有効なツールです。一方で、財産の分配など法的な効力を持たせたい内容については、公正証書遺言などの別の手続きが必要になります。

「エンディングノートは書き始めたけれど、遺言書も作った方がいいのか判断がつかない」「認知症になったときの財産管理が心配」といったお悩みがございましたら、司法書士・行政書士がそれぞれの状況に応じた最適な方法をご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら。

・電話 06-6356-7288

メールフォーム

人気の関連ページ

終活やることリスト 終活の専門家がわかりやすく解説

終活とは?わかりやすく解説 人生をよりよく生きるための準備

終活はいつからはじめるのがいい?終活カウンセラーが解説

相続させたくない兄弟がいる場合【遺言を書きましょう】

終活はいつからはじめるのがいい?終活カウンセラーが解説

遺言は口頭でも有効?司法書士がわかりやすく解説