【離婚】面会交流とは?わかりやすく解説 拒否できる?
「夫の不貞が原因で、離婚することになりました。一人息子は私が引き取ることになりましたが、できれば離婚後はあまり息子を父親には会わせたくありません。面会交流は絶対しないといけないものなのですか?」
大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
面会交流とは、離婚した後、離れて暮らすことになった親子の面会のことを言います。
面会交流について取り決めなくても離婚することはできますが、離婚後に話し合うのは難しいです。
そのため、離婚する際には子どもの面会交流についても取り決めておく必要があります。
この記事では、面会交流についてわかりやすく解説します。
目次
- 1 【離婚】面会交流とは?わかりやすく解説 拒否できる?
- 2 面会交流についての話し合いがまとまらない場合は調停
- 3 面会交流を拒否できる?
- 4 面会交流についての離婚協議書の記載
- 4.1 面会交流についての離婚協議書の記載1 シンプルな条項
- 4.2 面会交流についての離婚協議書の記載2 面会交流の時間、場所、方法などを詳しく取り決める場合
- 4.3 面会交流についての離婚協議書の記載3 電話や手紙による間接的交流を認める場合
- 4.4 面会交流についての離婚協議書の記載4 プレゼントを渡すことを認める場合
- 4.5 面会交流についての離婚協議書の記載5 学校行事への参加を認める場合
- 4.6 面会交流についての離婚協議書の記載6 宿泊を伴う面会交流を認める場合
- 4.7 面会交流についての離婚協議書の記載7 面会交流の禁止事項を取り決める場合
- 4.8 面会交流についての離婚協議書の記載8 子どもの成長に応じて面会交流について再協議する場合
- 5 まとめ
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【離婚】面会交流とは?わかりやすく解説 拒否できる?
面会交流は、離婚した後、離れて暮らすことになった親子の面会のことです。
子どもと同居する親が、子どもと会いたいという相手の要求を拒否することは原則としてできません。
面会交流は、親の権利であると同時に子どもの福祉のためでもあるからです。
なので、子どもが虐待などを受けるおそれがある場合など、面会交流が子どもの福祉に反するのであれば面会交流を拒否することもできます。
離婚する際には子どもの面会交流についても取り決めておきましょう。
面会交流について取り決めずにしておくと、離婚後にトラブルになる可能性があるからです。
面会交流については、次のような事項を取り決めて離婚協議書にします。
- ・面会の頻度
- ・面会の時間
- ・面会の場所
- ・子どもの送迎の方法、どちらが交通費を負担するのか
- ・電話や手紙など間接的な交流の有無
- ・面会交流時にお小遣いやプレゼントを渡していいのか
- ・入学式などの行事への参加の有無
- ・宿泊や子どもとの旅行ができるか
- ・禁止事項
面会交流のルールについては、子どもの成長や環境の変化に合わせて変更が必要になることもあります。
必要に応じて面会交流のルールを変更できるということも取り決めておきましょう。
面会交流についての話し合いがまとまらない場合は調停
もし面会交流についての話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることができます。
調停とは、調停委員という家庭裁判所の職員を間に挟んで話し合いをすることです。
面会交流調停は、離婚調停と同時に申し立てることもできます。
もし調停でも話し合いがまとまらない場合は、「審判」という裁判手続きに移行し、そこで決定されることになります。
面会交流を拒否できる?
子どもと同居する親は、別れた相手と会わせたくないと思っていても、原則として拒否できません。
ただし、相手方と会わせることが子どもの福祉にとって良くない事情がある場合は、面会交流を拒否または回数を減らすなどの制限をすることができます。
子どもの福祉にとって良くない事情とは、たとえば、次のような場合です。
- ・相手方が暴力をふるう
- ・養育費を支払えるのに支払わない
- ・子どもにもう一方の親の悪口を言う
- ・子どもが面会交流を嫌がる
- ・子どもを連れ去るおそれがある
- ・子どもと同居する親の許可なく、子どもと会う
相手方が面会交流の拒否や制限に応じず、争いになった場合は、家庭裁判所に面会の拒否や制限を求める調停を申し立てることができます。
面会交流についての離婚協議書の記載
面会交流についての取り決めを離婚協議書に記載する場合の例を挙げておきます。
面会交流についての離婚協議書の記載1 シンプルな条項
- 第〇条 甲は、乙が当事者間の子〇〇(令和〇年〇月〇日生)と、 月〇回、面会交流することを認める。その具体的な日時、場所、方法等は、子どもの福祉を尊重し、当事者間の協議により定める。
面会交流は基本的には、時間、場所、方法などについては具体的にしすぎない方が望ましいでしょう。
面会交流は長きにわたって行われるため、子どもの意思や状態に配慮して柔軟に対応できるようにするためです。
両親間の協議が可能で、お互いに面会交流に消極的でない場合には、このようなシンプルな条項のもと、面会交流を実施しましょう。
ただし、当事者間での感情的な対立が激しい場合や、あいまいな記載ではトラブルが生じるおそれがある場合には、面会交流の時間、場所、方法など具体的な内容を記載する必要があります。
面会交流についての離婚協議書の記載2 面会交流の時間、場所、方法などを詳しく取り決める場合
- 第〇条 面会交流は、毎月〇回、第〇土曜日の午前〇時から午後〇時まで行う。
- 2 子どもの体調不良、交通機関の遅延・運休等によりやむなく面会交流が実 施できないときは、第〇日曜日の午前〇時から午後〇時まで行う。
- 3 第2項の代替日に面会交流を行うことができないときは、当事者双方協議のうえ、別途代替日を定めるものとする。
- 4 第3項の代替日が当初の面会交流実施予定日の翌月以降に設定された場合でも、この代替日に行われる面会交流は、翌月以降に本来行われるべき面会交流の回数には含めないものとする。
- 第〇条 乙は、甲に対し、前条の面会交流開始時刻に〇〇駅改札口において、 子どもを引き渡し、甲は、乙に対し、前条の面会交流終了時刻に同所において、子どもを引き渡す。この場合の交通費は〇が負担する。
面会交流の頻度、時間、場所等を細かく取り決める場合です。
あらかじめ詳しく取り決めておくので、面会交流の方法についての当事者間でのやり取りをできる限り少なくすることができます。
ただし、この場合は状況が変更した際に柔軟に対応できないおそれがあります。
面会交流についての離婚協議書の記載3 電話や手紙による間接的交流を認める場合
- 第〇条 乙は、甲に対し、毎年3月、6月、9月及び12月に、子どもの写真を合計3枚以上送付する。
- 2 乙は、甲に対し、年4回程度、甲が子ども宛の手紙を送付することを認め、甲から子ども宛の手紙が届いたときは、これを子どもに交付したり読み聞かせたりすることを約束する。
- 3 乙は、月1回、1回につき〇分程度、甲が子どもに電話することを認める。
電話や手紙による間接的交流を認める場合です。
面会交流についての離婚協議書の記載4 プレゼントを渡すことを認める場合
- 第〇条 乙は、甲に対し、子どもの誕生日およびクリスマスに限り、面会交流の際に、甲が子どもに対してプレゼントを手渡す方法で贈ることを認める。
面会交流についての離婚協議書の記載5 学校行事への参加を認める場合
- 第〇条 乙は、甲に対し、子どもの運動会、入学式、卒業式、授業参観、文化祭その他の学校行事に甲が参加することを認める。
- 2 乙は、甲に対し、子どもの学校行事の予定を事前に通知する ものとする。
- 3 乙は、甲が学校行事に参加した月においても、別途面会交流を実施することを認める。
面会交流についての離婚協議書の記載6 宿泊を伴う面会交流を認める場合
- 第〇条 甲は、乙に対し、乙が子どもと、以下の方法で面会交流することを認める。
- ⑴ 〇〇が小学校入学後は、夏季休暇中に、2泊3日程度、宿泊を 伴う面会交流することを認める。その具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉を尊重し、当事者間の協議により定める。
- ⑵ 甲と乙は、〇〇が12歳に達した時は、宿泊を伴う面会交流の実施について、〇〇の意思を尊重し、改めて協議する。
面会交流についての離婚協議書の記載7 面会交流の禁止事項を取り決める場合
- 第〇条 当事者双方は、子どもに対して、互いに他方当事者を誹謗中傷するような発言を行わないものとする。
- 2 当事者双方は、第〇条記載の面会交流開始時刻に遅れないよう努め、開始時刻に遅れる場合は事前に他方当事者に連絡するものとする。
- 3 甲は、乙に対し、面会交流に、甲の親族、友人その他の第三者を立ち会わせないことを約束する。
- 4 甲は、面会交流の移動等に、甲の運転する自動車を利用しないことを約束する。
面会交流についての離婚協議書の記載8 子どもの成長に応じて面会交流について再協議する場合
- 第〇条 当事者双方は、子どもの成長の程度およびその意思等を踏まえて、面会交流の頻度、時間、場所などの変更や宿泊を伴う面会交流の実施につき適宜協議を行うものとする。
面会交流の頻度や時間等を一度合意しても、子どもの成長や環境の変化に応じてその内容を変更する必要がある場合があります。
そのような変化に応じて、面会交流の内容を変更することについて協議することができるようにするものです。
まとめ
以上、面会交流について解説しました。
まとめると次の通り。
- ・離婚後の面会交流は、子どもの福祉を考慮して取り決める必要がある。
- ・面会交流は、トラブルになりそうな場合は、具体的な頻度、時間、場所などを取り決めることが望ましい。
- ・子どもの福祉にとって良くない場合は面会交流を拒否または制限することができる。
離婚や親権について悩んでいる場合は、専門家に相談してみましょう。
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というわけで今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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