養育費調停の流れや必要書類などをわかりやすく解説します
「この度、夫と離婚することになりました。私たちの間には子どもが一人います。子どもは私が育てていきます。相手には養育費を請求したいと思っていますが、養育費についての話し合いがまとまりません。どうすればいいでしょうか?」
大阪の司法書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
離婚の合意ができていても、養育費についての話し合いがまとまらない場合、調停手続きを利用することができます。
調停とは、調停委員という家庭裁判所の職員が間に入って、当事者の話し合いを調整する制度です。
当事者間では感情的な言い合いになっていても、第三者が間に入ることで相手方も冷静に話し合いに応じる場合もあります。
この記事では、養育費請求の調停手続きについて、わかりやすく解説します。
養育費の解説については、こちらの記事をご覧ください。
目次
養育費調停の流れや必要書類などをわかりやすく解説します
養育費請求の調停手続きの流れは次の通りです。
- 養育費について協議
- ↓
- 養育費調停の必要書類を集める
- ↓
- 家庭裁判所へ養育費調停の申し立て
- ↓
- 養育費調停の期日
- ↓
- 合意の成立または不成立
なお、離婚前に離婚調停を申し立てる場合は、離婚調停の中で養育費についても協議することになります。
養育費について協議
まずは、当事者同士だけで話し合いをすすめます。
まだ話し合う余地があるのに、いきなり養育費調停を申し立てたために、相手を刺激して、余計に話がこじれてしまう場合があります。
そこで、調停の前に、まず当事者同士で充分に話し合いをつくす必要があります。
それでも話し合いがすすまない場合や、相手が話し合いに応じない場合に、養育費調停の申し立てを検討することになります。
養育費調停の必要書類を集める
養育費請求の調停を申立てるには、いくつかの必要を集める必要があります。
必要書類は次の通り。
- ・調停申立書とそのコピー
- ・事情説明書
- ・連絡先の届出書
- ・進行に関する照会回答書
- ・子どもの戸籍謄本(発行後3カ月以内のもの)
- ・申立人の収入に関する書類
- ・非開示の希望に関する申出書
- ・郵便切手
その他、進行に応じて追加書類の提出を求められる場合があります。
調停申立書とそのコピー
調停申立書の書式はこちら。
申立書には、養育費の対象の子ども1人につき1200円分の収入印紙を貼付します。
調停申立書は相手方にも送付しますので、裁判所提出用の申立書のほか、相手方用に申立書のコピーも提出します。
また申立人の控え用にコピーをもう1通取っておきます。
事情説明書
事情説明書には、申立人と相手方の同居家族や収入状況、子どもの学費、教育費、保育料などを記載します。
事情説明書の書式はこちら。
連絡先の届出書
連絡先の届出書は、連絡先などを裁判所に伝えるものです。
進行に関する照会回答書
進行に関する照会回答書は、相手方とどれだけ話し合ったのか、相手方が裁判所の呼び出しに応じるのか、などについて記載するものです。
進行に関する照会回答書の書式はこちら。
子どもの戸籍謄本(発行後3カ月以内のもの)
戸籍謄本(全部事項証明書)は本籍地の役所で取得できます。
発行後3カ月以内のものである必要があります。
申立人の収入に関する書類
収入に関する書類とは、たとえば次のような書類です。
- ・源泉徴収票写し
- ・給与明細写し
- ・確定申告書写し
- ・非課税証明書写し
非開示の希望に関する申出書
裁判所に提出する書類等のうち、相手方等に知られたくない情報がある場合は、この「非開示の希望に関する申出書」に必要事項を記入し、この申出書の下に当該書面をホチキスなどで付けて、提出してください。
郵便切手
連絡用の郵便切手です。以下の切手が必要になります。
- ・100円×2枚
- ・84円×8枚
- ・10円×14枚
- ・1円×10枚
合計1022円です。
家庭裁判所へ養育費調停の申し立て
書類などをそろえたら、家庭裁判所に申し立てます。
提出は、持参するほか、郵送でも可能です。
郵送の場合、できれば普通郵便ではなく、レターパックや書留などの方がいいかと思います。
養育費請求調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てます。
家庭裁判所の管轄については、裁判所のホームページでご確認ください。
- ・外部リンク 裁判所の管轄区域
養育費調停の期日
申立てすると、第1回目の調停の日につき、日程調整がされます。
複数の候補日が提示されるので、その中から都合のいい日を伝えます。
調停の期日では、男女2名の調停委員から、調停についての説明がされます。
その後、申立人と相手方それぞれから聞き取りがされます。
聞き取りは、それぞれ30分ほどです。
あまり時間もないので、主張したいことの要点をあらかじめまとめておいて、簡潔に伝えましょう。
申立人の聞き取りが終わると、次は相手方の聞き取りです。
一度退室し、待合室で待つように指示されます。
相手方の聞き取りが終わると、再度、申立人が呼び出されます。
調停委員が争点をまとめ、合意できそうな事項を申立人に伝えます。
これを申立人・相手方それぞれに伝え、合意点を探していきます。
第1回目で合意に至らなかった場合、次回期日の日程を決めて終了します。
調停委員から次回までに提出する資料を求められる場合があります。
合意の成立または不成立
話しがまとまって、当事者間に合意が成立した場合は、その内容が調停調書という書類にまとめられます。
調停が成立しないときは、家庭裁判所は審判によって養育費を定めることになります。
審判とは、裁判官が当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官の行った調査の結果などの資料にもとづいて判断を決定する裁判手続です。
まとめ
以上、養育費調停の手続きについて解説しました。
調停手続きは、調停委員を間に挟んだ話し合いで、自分の言い分を調停委員が整理して合意点を調整してくれるので、弁護士を代理人にたてなくても、自分で申し立てることは十分可能です。
ただ、申立の必要書類を作成、収集するのが多少面倒なので、その場合は司法書士に作成を依頼することができます。
弁護士に代理を依頼するより安く済むことがほとんどなので、弁護士に頼むほどではないけど、書類の作成は面倒という方は司法書士に書類作成を依頼することも検討してみてください。
大阪であれば当事務所でも承っています。
お気軽にご相談ください。
当事務所の離婚手続きサポートサービスの詳細はこちらをご覧ください。
というわけで今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。