財産分与の登記とは?離婚後に必ず確認すべき手続きと必要書類を司法書士が解説
「離婚が成立し、自宅は私がもらうことになりました。でも、名義は元夫のままです。財産分与の登記はしないといけませんか?」

大阪の司法書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
離婚の際に財産分与で不動産を取得することになった場合、「財産分与の登記」は必ず行うべき重要な手続きです。
しかし、財産分与の登記はいつまでにすればいいの?費用はいくらかかる?といった疑問をお持ちの方は非常に多いです。
この記事では、財産分与の登記の基本から注意点まで、司法書士がわかりやすく解説します。
目次
- 1 財産分与の登記とは?離婚後に必ず確認すべき手続きと必要書類を司法書士が解説
- 2 登録免許税と費用はいくら?
- 3 財産分与の登記をしないとどうなる?
- 4 財産分与の登記はいつまでにする?
- 5 住宅ローンが残っている場合の注意点
- 6 財産分与の登記は自分でできる?
- 7 司法書士に依頼するメリット
- 8 まとめ|財産分与の登記は早めに確実に
財産分与の登記とは?離婚後に必ず確認すべき手続きと必要書類を司法書士が解説

財産分与とは、離婚の際に、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を公平に分ける制度のことです。
財産分与の対象となるのは、自宅不動産や預金など、婚姻中に夫婦の協力によって形成された共有財産です。名義が夫だけ、妻だけになっていても、婚姻中に形成されたものであれば共有財産と判断されるのが原則です。
財産分与の内容は双方の合意があれば、どのような形でも構いません。
不動産を財産分与した場合、名義変更が必要になります。
たとえば、以下のような場合に名義変更することになります。
・元夫名義の自宅を元妻が取得する
・共有名義の不動産をどちらかの単独名義にする
財産分与の登記手続きの流れ
財産分与の登記は、いきなり法務局へ行けばできるものではありません。
事前準備がとても重要です。
財産分与の登記手続きの流れは下記の通り。
・財産分与の内容を確定させる
↓
・住宅ローンの有無を確認する
↓
・必要書類を準備する
↓
・登記申請書を作成する
↓
・法務局へ申請する
↓
・登記完了、登記識別情報の発行
財産分与の登記手続きの流れ1 財産分与の内容を確定させる
まずは、財産分与の内容を明確に決めます。
口約束ではなく、必ず離婚協議書などの書面にしておきましょう。
財産分与の登記手続きの流れ2 住宅ローンの有無を確認する
不動産に抵当権(住宅ローン)が付いている場合は要注意です。
以下を事前に確認しないといけません。
・債務引受が必要か
・金融機関の承諾が必要か
・借り換えが必要か
債務引受とは、住宅ローンなどの借金の返済義務を別の人が引き継ぐことをいいます。
例えば、夫名義の住宅ローンが残っている自宅を、離婚後に妻が取得して住み続ける場合、住宅ローンも妻が引き継ぐケースがあります。
ただし、住宅ローンの債務引受には金融機関の承諾が必要です。
夫婦間で「今後は妻が返済する」と決めても、銀行が認めなければ正式な債務引受にはなりません。
不動産の名義変更(財産分与登記)をしても、住宅ローンの契約者が自動的に変更されるわけではないため注意が必要です。
住宅ローンが残っている不動産の財産分与は、登記だけでなく銀行との調整も必要になるため、慎重に進める必要があります。
この確認をせずに登記を進めると、ローン契約違反になる可能性があります。
財産分与の登記手続きの流れ3 必要書類を準備する
主な必要書類は以下のとおりです。
・財産分与の合意書(協議書・公正証書など)または登記原因証明情報
・登記識別情報または登記済証(権利証)
・名義を渡す人の印鑑証明書
・名義を取得する人の住民票の写し
・固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書
財産分与の必要書類1 財産分与の合意書(離婚協議書・公正証書など)または登記原因証明情報
財産分与の合意があったことを証明する離婚協議書、財産分与契約書などの書類です。
財産分与の必要書類2 登記識別情報または登記済証(権利証)
不動産の権利証です。
財産分与の必要書類3 名義を渡す人の印鑑証明書
現在Aさん名義の不動産をBさんに財産分与する場合は、Aさんの印鑑証明書が必要になります。
印鑑証明書は、住所地の役所か、マイナンバーカードがあればコンビニで取ることができます。
財産分与の必要書類4 名義を取得する人の住民票の写し
現在Aさん名義の不動産をBさんに財産分与する場合は、Bさんの住民票の写しが必要になります。
住民票の写しは、お近くの役所か、マイナンバーカードがあればコンビニで取ることができます。
財産分与の必要書類5 固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書
不動産の評価額を証明する書類です。
固定資産評価証明書は、不動産所在地の役所で取ることができます。
固定資産税納税通知書は、不動産の所有者に毎年送付されてくるものです。
財産分与の登記手続きの流れ4 登記申請書を作成する
登記申請書を作成します。
記載例は次の通り。
登記の目的 所有権移転
登記原因 令和◯年◯月◯日財産分与
権 利 者 大阪市◯区◯町◯丁目◯番◯号
〇〇 〇〇
氏名ふりがな 〇〇 〇〇
生年月日 〇〇年〇〇月〇〇日
メールアドレス 〇〇@〇〇
義 務 者 大阪市◯区◯町◯丁目◯番◯号
◯◯
添付情報 登記識別情報 登記原因証明情報 代理権限証明情報 印鑑証明書 住所証明情報
令和〇年◯月◯日申請 大阪法務局
課 税 価 格 金〇〇円
登録免許税 金〇〇円
不動産番号 1234567890123
所在 大阪市◯町◯丁目◯番地
家屋番号 〇〇
種類 居宅
構造 木造かわらぶき2階建
床面積 1階 〇〇.〇〇平方メートル
2階 〇〇.〇〇平方メートル
課税価格は、固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書に記載されている価格です。
登録免許税は、課税価格の1000分の20(2%)です。
財産分与の登記手続きの流れ5 法務局へ申請する
書類を集めて、申請書を作ったら、いよいよ申請です。
申請書と添付書類を法務局という役所に提出します。
どこの法務局に申請してもいいわけではありません。
法務局には、不動産の所在地によって管轄が決まっています。
管轄は、法務局のホームページで確認できます。
・外部リンク 管轄のご案内
申請する方法は3つあります。
- 1 窓口で申請する
- 2 郵送で申請する
- 3 オンラインで申請する
窓口で申請する
集めた書類一式を、法務局の窓口に持っていく方法です。
法務局の窓口は、平日の午前8時30分から午後5時15分までしか開いていないことが多いのが難点です。
郵送で申請する
書類一式を、郵送する方法です。
平日に時間が取れない方でも、申請できます。
普通郵便ではなく、書留郵便もしくはレターパックで郵送しましょう。
オンラインで申請する
オンラインで申請する方法です。
専用のソフト「申請用総合ソフト」 を使って申請します。
・外部リンク:申請用総合ソフトとは
オンラインで申請する場合でも、戸籍などは紙なので、郵送するか、窓口に持っていく必要があります。
財産分与の登記手続きの流れ6 登記完了・登記識別情報の発行
登記が完了すると、新しい名義人に「登記識別情報(権利証)」が発行されます。
これで正式に名義変更が完了です。
登録免許税と費用はいくら?
不動産登記には登録免許税という税金がかかります。
不動産を財産分与した時の登録免許税は次の通り。
固定資産評価額 × 2%
たとえば評価額1,000万円の場合20万円になります。
また登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士報酬がかかります。
一般的には5万円〜10万円程度(案件の難易度による)かと思います。
不動産が複数ある場合や、抵当権が絡む場合は費用が増えることがあります。
当事務所の場合は、次の通り。
・財産分与の登記 7万7000円
・離婚協議書の作成 7万7000円
(離婚公正証書作成サポート 8万8000円、相手方が公証役場に来ない場合+1万1000円)
財産分与の登記をしないとどうなる?
離婚協議書や公正証書を作成していても、登記をしなければ法務局の名義は変わりません。
その結果、次のような重大なリスクがあります。
・元配偶者が勝手に売却してしまう
・元配偶者の債権者に差し押さえられる
・再婚や相続が発生すると権利関係が複雑化する
財産分与を受けた不動産は、必ず登記まで完了させることが重要です。
財産分与の登記はいつまでにする?
法律上、登記の期限は明確には定められていません。
しかし、財産分与請求権には離婚から2年という期間制限があります。
離婚成立後、速やかに財産分与のに行うことを強くおすすめします。
住宅ローンが残っている場合の注意点
ここが非常に重要です。
不動産に住宅ローンが残っている場合、通常は金融機関の承諾が必要になります。
勝手に名義変更すると、契約違反となり一括返済を求められる可能性があります。
そのため、
✔ 借り換え
✔ 債務引受
✔ 連帯保証の整理
などを事前に検討する必要があります。
この点は専門家に相談すべきポイントです。
財産分与の登記は自分でできる?
財産の登記はご自分でもすることは可能です。
しかし、
・書類作成の不備
・登録免許税の誤り
・金融機関との調整不足
など、実務的な落とし穴が多くあります。
特に住宅ローンがある場合は、自己判断で進めるのはおすすめできません。
司法書士に依頼するメリット
財産分与登記を司法書士に依頼すると、
✔ 書類作成をすべて任せられる
✔ 法務局とのやり取りが不要
✔ 住宅ローン問題も含めたアドバイスが受けられる
✔ 将来トラブルを防げる
離婚は精神的負担が大きい出来事です。
登記だけでも専門家に任せることで、大きな安心につながります。
大阪の方なら当事務所でも承っています。
初回相談無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら。
・電話 06-6356-7288
まとめ|財産分与の登記は早めに確実に
以上、財産分与の登記について解説しました。まとめると次の通り。
・財産分与の義務ではないが非常に重要
・放置すると重大トラブルになる
・住宅ローンがある場合は特に注意
離婚後の新しい生活を安心してスタートさせるためにも、財産分与が決まったら、速やかに登記まで完了させましょう。

