抵当権抹消手続きの「期限」はいつ?見落とし厳禁の注意点を解説

先日、住宅ローンを完済し、銀行から書類が送られてきました。抵当権抹消登記が必要とのことです。抵当権抹消登記には期限はあるのですか?」
大阪の司法書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
不動産を売却したり、住宅ローンを完済したりした後に必ず必要になるのが抵当権抹消手続きです。
この手続きに関して、多くの方が抱く疑問の一つが、「いつまでにやらないといけないの?」という期限についてではないでしょうか。
結論から言うと、この手続き自体に法律で定められた厳密な期限はありません。しかし、「期限がないから、あとで良いや」と放置するのは非常に危険です。
今回は、抵当権抹消手続きの期限に関する正しい知識と、放置することのリスク、そしてスムーズに進めるための重要な注意点を徹底解説します。
目次
抵当権抹消手続きの「期限」はいつ?見落とし厳禁の注意点を解説

抵当権抹消登記には、法律上の期限はありません。
抵当権の抹消登記は、住宅ローンなどを完済し、その担保権が消滅した時点でいつでも申請できます。不動産登記法上、「何ヶ月以内に申請しなければならない」という義務や罰則は設けられていません。
そのため、極端な話、完済から10年後に申請しても、手続きとしては問題なく受理されます。
期限はないのに抵当権設定登記をすぐにするべき理由

法律上の期限がないからといって、手続きを放置するのは絶対にやめましょう。放置することには、以下のような大きなデメリットとリスクが伴います。
A. 必要書類の準備が難しくなるリスク

放置している間に金融機関から届いた書類などを紛失してしまうリスクがあります。
金融機関から送られてくる書類のうち抵当権の権利証 (登記済証/登記識別情報)は失くすと再発行できません。その場合はまた別の手続きが必要になります。
・関連記事 権利証を紛失した場合、どうすればいい?【事前通知か本人確認情報】
解除証書などの書類は金融機関に再発行してもらうと手数料がかかる場合があります。
また放置しているうちに金融機関が合併などしていると、手続きがややこしくなります。
B. 不動産の売却・担保設定ができなくなる
抵当権が残ったままだと、その不動産には「借金の担保になっている」という記録が残ったままです。
不動産を売却したい場合、買い手は抵当権付きの物件を購入したがらないため、売買契約の前提として抹消登記が必須です。また新たに不動産を担保に入れる場合にも、基本的には、抹消登記が必要になります。
C. 相続発生時の手続きが複雑になる
もし、抵当権抹消をしないまま不動産の所有者(名義人)が亡くなった場合、手続きがややこしくなる可能性があります。
この場合、まず相続による所有権移転登記(亡くなった方から相続人への名義変更)が必要です。次に、その不動産に対して抵当権抹消登記を申請します。
相続人が複数いる場合、遺産分割協議がまとまらないと名義変更ができず、抵当権抹消も遅れることになり、大きな負担となってしまいます。
抵当権抹消手続きは司法書士に依頼できる

抵当権抹消手続きは、自分でするのが大変という場合は司法書士に依頼することができます。
大阪の方なら当事務所でも承っております。
お気軽にご相談ください。
当事務所の抵当権抹消サービスの詳細はこちら。
・関連記事 抵当権抹消手続きならお任せください!大阪で実績多数の司法書士事務所
お問い合わせはこちら。
当事務所の抵当権抹消登記の報酬は次の通りです。
・抵当権抹消登記 2万2000円(消費税込み)
・住所氏名変更登記(住所や氏名に変更がある場合) 2万2000円(消費税込み)
抵当権抹消登記には期限はないが、住所変更登記には期限がある

以上のように、抵当権抹消登記には期限はありません。
これに対し、不動産所有者の住所変更登記(または氏名変更登記)については、法律が改正され、2026年4月1から義務化されることになりました。
登記簿上の住所から住所移転している場合は、現在の住所に住所変更登記の手続きが必要になります。
くわしくはこちら。
・関連記事 住所変更登記が義務化!放置すると5万円の過料
まとめ
以上、抵当権抹消登記の期限について解説しました。
抵当権抹消登記には期限は定められていませんが、放置していてもいいことはありませんので、早めに手続きをしましょう。
抵当権抹消はご自身(または司法書士)が法務局に書類を提出して初めて完了します。「ローンを完済したから終わり」ではないことをしっかり認識し、後回しにせず、早めに手続きを完了させましょう。
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