名字変更の手続きとは?家庭裁判所で認められるケースと流れを解説

名字変更の相談者

「離婚して旧姓に戻ったのですが、子どもと名字が違うと不便です。家庭裁判所に申し立てれば名字を変更できると聞きましたが、本当に可能でしょうか?」

 
 
 

大阪の司法書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。

戸籍上の名字(姓)を変更することは可能です。

ただし、誰でも自由に名字を変えられるわけではなく、家庭裁判所で「やむを得ない事由」が認められる必要があります。例えば「子どもと名字をそろえたい」「珍しい名字のため社会生活に支障がある」といった場合などです。

この記事では、名字の変更手続きについてわかりやすく解説します。

 

名字変更の手続きとは?家庭裁判所で認められるケースと流れを解説

名字変更の手続きとは?家庭裁判所で認められるケースと流れを解説

結婚や離婚のときに名字(姓)が変わるのはよく知られていますが、それ以外の事情で名字を変えたいと考える方も少なくありません。たとえば、「離婚して旧姓に戻ったけど、婚姻中の名字にしたい」「子どもと名字をそろえたい」「珍しい名字を変えたい」といった理由です。

しかし、戸籍上の名字を変更するには、家庭裁判所の許可が必要になります。

 

名字変更が認められる主な理由

名字変更の手続きとは?家庭裁判所で認められるケースと流れを解説

家庭裁判所での名字変更は「やむを得ない事由」がある場合に限り認められます。やむを得ない事由とは、社会生活上の支障や不利益を避ける必要がある場合を指します。

どのような場合がやむを得ない事由にあたるかは、家庭裁判所の判断によりますが、具体例としては次のようなケースがあります。

•珍しい名字や読みづらい名字で、社会生活に支障がある場合

•離婚後、子どもと名字をそろえるために名字を変更する場合

•再婚や養子縁組により名字が変わったが、再び元の名字に戻したい場合

 

単なる「気分を変えたい」「姓名判断でよくないから」といった理由だけでは認められない可能性があります。

 

名字変更の手続きの流れ

名字変更を希望する場合、次のような手続きが必要です。

必要書類の準備

  ↓

家庭裁判所へ申立て

  ↓

裁判所での審理

  ↓

    審判

  ↓

確定証明書の取得

  ↓

市区町村役場での手続き

 

名字変更の手続き1  必要書類の準備

名字変更の手続き1  必要書類の準備

名字変更の手続の必要書類は次の通り

・氏の変更許可申立書

・戸籍謄本(最新のもの)

・名字変更の理由を裏付ける資料

・申立人の同一戸籍内にある15歳以上の人の同意書

・収入印紙800円

・郵便切手1500円程度

 

名字変更の手続の必要書類1 氏の変更許可申立書

氏の変更許可申立書の書式はこちら。

氏の変更許可申立書の書式

 

申立書には、申立人の本籍(または国籍)、住所、連絡先、氏名、生年月日、職業を記載します。申立人と同じ戸籍内に満15歳以内の人がいる場合は、その人の本籍(または国籍)、住所、連絡先、氏名、生年月日、職業を記載します。

また申立書には、ほかにも申立ての趣旨と理由を記載します。

申立の趣旨は、たとえば、「申立人の氏「佐藤」を「鈴木」と変更することを許可するとの審判を求める」などと記載します。

申立ての理由には、氏を変更しないといけない理由を、具体的に記載します。

たとえば、次のように記載します。

1 申立人は、平成〇年に佐藤一郎と婚姻し、長男太郎(平成〇年〇月〇日生)を出産した。

2 申立人は佐藤一郎と平成〇年〇月に協議離婚した。その際、長男太郎が当時中学校在学中のため、婚姻中の氏を称することにした。

3 長男太郎は今年の3月に高校を卒業するので、これを機に婚姻前の氏である「鈴木」に変更する許可を求める。

4 なお、長男太郎は、申立ての趣旨のとおり氏を変更することに同意している。

 

それぞれの事情により、具体的に記載する必要があります。

 

名字変更の手続の必要書類2  戸籍謄本(最新のもの)

名字変更の手続の必要書類2  戸籍謄本(最新のもの)

戸籍謄本は最寄りの市役所で取得できます。

 

名字変更の手続の必要書類3  名字変更の理由を裏付ける資料

名字変更の手続の必要書類3  名字変更の理由を裏付ける資料

名字変更の理由を裏付ける資料とは、たとえば現在の名字を使い続けることの不利益や変更の必要性についた記載した陳述書や、永年通称として使用してきた名字に変更する場合は、申立人宛の郵送物などです。

 

名字変更の手続の必要書類4  申立人の同一戸籍内にある15歳以上の人の同意書

名字変更の手続の必要書類4  申立人の同一戸籍内にある15歳以上の人の同意書

申立人の戸籍内に15歳以上の人がいる場合は、その人の同意書が必要になります。

筆頭者の名字が変更したことにより、自分の名字も変更されるからです。

 

名字変更の手続き2  家庭裁判所への申立て

名字変更の手続き2  家庭裁判所への申立て

住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。

たとえば、大阪市の方の場合、管轄は大阪家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄はこちら。

・外部リンク 裁判所の管轄区域

 

申立は家庭裁判所に直接書類を持っていく場合のほか、郵送でも可能です。

書類を提出し、場合によっては家庭裁判所から事情を聞かれることがあります。

 

名字変更の手続き3  裁判所での審理

申立がされると、家庭裁判所で審理されます。

 

名字変更の手続き4  審判

裁判所が「やむを得ない事由」があると認めれば、名字変更が許可されます。

申立人の戸籍に15歳以上の人がいる場合は、家庭裁判所はその人の陳述を聞かないといけないとされていますが(家事事件手続法229条1項)、同意書の提出だけで大丈夫とする取扱いが広く行われているようです。

審判が下りれば、「氏の変更許可審判書謄本」が送達されます。

 

名字変更の手続き5  確定証明書の取得

審判書が送達されてから14日たてば審判が確定します。14日は不服申し立て期間です。

審判が確定したら、確定したことを証明する「確定証明書」を取得する必要があります。

確定証明書は家庭裁判所に、「確定証明書請求書」を提出して、取得します。

確定証明書請求書の書式はこちら。

確定証明書請求書

 

確定証明書は郵送でも請求できます。

 

名字変更の手続き6  市区町村役場での手続き

名字変更の手続き6  市区町村役場での手続き

市区町村の役所に名字の変更届をします。

・外部リンク 大阪市 氏の変更届


変更届には、氏の変更許可審判書謄本と確定証明書を添付します。

この届出により、申立人の戸籍上の名字が変更後の名字になります。


名字変更の注意点

名字を変更すると、運転免許証、銀行口座、保険証、パスポートなどあらゆる身分証明や契約情報を変更する必要が出てきます。そのため、生活全般に影響するため慎重に検討しましょう。


司法書士などの専門家に依頼するメリット

司法書士などの専門家に依頼するメリット

裁判所に提出する書類は法律文書にあたるため、初めての方には難しく感じられることも多いです。

そのような場合は司法書士などの専門家に依頼することをお勧めします。

大阪の方なら当事務所でも承っております。

当事務所にご依頼したいただくと、次のようなメリットがあります。

 

・裁判所に提出する申立書を法律に則って丁寧に作成し、不備による手続きの遅れを防ぐことができます。

・許可が下りやすいように、理由の記載や証拠資料の整理といった面でしっかりサポートいたします。

・戸籍謄本など煩雑になりがちな書類の取り寄せもサポートしますので、面倒な手続きから解放されます。

・安心できる相談体制:初回相談は無料。ご事情を丁寧に伺いながら、安心して一歩を踏み出せるようにサポートします。

・プライバシー厳守:氏名の変更というデリケートな問題に関して、秘密厳守で対応いたします。

 

初回相談無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら。

・電話 06-6356-7288

メールフォーム

 

まとめ

名字の変更は誰でも簡単にできるわけではなく、「やむを得ない事由」が必要です。特に、子どもと名字をそろえる場合や旧姓使用が社会生活に深く根付いている場合など、具体的な理由を示すことが重要です。

家庭裁判所への申立書作成や必要書類の準備に不安がある方は、司法書士に相談することでスムーズに進められます。

 

今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

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