(2025年版)性別変更の裁判所手続きとは?流れや必要書類をわかりやすく解説

「戸籍の性別を変更したいのですが、どんな手続きが必要になるのでしょうか?役所に届出するだけでできるのか、それとも裁判所での手続きが必要なのか分からず、不安です。」
大阪の司法書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。
法律的に性別を変更するためには、家庭裁判所で「性別の取扱いの変更の審判」を受ける必要があります。
ここでは、性別変更の手続きの流れや要件、必要書類について詳しく解説します。
目次
(2025年版)性別変更の裁判所手続きとは?流れや必要書類をわかりやすく解説

法律上の性別の変更をするには、法律で定められた条件を満たす必要があります。2025年現在の要件は以下の通りです。
・18歳以上であること
・現在婚姻していないこと(独身であること)
・未成年の子がいないこと
・生殖腺がない、または生殖機能を永続的に欠いていること
・他の性別に近い身体的外観を備えていること
・2人以上の医師により、性同一性障害であることが診断されていること
これらの要件は議論が続いており、2023年には最高裁判所が「手術要件」に関して違憲判断を出しており、将来的に要件が変更される可能性があります。
性別変更の手続きの流れ

性別変更の手続きの流れは次のとおり。
必要書類の取得・作成
↓
家庭裁判所に申し立て
↓
裁判所での審理
↓
審判が下される
性別変更の手続きの流れ1 必要書類の取得・作成

性別変更手続きの必要書類は、下記の通り。
・申立書
・申立人の出生から現在までの戸籍謄本すべて
・性同一性障害であることを示す2名以上の医師の診断書
・収入印紙800円分
・切手
申立書の書式はこちら。
申立書には、申立人(性別の変更を求める本人)の本籍、住所、連絡先、氏名、生年月日、職業、申立の趣旨、申立の理由などを記載します。
申立の趣旨は、たとえば、「申立人の性別の取扱いを男から女に変更するとの審判を求めます。」などと記載します。
申立ての理由には、性別を変更しないといけない理由を、具体的に記載します。
たとえば、次のように記載します。
1.申立人は小学校5年生頃より、自らの性別に違和感を抱くようになり、中学校に進学した後も、男子用トイレの利用や、男子生徒と一緒に着替えることに強い抵抗感を覚えるようになりました。また、その頃から「自分は女性である」という認識が次第に明確になっていきました。
2.令和○年○月より○○病院を受診し始め、令和○年○月に性同一性障害との診断を受けました。これまでの経過については、別途提出の診断書に詳しく記載されています。
3.現在の職場では、申立人は完全に女性として認識されており、日常的に「〇〇花子」という通称名を使用しています。
4.このように、外見・内面のいずれにおいても申立人は女性として生活していますが、戸籍上の性別が「男」となっていることで、日常生活において様々な支障や不都合を感じる場面があります。そこで、戸籍上の性別を「男」から「女」へと変更するための審判を申し立てます。
5.なお、申立人には子がおらず、婚姻歴もありません。
添付書類として、申立人の出生から現在までの戸籍謄本すべてが必要になります。戸籍謄本は、最寄りの役所の窓口で取得することができます。
・関連記事 戸籍謄本の広域交付制度を解説 戸籍謄本が近くの役所で取れる
性同一性障害であることを示す2名以上の医師の診断書が必要です。病院で取得しましょう。
書式はこちら。
・診断書
こちらを医師に書いてもらう必要があります。
収入印紙800円分は申立書に貼付します。
切手は、いくら必要かは各家庭裁判所により異なりますので、申立先の家庭裁判所に問い合わせましょう。
性別変更の手続きの流れ2 家庭裁判所に申し立て

住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
家庭裁判所の管轄はこちら。
・外部リンク 裁判所の管轄区域
申立は家庭裁判所に直接書類を持っていく場合のほか、郵送でも可能です。
性別変更の手続きの流れ3 裁判所での審理
申立がされると、家庭裁判所で審理されます。
性別変更の手続きの流れ4 審判が下される

条件を満たしていれば、性別変更が認められ、審判書が交付されます。
性別の取り扱いの変更の審判がされると、裁判所書記官が申立人の本籍地の役所に対して、戸籍上の性の変更手続きをします。
そして申立人を筆頭者とする新しい戸籍が作成され、「長男」から「長女」など両親との続柄が変更されます。
もし却下の審判がされたら、「即時抗告」という不服申し立ての手続をすることができます。
性別変更の効果
性別の取り扱いの変更の審判を受けた人は、その性別に変更されたものとみなされるため、男性に性を変更した人は女性と結婚でき、女性に性を変更した人は男性と結婚することができるようになります。
名前を変更する場合は、別途名の変更許可の申立てが必要

性別が変更されても、それだけで自動的に名前が変更されるわけではありません。
もし名前も変更したい場合は、別途、名の変更許可の審判を求める必要があります。性別変更と氏名変更を同時に申し立てることもできます。
・関連記事 名前変更の手続き|流れ・必要書類をわかりやすく解説
性別変更手続きにかかる費用
・収入印紙代:800円
・連絡用の郵便切手代:数百円~数千円程度(裁判所による)
・医師の診断書作成料:数万円かかる場合がある
また書類の作成を司法書士に依頼する場合は、司法書士報酬が別途かかります。
司法書士報酬は各事務所によって異なります。
当事務所の場合はこちら。
・性別の取扱いの変更の書類作成 3万3000円(消費税込み)
・氏名変更の書類作成 3万3000円(消費税込み)
・戸籍謄本の取得 1通につき3300円(消費税込み)
専門家に相談することで安心して進められます

性別変更の手続きは、家庭裁判所に提出する申立書の作成や必要書類の収集など、法律的な知識が求められる場面が多くあります。ご自身だけで進めようとすると、「どの書類を揃えればいいのか分からない」「申立書の書き方が難しい」といった不安や戸惑いが出てくることも少なくありません。
当事務所では、性別変更の手続きをスムーズに進められるよう、書類作成のサポートや必要書類の確認を丁寧に行っています。司法書士が関わることで、書類の不備や手続き上のミスを防ぎ、安心して裁判所への申立てに臨むことができます。
当事務所にご依頼していただくと、次のようなメリットがあります。
・裁判所に提出する申立書を法律に則って丁寧に作成し、不備による手続きの遅れを防ぐことができます。
・戸籍謄本や住民票など、煩雑になりがちな書類の取り寄せもサポートしますので、面倒な手続きから解放されます。
・安心できる相談体制:初回相談は無料。ご事情を丁寧に伺いながら、安心して一歩を踏み出せるようにサポートします。
・プライバシー厳守:性別変更というデリケートな問題に関して、秘密厳守で対応いたします。
初回相談無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら。
・電話 06-6356-7288
性別変更の手続きは一生に一度の大切なものです。法律に基づいた正確な準備をしておくことが、スムーズな審判確定への近道になります。
まとめ
以上、性別変更の手続きについて解説しました。まとめると次の通り。
・性別変更の手続きは家庭裁判所で行う
・性同一性障害特例法に基づき、一定の要件を満たす必要がある
・医師2名の診断書が必須
・審判が確定すると戸籍上の性別が変更される
今回は以上です。ここまでお読みいただきありがとうございました。
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