(2025年版)公正証書とは?メリット・作り方・注意点をわかりやすく解説

公正証書の相談者

「公正証書ってよく聞くけど、具体的には何?遺言や離婚協議書を作るなら、公正証書にした方がいいって本当?」




大阪の司法書士・行政書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。

公正証書は、公証人という公務員が作成する公文書です。

この記事では、司法書士として実際に多くのご相談を受けてきた立場から、公正証書とは何か、どうやって作るのか、作成のメリット・デメリットまで、わかりやすく解説します。

 

(2025年版)公正証書とは?メリット・作り方・注意点をわかりやすく解説

公正証書とは、「公証人」という公務員が、当事者の意思に基づいて作成する公的な文書(公文書)です。

公証人は法務大臣から任命されており、元裁判官や検察官などがその職に就いています。

公正証書は、その公証人が契約や意思表示の内容を正確に聞き取り、法律的に整えたうえで作成するため、高い証明力を持った書類になります。

 

公正証書と一般の契約書との違いは?

公正証書と一般の契約書との違いは?

一般の契約書(私文書)は、当事者同士で作成すれば有効ですが、いざトラブルが起きた際には「本当に署名したのか?」「この内容に同意したのか?」と争いになることもあります。

一方、公正証書は、公証人が本人確認や意思確認をしたうえで作成されるため、そのような争いを未然に防ぎやすくなっています。

また、内容によっては「強制執行認諾文言」を入れることで、裁判を経ずに相手の財産(給与や預金など)に対して強制執行をかけることも可能です。

普通は、相手方が契約を履行しない場合でも、強制執行するためには、裁判手続きを行う必要があります。

しかし、公正証書に強制執行認諾文言というものを入れることで、裁判手続きをしなくても強制執行を行い相手方の財産を差押えることができます。

 

公正証書はどんなときに使うの?

公正証書は、以下のような場面でよく使われます。

 ・相続の準備(遺言書)

 ・離婚協議書(養育費・慰謝料など)

 ・高齢者の将来の備え(任意後見契約)

 ・金銭の貸し借り(借用書)

公正証書が使われる場面1 相続の準備(遺言書)

公正証書が使われる場面1 相続の準備(遺言書)

公正証書の遺言書のことを公正証書遺言といいます。自筆の遺言書よりも確実で、遺言が無効になるリスクを避けられます。

・関連記事 公正証書遺言と自筆証書遺言どっちがいい?【公正証書遺言がお勧め】

 

公正証書が使われる場面2 離婚協議書(養育費・慰謝料など)

公正証書が使われる場面2 離婚協議書(養育費・慰謝料など)

将来的な養育費などの未払いに備えて、執行力のある書面を残します。

 

公正証書が使われる場面3 高齢者の将来の備え(任意後見契約)

【相続法改正】特別の寄与制度を解説します。

将来自分の判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ信頼できる人に生活や財産の管理を任せられる制度を任意後見制度といいます。任意後見制度を利用するためには、契約書を公正証書で作成する必要があります。

・関連記事 任意後見とは 司法書士がわかりやすく解説【成年後見との違い】

 

公正証書が使われる場面4 金銭の貸し借り(借用書)

トラブルが起きた場合に備え、強制執行の力を持たせておくことで安心できます。

 

公正証書にするメリット

公正証書にするメリットは次の通り。

1 強い証明力・証拠力がある

2 万一のときに強制執行ができる(※金銭関係の場合)

3 紛失・改ざんのリスクがない

 

公正証書にするメリット1 強い証明力・証拠力がある

公正証書には強い証明力があります。

公正証書は公証人立ち会いのもと作成されるため、「無理矢理契約させられた」「勝手に契約を作成された」という主張がされることを防ぐことができます。

 

公正証書にするメリット2 万一のときに強制執行ができる(※金銭関係の場合)

金銭債務の場合、相手方が債務を履行しないときは上記の通り、公正証書に「強制執行認諾文言」を入れておけば、裁判を経ずに相手の財産(給与や預金など)に対して強制執行をかけることも可能です。

 

公正証書にするメリット3 紛失・改ざんのリスクがない

原本は公証役場に保管され、紛失や改ざんの心配がありません。必要なときは謄本(写し)を取り寄せることができます。

 

公正証書のデメリット・注意点

公正証書のデメリット・注意点

公正証書には次のようなデメリットがあります。

1 作成には手数料がかかる

2 公証役場に出向く必要がある(出張も可)

3 内容に制限がある場合も

 

公正証書のデメリット・注意点1 作成には手数料がかかる

書類の内容や金額によって手数料は異なります。例えば遺言書なら1〜2万円程度から、金銭契約では金額に応じて変動します。

 

公正証書のデメリット・注意点2 公証役場に出向く必要がある(出張も可)

本人確認や意思確認のため、通常は本人が公証役場に出向く必要があります。

 

公正証書のデメリット・注意点3 内容に制限がある場合も

法律に反する内容や、公証人が認めない内容は公正証書にはできません。

 

公正証書を作るには?作成の流れ

公正証書を作成する場合の流れは次の通り。

 

  1. 原案の準備(司法書士等に相談がおすすめ)
    内容をまとめた文案を用意します。
  2. 公証人との打ち合わせ・予約
    公証役場に原案を持ち込み、必要書類を確認してもらいます。
  3. 公証人による作成・署名
    内容の読み上げ・確認を行い、署名・押印します。
  4. 完成・謄本交付
    原本は公証役場に保管され、本人には正本と謄本が渡されます。

 

公正証書はこんな方におすすめです

公正証書は次のような場合におすすめです。

・相続でもめないよう、確実な遺言を残したい

・離婚後の養育費の未払いが心配

・家族や第三者との大きな金銭のやり取りがある

・将来の認知症に備えて任意後見契約しておきたい

 

まとめ|公正証書は、将来のリスクに備えるための「お守り」

まとめ|公正証書は、将来のリスクに備えるための「お守り」

公正証書は、法律上のトラブルを防ぐための非常に強力なツールです。

「書面に残す」だけでなく、「証明力・執行力」を持たせられることが大きな魅力です。

専門家のサポートを受けて、確実に公正証書を作成しておくことをおすすめします。

当事務所でも、公正証書の原案作成から公証役場との連携まで一括して対応しております。

どうぞお気軽にご相談ください。 

 

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