時効の更新とは?意味と完成猶予との違いや具体例を解説

借金の相談者

「かなり昔に借金していた消費者金融から、請求が来ました。もう時効になっていると思うのですが、時効の更新があると時効期間がゼロになり、時効にならないとききました。時効の更新について教えてください」

 
 
 
 

大阪の司法書士の田渕です。こういった疑問にお答えします。

時効の更新とは、進んでいた時効期間がゼロになり、またその時点から時効期間の進行が新たにスタートすることをいいます。以前は「時効の中断」といいましたが、改正により「時効の更新」になりました。

この記事では、主に債務の時効の更新についてわかりやすく解説します。


時効の更新とは?意味と完成猶予との違いや具体例を解説

時効の更新とは?意味と完成猶予との違いや具体例を解説

時効の更新とは、時効の進行がリセットされ、新たにカウントが始まることを指します。

たとえば、10年で時効が成立する権利があった場合、9年目で時効が更新されると、そこから再び10年のカウントが始まります。

以前は「時効の中断」と呼ばれていましたが、2020年の民法改正により「時効の更新」という名称に変更されました。

 

時効の更新事由

次のような場合に時効は更新されます。

・債務の承認

・裁判上の請求

・支払督促

・強制執行

・担保権の実行

 

時効の更新事由1 債務の承認

債務の承認とは、債務者が債務の存在を認めることです。

債務の存在を認める文書に署名してしまった場合のほか、弁済したり、返済の猶予を求めたりした場合も債務の承認にあたります。

 

時効の更新事由2 裁判上の請求

時効の更新事由2 裁判上の請求

裁判で請求されると、その裁判が終了するまで、時効の完成が猶予されます(民法147条1項)。

そして、判決で権利が確定すると裁判手続きが終了した時点で時効が更新され、新たな時効期間がスタートします。

 

時効の更新事由3 支払督促

支払督促とは、債権者の申し立てにもとづき、裁判所の書記官が債務者に対して支払いを命ずる制度のことです。

通常の裁判手続きと異なり、債権者側の言い分のみに基づいて裁判所は支払督促を出します。

そこで、債務者は支払督促に対して異議を申し立てることができます。

しかし、支払督促に異議が出されない場合、支払督促が確定し、時効が更新されます。

 

時効の更新事由4 強制執行

強制執行は、債務を履行しない債務者に対して、裁判所が強制的に債務を取り立てる手続きです。

強制執行の手続きが終了した時点で時効が更新されます。

 

時効の更新事由5 担保権の実行

担保権の実行とは、債務者が債務を履行しない場合に、担保に入っている財産を競売するなどして、担保物から強制的に債権を回収する手続きです。

担保権の実行が終了した時点で時効が更新されます。

更新後の時効期間

更新後の時効期間は10年です。つまり時効の更新があった場合、再び時効になるのは、さらに10年後ということになります。

時効の完成猶予との違い

時効の更新と似たものに「時効の完成猶予」というものがあります。

時効の完成猶予とは、一定の場合に時効の完成が先延ばしにされる制度です。

時効の更新と異なり時効期間がゼロになるわけではなく、一時的に時効の進行がストップします。

たとえば、10年で時効が成立する権利があった場合、9年たった時点で時効の完成が猶予がされると、その猶予期間が終わった時点からあと1年で時効が完成します。

 

【要注意】債務者は承認しないように

【要注意】債務者は承認しないように

時効の更新事由のうち、承認以外は債権者の行為によって更新されますが、承認については債務者の行為によって更新されます。

債務者の方は、うっかり承認してしまわないよう注意する必要があります。

債務の時効について不安な方は司法書士に相談ください

債務の時効について、不安だったり、わからないことがある場合、司法書士などの専門家に相談しましょう。

もし、時効が更新されており、債務の時効が認められない場合でも、他の債務整理方法を提案するなど適切な対処をしてくれます。

大阪の方なら当事務所でも承っています。

初回相談無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせは電話かメールフォームからお願いいたします。

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まとめ

以上、時効の更新について解説しました。まとめると次の通り。

時効の更新とは、時効の進行がリセットされ、新たにカウントが始まること。

裁判、承認、差押えなどがあると時効が更新される。

時効の完成猶予とは異なり、一時的なストップではなく完全にリセットされる。

 

時効に関するトラブルを防ぐためにも、正しい知識を持っておきましょう。

今回は以上です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

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